手取り20万円と聞くと、「生活できるのかな?」「将来が不安だな」と感じるかもしれませんね。物価がどんどん上がっている今、そう思うのは当然のことです。でも、安心してください。お金のやりくりを少し工夫することで、手取り20万円でも将来のためにお金を貯めることは十分にできます。
特に、工場で働いている人には、給料を増やすチャンスがたくさんあります。この文章を読んで、あなたのお金について「使う」「守る」「増やす」の3つのコツをつかんで、これからの生活に役立ててみましょう。
手取り20万円のお給料、どうなってる?
まず、あなたのお給料がどうやって手取り20万円になっているのかを知るところから始めましょう。お給料は、会社が「これだけ払いますよ」と約束した金額(これを額面と言います)から、いくつかのものが引かれて、実際に手元に入る金額(これが手取りです)になります。
額面=会社が支払うと約束した金額
手取り=税金などが引かれて実際手元に入る金額
額面と手取りって何が違うの?
額面のお給料は、基本給や残業代、交通費などを全部合わせた金額です。一方で手取りのお給料は、その額面から税金や社会保険料というものが引かれた、あなたが銀行口座で受け取る実際の金額のことです。
給料明細を見てみましょう。左側に「支給」の欄があって、基本給や手当が書いてありますよね。そして右側には「控除」という欄があります。この「控除」の合計が、額面と手取りの差になっている「見えないお金」なんです。
工場で働いていると、夜勤手当や交替勤務手当など、基本給にプラスされるお金が多いですよね。これらも額面を増やしてくれます。手当が増えれば、その分だけ引かれるお金も少し増えますが、最終的には手元に入る手取り額はしっかり増えることが多いので、安心してください。
例えば、額面が25万円の場合、社会保険料として約3万8千円、所得税と住民税で約2万円くらいが引かれて、手取りはだいたい19万円〜20万円くらいになることが多いです。この引かれるお金は、毎月の給料だけでなく、ボーナス(賞与)からも引かれます。ボーナスの場合も、だいたい「ボーナスの金額の8割」くらいが手取りになると考えておくと良いでしょう。
「一年間でだいたい手取りがいくらになるかな?」と計算したい時は、「(毎月の手取り額 × 12ヶ月)+ボーナスで入った手取り額」で計算してみると、おおよその金額が分かります。次の年に住民税が増える可能性も考えておくと、もっと正確な見込みが立てられますよ。
お給料から引かれる主なもの
毎月の給料明細の「控除」の欄には、だいたい次の6つの項目が書いてあります。
- 所得税: あなたの収入に応じて引かれる国の税金です。収入が多いほど税率が少しずつ上がります。
- 住民税: 住んでいる都道府県や市町村に払う税金です。これは、前の年のあなたの収入で金額が決まります。新社会人の方は最初の1年はほぼゼロですが、2年目から急に引かれ始めるので、「あれ?手取りが減った!」と感じることがあります。これを「2年目ギャップ」と呼びますので、少し頭に入れておきましょう。
- 健康保険: 病気やケガで病院に行った時、医療費を安くしてくれる保険です。会社とあなたが半分ずつお金を出しています。
- 厚生年金: 将来、年を取って仕事を辞めた時にもらえる年金や、もしもの時に家族が受け取れるお金のための保険です。これも会社とあなたが半分ずつお金を出しています。
- 雇用保険: もし会社を辞めても、次の仕事が見つかるまで国がお金をサポートしてくれる保険です。
- 介護保険: 40歳以上の人が対象で、介護が必要になった時にサービスを受けられる保険です。
これらの引かれるお金を合計すると、額面25万円から約5万5千円が引かれて、手取りがだいたい20万1千円くらいになる計算です。
特に、先ほどお話しした住民税の「2年目ギャップ」は、知っておかないと大変です。
もし1年目に手取り21万円で生活していた人が、2年目に手取りが19万8千円に下がると、毎月1万円以上お金が足りなくなる可能性もあります。
手取りを少しでも増やしたいなら、会社で年末にやる「年末調整」や自分で行う「確定申告」をしっかり活用しましょう。
たとえば、iDeCo(イデコ)という老後のためにお金を積み立てる制度を使うと、積み立てたお金の分だけ税金が安くなります。他には、生命保険に入っている人が使える「生命保険料控除」や、地震保険に入っている人が使える「地震保険料控除」なども、税金を減らすのに役立ちますよ。
社会保険と税金ってどんな仕組み?
社会保険は、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つの柱でできています。これらは、病気やケガ、年を取った時、仕事を失った時など、人生のいろんな困った時にあなたを助けてくれる大切な仕組みです。毎月お給料から引かれる保険料は、一見すると損しているように感じるかもしれませんが、これらをしっかり払っておくことで、いざという時に大きな助けになります。
一方で、私たちの手取りは「社会保険料」と「税金」という2つの大きなものによって減っています。これを少しでも減らすには、「税金がかからないお金を増やす工夫」が大切です。
- ふるさと納税: 実質2,000円の負担で、応援したい自治体に寄付をすると、返礼品がもらえて税金も安くなるお得な制度です。
- iDeCo(イデコ): 老後のためのお金を積み立てながら、積み立てた全額が税金の対象から外れるので、所得税や住民税が安くなります。
- 生命保険料控除・地震保険料控除: 入っている保険の種類によっては、税金が安くなる控除を受けられます。
これらの制度を上手に使うことで、手元に残るお金を増やすことができます。
社会保険料の割合は、社会の高齢化などを理由に、ほぼ毎年少しずつ上がっています。税金の制度も変わることがあります。将来、手取りが減るかもしれないことに備えるには、次のようなことを考えてみましょう。
- もし社会保険料が1%上がったら、手取りがいくら減るか計算してみる。
- 食費や娯楽費など、毎月変わる支出を少なめにしておくと、いざという時に調整しやすくなります。
- iDeCoやNISA(ニーサ)という、投資で増やしたお金に税金がかからない制度を最大限に活用する。
他にも、副業を始めたり、新しい資格を取ったりして収入源を増やすことも、手取りが減るダメージを和らげるクッションになります。
手取り20万円の理想の生活費ってどんな感じ?
手取り20万円でも、計画的にお金を使うことで、しっかり貯金しながら満足のいく生活を送れます。お金の専門家であるファイナンシャルプランナーがおすすめする「黄金比率」というものがあります。これは、毎月の手取りに対して、次のような割合でお金を使うと無理なく貯金できるというものです。
こちらはあくまで目安なので、皆さんのライフスタイルや価値観に合わせて調整してみてくださいね。
- 家賃: 25%
- 家賃以外の固定費(毎月決まった出費): 35%
- 変動費(毎月変わる出費): 20%
- 貯金: 20%
手取り20万円だと、この割合は次のようになります。
- 家賃: 5万円
- 家賃以外の固定費: 7万円
- 変動費: 4万円
- 貯金: 4万円
平均より手取りは少ないかもしれませんが、この割合を守ることで、将来のための貯金をしっかり増やしていくことができます。
家賃はいくらまでが目安?どこに住む?
家賃は、毎月出ていくお金の中で一番大きなものです。手取りの25%以内、つまり5万円に抑えるのがおすすめです。この5万円という金額で、どんな家に住めるか調べてみましょう。東京から少し離れた場所や地方都市なら、築年数が少し古い物件や駅から少し歩く物件を選べば選択肢は十分あります。
引っ越しを考える時は、毎月の家賃だけでなく、引っ越す時にかかるお金も大事です。
敷金や礼金、不動産屋さんへの手数料、火災保険料などを合わせると、家賃4万8千円の物件でも、最初に20万円以上かかることも珍しくありません。初期費用を抑えるには、次のようなコツがあります。
- 礼金ゼロ物件を探す: 大家さんに払うお礼のお金(礼金)がゼロの物件を探しましょう。
- フリーレント交渉: 引っ越してから1ヶ月や2ヶ月間、家賃が無料になる「フリーレント」の交渉をしてみる。
- 仲介手数料を安くする: 不動産屋さんに払う手数料が、家賃の半月分で済む物件を探す。
また、工場で働いているなら、会社に寮があったり、家賃補助の制度があったりするかもしれません。これらを活用すると、住む場所にかかるお金をグッと減らせます。
例えば、毎月1万5千円の家賃補助があれば、家賃5万円の家でもあなたの負担は3万5千円になり、年間で18万円も節約になります。浮いたお金は貯金したり、自分のスキルアップに使ったりと、有効活用できますよ。
毎月決まって出ていくお金(固定費)の内訳
家賃以外の毎月決まって出ていくお金、いわゆる固定費には、水道光熱費、通信費(スマホやネット)、保険料、サブスク(定額サービス)などがあります。
一人暮らしの場合、これらの合計がだいたい3万3千円くらいで、手取り20万円の人なら約16.5%を占めます。この平均よりあなたの固定費が高い場合は、見直すチャンスが大きいと言えます。
固定費を減らす一番簡単な方法は、契約している会社を変えたり、料金プランを見直したりすることです。
- 電気やガス: 「電力自由化」「ガス自由化」で、たくさんの会社が電気やガスのサービスを提供しています。色々な会社のプランを比べて、一番安いところに乗り換えましょう。
- スマホやインターネット: 大手の携帯会社から格安SIMに乗り換えるだけで、毎月数千円安くなることがあります。自宅のインターネットも、今の契約を見直してみましょう。
- 保険料: あなたにとって本当に必要な保険かどうかを考えてみましょう。独身で家族がいないなら、高い死亡保険は必要ないかもしれません。病気やケガのための医療保険も、国の高額療養費制度があるので、そんなに高い保険に入らなくても大丈夫なことが多いです。もし不要な保険に入っているなら、もっと安い保険に切り替えることを検討してみましょう。
- サブスクリプションサービス(サブスク): 動画配信サービスや音楽サービスなど、毎月お金を払っているサブスクを整理してみましょう。「最近見てないな」「使ってないな」というサービスは、思い切って解約することで、無駄な出費を減らせます。
固定費を減らせたら、その減らした分のお金を自動で貯金口座に移す仕組みを作りましょう。銀行の自動振替サービスなどを使って、毎月決まった日に貯金口座へお金が移るように設定しておけば、意識しなくても貯金が増えていきます。
毎月変わるお金(変動費)と貯金のバランス
食費、娯楽費、友達と遊ぶお金など、毎月金額が変わるのが変動費です。手取り20万円の場合、変動費の目安は4万円です。
これらの出費は、使うと楽しい気持ちになりますよね。でも、使いすぎると貯金ができなくなって不安になるし、逆に我慢しすぎると「反動買い」をしてしまうこともあります。大事なのは、「自分にとってちょうどいいライン」を見つけることです。
変動費を上手にコントロールするには、次のような方法がおすすめです。
- 封筒分け: 1週間ごとの食費や娯楽費を、あらかじめ決めた金額だけ封筒に入れておく方法です。
キャッシュレス派なら、スマホの決済アプリの「ウォレット機能」を封筒に見立てて、費目ごとの上限を決めるのもいいでしょう。封筒のお金がなくなったら、その日はもう使わない、というルールにすれば、自動的に使いすぎを防げます。 - ゼロベース予算: お給料が入ったら、まず家賃などの固定費と貯金する分を引きます。残ったお金を「1日いくら使えるか」に割り算して、毎日使える残高をスマホアプリなどで確認する方法です。月末にお金が余ったら、その分はすぐに貯金へ回すルールにすると、毎月の出費を抑えられます。
どちらの方法も「今使えるお金がいくらなのかを常に意識する」ことがポイントです。
さらに、ボーナスや臨時収入が入ったら、それを貯金に直結させる「先取り貯金ルール」を取り入れましょう。
たとえば、ボーナスが入ったら自動的にその半分を貯金専用口座に移動させる、と決めておくのです。こうすることで、無意識のうちに貯金がどんどん増えていきます。ボーナスで自由に使えるお金が半分になっても、ボーナスが入ったというだけで気持ちに余裕が生まれるので、そんなにストレスなく続けられますよ。
手取り20万円で貯金を増やすコツ
貯金を大きく増やしていくには、「固定費を減らす」「変動費を上手に管理する」「収入を増やす」の3つを同時に進めるのが一番効率的です。
車の燃費を良くするイメージで考えてみましょう。固定費を減らすのは、車の重さを軽くする作業。変動費を管理するのは、運転の仕方を見直して無駄なガソリンを使わないようにする作業。そして収入を増やすのは、車のエンジンを強くして、同じガソリンでもっと遠くまで走れるようにする作業です。この3つのバランスが取れていると、無理なく貯金を増やしていけます。
お金の管理を助けてくれる便利なツールもたくさんあります。例えば、家計簿アプリには、銀行口座やクレジットカードと自動でつながって、毎月の収入や支出をグラフにしてくれる機能がついているものがあります。このアプリの「自動振込ルール」を使えば、給料日に自動で貯金口座に一定額を移す設定も簡単にできますよ。
貯金の目標を立てる時は以下の5つのポイントを意識すると達成しやすくなります。
- 具体的な目標を立てる: 「〇〇のために〇〇円貯める」のように具体的に。
- どのくらいお金が溜まったか分かるようにする: 「〇ヶ月後に〇〇円」のように確認できる数字を入れる。
- 達成出来る目標を立てる: 無理のない、現実的な目標にする。
- 自分と関連づける: 自分にとって意味のある目標にする。
- 期限を決める: 「いつまでに」という期限を決める。
例えば、「半年後までに急な出費に備えるお金として30万円を貯める」「1年後までに投資を含めて60万円を貯める」というように、具体的に目標を設定し、毎月アプリで進捗を確認する仕組みを作ってみましょう。
もし目標達成が遅れそうになったら、「次の1ヶ月で固定費を2,000円、変動費を5%減らす」といったルールをあらかじめ決めておくと、計画が途中でダメになるのを防げます。
固定費を見直して節約する
固定費とは、毎月必ず出ていく「家賃以外の決まったお金」のことです。
水道光熱費や通信費、保険料、サブスクの料金などが代表的です。まずは、あなたの銀行の明細やクレジットカードの明細を過去1年分見てみましょう。そして、どの項目にいくら使っているかを書き出してみてください。
ここで大事なのは、平均の金額よりも「一番高かった月」の金額を確認することです。もしある月の通信費だけ1万5千円に跳ね上がっていたら、それは何か無駄なオプションに入っているかもしれません。このリストに「これだけ減らしたい」という目標金額を書き込んでみましょう。多くの人は、合計で毎月6千円〜1万円くらいは減らせるポイントが見つかることが多いです。
次に、具体的な節約方法に取り組んでみましょう。
費目別の具体的な見直しアクション
電気代
電気代を安くしたいなら、電気の契約会社を切り替えるのがおすすめです。インターネットで「電気料金比較サイト」と調べて、あなたの家の電気の使い方に合った一番安いプランを数分で見つけられます。
保険料
保険料は毎月数千円〜1万円かかることが多いですが、インターネットの保険会社や、会社の団体割引などを検討すると、同じような保障内容でも3割〜4割くらい安くなることも珍しくありません。保険を見積もりしてもらう前に、「もしもの時にいくらお金が必要か」を自分で考えて、不必要な特約を外すことで、さらに安くできます。
サブスク
サブスクでは動画や音楽、クラウドサービスの定額サービスなど、合計すると5つ以上契約している人もいますが、最近30日間使っていないサービスは、すぐに解約することを考えましょう。
固定費を減らせても、その減らした分をまた別のことに使ってしまっては意味がありません。そうならないために、「減らした金額を自動的に貯金口座に移す仕組み」を作るのが一番効果的です。
例えば、銀行の「自動振替サービス」を使えば、給料日の次の日に、決めた金額を別の口座に自動で移せます。毎月8千円減らせたら、その8千円を自動で貯金に回すように設定しておけば、何もしなくても貯金が増えていきます。
さらに、ネット証券で毎月決まった金額を投資信託に積み立てる設定にしておけば、貯金と資産運用を同時に進められます。
買い物の予算を決める
食費を毎月2万円以内に抑えるには、1週間あたり5,000円というハッキリとした上限を決めて、栄養があるものを安く買う習慣をつけることが大切です。
例えば、月曜から金曜の朝ごはんは、オートミールや冷凍ブルーベリー、ヨーグルトで決めておけば、1食あたり90円くらいで、体に良い栄養をバランスよく摂れます。
お昼ご飯は、鶏むね肉を使った照り焼き丼など、高タンパクで脂質が少ないものをベースにすると、1食あたり150円くらいに抑えられます。
夕食は、豆腐を使った野菜鍋やサバ缶カレー、豚こまの生姜焼きなど、安くて栄養のあるメニューをローテーションしてみましょう。
週末には、鶏むね肉や旬の野菜、缶詰、乾物などをまとめ買いして、1週間分の5,000円に収める形です。
日用品は、バラバラで買うのとまとめて買うのとでどちらが得かを把握すると、かなりの無駄をなくせます。例えば、シャンプーや洗濯洗剤、トイレットペーパーなども、容量あたりの値段を比べて、一番安いものを選びましょう。
あなたが30日以内に使い切れる量で、一番単価が安いものを選んで、家に置く場所や使用期限も考えて、まとめて買うかどうかを決めると良いでしょう。
キャッシュレス決済のポイント還元を、「実質的に安くなった分」として家計に組み込むと、固定費でも変動費でも1〜2%くらい自動で節約できます。
例えば、ポイント還元率が1.5%のクレジットカードをスーパーやネット通販、電気代やガス代の支払いに集中させて、さらにポイントが二重取りできるサービス(Kyashや楽天ペイなど)を一緒に使うと、合計で最大2.5%のポイントが貯まります。月のカード利用額が8万円なら、2,000円分のポイントがもらえるので、食費の半分近くが実質タダになるイメージです。大事なのは、給料日とカードの締め日のズレをうまく利用して、引き落としの時に口座にお金が足りなくなることがないようにすることです。
収入が入ったらまず貯金する
毎月お給料が振り込まれたら、すぐに別の口座に自動でお金を移す仕組みを作っておくと、意識しなくても貯金がどんどん増えていきます。
さらに、税金が優遇される口座を貯金先に選ぶと、もっと効率的に貯金できます。iDeCo(イデコ)という制度は、積み立てたお金の全額が税金の対象から外れるので、所得税と住民税が安くなります。
会社の「財形制度」がある場合は、財形年金貯蓄を活用すると、利子に税金がかからないので、普通に貯金するよりもお得になることが多いです。税金が引かれた後の手取りを最大にするという視点で、先取り貯金の場所を選ぶことが大事です。
2024年から始まった新しいNISA(ニーサ)は、投資で増えたお金に税金がかからない制度です。この制度を活用して投資・運用を行うのもいいでしょう。詳しくは金融庁のサイトをチェックしてみてくださいね。
先取り貯金は、家計管理にとって一番大きなメリットがあります。それは、人は口座に残っているお金を見て「これだけ使える」と思ってしまうので、あえて使えるお金を少なく見せることで、自然と無駄遣いを減らせるという点です。実際に実験では、手取り20万円のうち4万円を別の口座に移した人と移さなかった人を比べたら、移した人の方が毎月2万6千円も支出が少なかったという結果が出ています。
さらに、残高が少ない口座で生活する習慣が身につくと、外食したり、衝動買いしたりする時に、「この残りのお金で月末までどうやって過ごそう?」とすぐに考えるようになります。
この考え方の変化は、固定費の見直しにもつながり、スマホの料金プランを変えたり、サブスクを整理したりと、自分から節約を進めるようになります。結果として、先取り貯金は、家計を強くするだけでなく、将来の資産を増やすためにもとても役立ちます。
自動で貯金する仕組みを作るのは簡単です。
- お給料が振り込まれる銀行口座をネットバンキングで開き、自動で他の口座に振り替える日を設定する。
- iDeCoやNISAでお金を積み立てる設定を、給料日と同じ日に合わせる。
- もし会社の財形貯蓄や定期預金をしているなら、引き落とし日も給料日と同じ日に揃える。
この3つのステップだけで、「お給料が入る→貯金に回る→残ったお金で生活する」という流れが完全に自動でできるようになります。設定ができたら、半年に一度くらい貯金額と積み立てたお金を確認して、お給料が上がったりボーナスをもらったりしたタイミングで、貯金する割合を見直すと、手取り20万円でも無理なく資産が増える仕組みが作れます。
工場勤務で収入アップを目指す方法
工場で働いていると、正社員でも派遣社員でも、「夜勤手当」「交替勤務手当」「資格手当」など、基本給以外にもらえるお金がたくさんあります。例えば、時給1,300円の派遣社員の人が、週に2回夜勤をして(1回2,000円)、交替勤務手当が月に1万円、フォークリフトの免許を持っているので資格手当が月に5,000円もらえる場合、1年で手当だけで約42万円にもなります。手取り20万円くらいでも、こういった手当を積み重ねれば、1年で40万円〜50万円くらい収入を増やすことができるので、少ない時間で収入を増やしやすい仕事と言えるでしょう。
さらに、工場での仕事ぶりは、だいたい「どれだけ生産できたか」「品質はどうか」「周りを引っ張っていけるか」の3つの点で評価されることが多いです。生産性については、例えば「この作業、もっと早くできないかな?」と提案して、作業時間を短くできれば評価が上がります。品質管理では、「不良品を0.2%減らしました!」のように具体的な数字で結果を出せると良い評価につながります。リーダーシップについては、新しい人に仕事を教えたり、職場の整理整頓(5S活動)で表彰されたりすると、評価に結びつきます。正社員だけでなく、派遣社員でも、こういった日々の頑張りが派遣会社を通して評価され、時給アップにつながることもあります。
また、正社員での工場勤務は将来のキャリアパスが描きやすいのもメリットです。入社して1〜2年目は、安全に作業する方法や機械の知識をしっかり覚えることを一番に考えましょう。3年目くらいには、小さなラインのリーダーのサポートを任されることを目標にしてみましょう。5年目にはラインリーダーとして、生産計画を立てたり、人の配置を決めたりする役割になり、年収も50万円くらい増える可能性があります。派遣社員の場合でも、現場での経験を積むことで、より専門的なスキルが求められる仕事にステップアップしたり、正社員登用のチャンスを得たりすることができます。
例えば、機械のメンテナンスをする「設備保全」の仕事にステップアップして、特殊な機械の操作やIoT(モノのインターネット)を使ったメンテナンスの知識を身につければ、年収500万円台に到達する道も開けてきます。こうして具体的な目標を決めて、必要な資格や経験を計画的に積んでいけば、手取り20万円の壁を着実に超えていけるでしょう。
資格を取ってスキルを上げよう!
フォークリフト運転技能講習、玉掛け技能講習、危険物取扱者(乙種第4類)といった、すぐに役立つ国家資格は、取るための費用がそんなにかからないのに、お給料に直結しやすいのが大きなメリットです。
例えば、フォークリフトの講習は最短3日で、費用は約3万5千円です。玉掛けは4日で約2万円、危険物取扱者もテキスト代と試験代込みで1万円台に収まります。
フォークリフトの免許を持っている人には、月に3千円〜5千円くらいの資格手当がつくことがあるので、その場合は1年で3万6千円〜6万円になります。講習費用を引いても、6ヶ月から1年くらいで元が取れる計算です。実際の支給額は企業によるので、一度確認してみてくださいね。
夜勤や交替勤務の現場では、「フォークリフトと危険物」の2つの資格を持っている人に、時給を50円〜80円プラスする工場もあるので、この場合は2〜3ヶ月で元が取れるくらい早く、資格取得の費用を回収できます。
一方で、最近はIoT化が進んで「スマートファクトリー」と呼ばれる工場が増えています。こういった工場では、PLC(機械を動かすためのコンピューター)の操作や、データ分析のスキルを持っている人が、すごく高く評価されるようになります。実際に求人を見ると、PLCのプログラムが読める機械のメンテナンス担当者や製造のデータを分析できる人など、このようなスキルを持つ人材は市場価値が高く、高収入が期待できます。こういったスキルを身につけるためのオンライン講座は、15万〜20万円くらいで受講できるものもあります。お給料が上がった分で考えると、最短4〜6ヶ月で費用が回収できるくらい、早く元が取れるんです。将来、工場がもっと自動化されていく中で、そういった技術をリードできる人材として評価されるので、景気の変動に強く、安定したキャリアを築けるというメリットもあります。
このような資格やスキルを取るにはお金がかかりますが、会社の補助制度や、国や自治体の助成金を使えば、費用を大幅に抑えられます。まず、正社員の場合は、あなたの会社に「自己啓発支援制度」がないか確認してみましょう。あれば、研修を受ける前に計画書を出して承認されれば、費用の50%〜100%を会社が負担してくれることが多いです。派遣社員の場合でも、派遣会社によっては「資格取得支援制度」や「キャリアアップ支援制度」を設けているところがあります。担当の営業さんに相談してみましょう。もし会社の制度がなくても、「専門実践教育訓練給付金」という国の制度を使えば、受講料の最大70%(年間上限56万円)がハローワークから戻ってきます。さらに、都道府県が提供している「産業人材育成補助金」などを併用すると、実質的に自分で払うお金がゼロになるケースも珍しくありません。申請の手順は、「講座を選ぶ→ハローワークで事前に申請する→受講する→終わったら給付を申請する」という4つのステップだけです。少し手間はかかりますが、それ以上のメリットがあるので、お金の心配でスキルアップを諦める必要はありません。
今の仕事を続けるだけでなく、転職という手段も
派遣社員の場合も、転職は有効な収入アップの方法です。同じ派遣会社の中で、より時給の高い案件や、正社員登用制度のある案件に切り替えることを担当営業に相談してみましょう。また、別の派遣会社に登録して、今よりも良い条件の仕事を探すのも良い方法です。複数の派遣会社に登録することで、より多くの求人情報を比較検討でき、あなたのスキルや経験を高く評価してくれる会社を見つけやすくなります。
まとめ:手取り20万円でも豊かな生活を実現する方法
手取り20万円でも、お金の知識と少しの工夫があれば、不安なく充実した毎日を送りながら、将来の夢もしっかりと追いかけることができますよ。今日から、あなたのお金を味方につけて、豊かな未来への一歩を踏み出してみませんか?
よくある質問と回答
Q. 手取り20万円でも老後のためのお金は足りますか?
A. 老後の生活に必要な費用は、国からもらえる年金と、自分で貯めたり増やしたりしたお金を合わせて、月にだいたい25万円くらいと言われています。もし国からもらえる年金が月に15万円だとすると、足りない10万円を補うために、65歳までに約2,500万円の貯金や投資したお金が必要になります。毎月3万円を、年利5%くらいで30年間積み立てていくと、だいたい2,500万円になります。なので、早いうちから「先取り貯金」と「つみたてNISA」という税金がかからない投資の制度を組み合わせて準備すれば、十分に目標に届くことは可能です。
Q. 夜勤が体の健康にとって不安です。何か対策はありますか?
A. 昼夜逆転するシフトは、体のリズムに負担をかけます。体の負担を減らして、質の良い睡眠を取るために、次の3つを心がけてみましょう。
- シフトの前後に、3時間くらいの仮眠をしっかり取るようにする。
- 寝る前は、スマホやパソコンの画面から出るブルーライトを見ないようにする。ブルーライトは、睡眠を促すホルモンの分泌を邪魔してしまいます。
- 菓子パンや白米など、血糖値が急に上がる食べ物を控えめにし、タンパク質を中心とした食事にする。これにより、血糖値の急激な変化を防ぎ、睡眠の質が良くなります。
もし、会社の健康診断などで「ストレスが多い状態」と判断された場合は、会社の産業医さんと相談して、シフトを変えてもらう交渉をするのも有効な方法です。
Q. 急に大きなお金が必要になった時、貯金崩しても大丈夫ですか?
A. まずは、「生活防衛資金」という、急な病気や失業の時に備えるお金(手取りで3ヶ月〜6ヶ月分の生活費)を、いつでも引き出せる普通預金に置いておきましょう。本当に急な高額な出費があった場合は、この生活防衛資金から使うようにしてください。
それでも足りない場合にだけ、将来のための投資に回しているお金を一部解約することも考えられますが、その場合は、解約した分のお金を「次の月から少しずつ積み立てる」計画を立てることをおすすめします。こうすることで、将来の資産を増やすペースが大きく崩れるのを防げます。
Q. 副業が会社のルールで禁止されています。収入を増やす他の方法はありますか?
A. 会社のルールで副業が禁止されている場合でも、収入を増やす方法はいくつかあります。
- 夜勤シフトや休日出勤を増やすなど、手当がもらえる働き方を最大限に活用する。
- フォークリフトや玉掛けなど、資格手当がつく資格を取る。
- 日々の仕事で、生産性を上げたり、品質を良くしたりする改善のアイデアを出して、人事評価を上げ、お給料アップを目指す。派遣社員の場合は、派遣会社に自分の貢献度をアピールして、時給アップや正社員登用のチャンスを狙いましょう。
これらの方法を組み合わせれば、副業ができなくても、年間で30万円〜50万円くらい収入を増やすことも期待できますよ。
Q. 節約がなかなか続きません。やる気を保つコツはありますか?
A. 節約を続けるには、以下のコツを試してみてください。
- 節約できた金額を「見える化」する: 家計簿アプリで、その月にどれくらい貯金できたか、節約できたかをリアルタイムで確認できる機能を使うと良いでしょう。あなたのスマホのホーム画面に、貯金状況が見えるウィジェットを置いておくのもおすすめです。頑張りが数字になって見えると、達成感が得られてやる気が続きます。
- 「ご褒美」を設定する: 節約目標を達成した月には、自分へのちょっとしたご褒美を用意しましょう。例えば、節約で浮いたお金の中から1,000円だけを使って、普段行かないカフェで贅沢なコーヒーを飲む、といった「体験」のご褒美がおすすめです。「節約ばかりでつまらない」という気持ちにならずに、モチベーションを維持しやすくなります。
- 小さな目標から始める: 最初から大きな節約目標を立てるのではなく、「今週は食費を〇〇円に抑える」「今月は使っていないサブスクを一つ解約する」など、達成しやすい小さな目標を立てて、一つずつクリアしていくことから始めてみましょう。小さな成功体験が積み重なると、大きな節約にも挑戦できるようになります。
公開日:
更新日:
