求人票でよく見かける「年間休日105日」。この数字を見て、「これって休みが少ないのかな?」「きついって聞くけど本当?」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、製造業や工場での勤務を考えている皆さんのために、年間休日105日のリアルな働き方と、後悔しない職場選びのポイントを分かりやすく解説します。

年間休日とは?その基準と平均を知る

まず、年間休日について正しく理解することから始めましょう。

年間休日の定義と労働基準法の最低ライン

「年間休日」とは、会社が従業員に与える1年間の「休日」の合計日数のことです。

ここで大切なのが、「休日」と「休暇」の違いです。

  • 休日:もともと働く義務がない日のことで、年間休日数に含まれます。
    • 法定休日: 労働基準法で「週に1日、または4週間で4日以上」与えなければならないと定められた、最低限の休日です。もしこの法定休日に働いた場合は、通常より高い割増賃金(35%以上)が支払われます。
    • 所定休日: 会社が就業規則などで独自に設定する休日です。土日や祝日、年末年始休暇、夏季休暇などがこれに当たります。祝日は国の記念日ですが、会社が休みにするかどうかは自由なため、会社によって判断が分かれます。
  • 休暇:本来は働く日ですが、特別な理由で労働が免除される日のことです。これらは年間休日数には含まれません。
    • 年次有給休暇: 労働者の権利として付与される休み
    • 産前産後休業: 出産前後に取得できる休み
    • 育児休業: 子育てのために取得できる休み
    • 介護休業: 家族の介護のために取得できる休み

時代とともに「週休2日制」が広がり、最近では「年間休日120日以上」が「働きやすい会社」の目安とされるようになりました。年間休日数は、会社がどれだけ社員の働き方を考えているかを示す「ものさし」のようなものだと言えます。

労働基準法では、最低でも「毎週少なくとも1回の休日」か「4週間で4日以上の休日」を与えることが義務付けられています。これに加えて、週の労働時間が40時間を超えないようにシフトを組む必要があります。もし会社がこの最低基準を守らない場合、罰則を受ける可能性があります。皆さんも、会社カレンダーや36協定(時間外労働・休日労働に関する労使協定)などで、このルールが守られているか確認することが大切です。

日本の年間休日数の平均と業界別の傾向

厚生労働省の最新の調査である「令和6年就労条件総合調査」(令和5年1年間の状況)によると、日本企業の平均年間休日数は112.1日、労働者1人あたりの平均年間休日数は116.4日です。これは、いずれも昭和60年以降で過去最多の年間休日数となっています。

また、業界によっても年間休日数は大きく異なります。

業界平均年間休日数(日)特徴
情報通信業121.3プロジェクト単位の業務、柔軟な働き方
金融・保険業120.9市場休場日に休み、高利益率
製造業110.6中間的、生産ラインの稼働率に左右される
建設業106.8天候や工期に左右されやすい
医療・福祉105.224時間365日サービス提供
宿泊業・飲食サービス業96.5繁忙期の売上重視、人手確保が課題

※上記はあくまで平均となり、個別の企業や働き方によって異なる場合があります。

同じ「フルタイム正社員」でも、年間で20日以上も休日が違うことがあるため、仕事を選ぶ際にはこの差をよく理解しておくことが重要です。

また、大企業と中小企業でも年間休日数には差があります。従業員1,000人以上の大企業では平均119.4日と、120日に近い数字ですが、30〜99人規模の中小企業では約108日と、10日以上の差があります。大企業の方が、人員に余裕があったり、業務の効率化が進んでいたりするため、休日を多く設定しやすい傾向にあります。

年間休日105日の実態と働きやすさの真相

では、具体的に年間休日105日という働き方はどのようなものなのでしょうか。

年間休日105日がきついと感じる理由

年間休日105日は、1年(365日)から計算すると、週に約5日働くことになります。毎週土日休みだと年間104日なので、それに1日休日が追加されるイメージです。しかし、多くの人が「きつい」と感じるのには理由があります。

労働日数が増えることによる負担

年間休日105日だと、祝日の多くが出勤日になることが多いです。これにより、年間で働く日数が多くなり、その分、体や心への負担が増える可能性があります。

厚生労働省の調査では、年間で働く時間が2400時間を超える人は、そうでない人に比べてうつ症状が出る割合が高いという報告もあります。休日が少ないと、疲れが取れにくく、集中力も低下しがちです。製造業の現場では、集中力が落ちることでヒューマンエラーが増え、品質の問題につながるケースも報告されています。

また、働く時間が増えると、家族との時間や趣味の時間が減ってしまうこともあります。特に子育て中の方にとっては、保育園の延長料金が増えたり、学校行事に参加しにくくなったりと、家計や生活面での負担も大きくなることがあります。

祝日や長期休暇の少なさ

年間休日105日の会社では、祝日が原則として出勤日になることが多いです。そのため、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などのまとまった長期休暇が短くなる傾向があります。

例えば、ゴールデンウィークが3連休だったり、年末年始が4連休だったりすると、旅行や遠方への帰省を計画するのが難しくなります。「せっかくの大型連休なのに、移動だけで終わってしまった…」という声も聞かれます。

まとまった休みが取れないと、心身のリフレッシュが十分にできず、仕事へのモチベーションが下がったり、離職につながったりすることもあります。ある電子部品メーカーでは、年間休日105日体制を維持していた年に離職率が高く、その退職理由の約半分が「休暇の取りづらさ」だったというデータもあります。

残業時間との関係性

年間休日が少ない会社ほど、月の残業時間が長くなる傾向が見られます。厚生労働省の調査データを見ても、年間休日が110日を下回る会社は、120日以上の会社に比べて月平均の残業時間が約1.5倍も長いという結果が出ています。

年間休日数グループ月平均残業時間(時間)傾向
95~110日未満26.5休日が少ないほど残業が多い傾向
110~120日未満22.1
120日以上17.8休日が多いほど残業が少ない傾向

働き方改革関連法で残業時間の上限は決まっていますが、休日が少ない会社では、この上限ギリギリまで残業が常態化しているケースもあります。特に製造業の現場では、生産目標を達成するために、繁忙期に多くの残業が発生し、是正勧告を受ける事例も報告されています。

会社を選ぶ際は、年間休日数だけでなく、月々の平均残業時間や、繁忙期・閑散期の残業時間の具体的な状況も確認することが大切です。

年間休日105日のメリットとデメリット

では、年間休日105日だからこそのメリットと、注意すべきデメリットを整理してみましょう。

メリット:週休2日制に近い働き方

  • 週末の休みが確保されやすい:毎週土日休みの場合が年間104日なので、それに少し休日を加えた形です。そのため、基本的には週末は休めるリズムになりやすいです。
  • 平日休みを有効活用できる:シフト制の職場であれば、月に1〜2回ほど平日休みが発生します。平日だと役所や銀行、病院などが空いているため、待ち時間なく用事を済ませられます。また、レジャー施設や映画館なども平日料金で利用でき、混雑を避けてゆっくり楽しめます。
  • 生活リズムが安定しやすい:週末が休みのことが多いので、寝る時間や起きる時間が大きく変わることが少なく、身体的な負担やストレスを抑える効果が期待できます。
  • 自己成長の時間を確保しやすい:決まった曜日の夜にオンライン講座を受けたり、資格の勉強をしたりと、自己啓発の時間を計画的に確保しやすいという声も聞かれます。

デメリット:休暇の少なさが生むストレス

  • 心身の回復が不十分になる可能性:祝日が出勤になることで、まとまった連休が少なく、十分に休めないと感じることがあります。これにより、疲れがたまってストレスを感じやすくなります。
  • プライベートの制約:土日休みの友人や家族と予定を合わせにくい、長期旅行や遠方への帰省が難しいといった制約が生じやすいです。
  • モチベーションの低下:「休みがない」と感じると、仕事への意欲が下がったり、趣味や自己成長の機会を諦めざるを得なくなったりすることもあります。
  • 企業側にとってもデメリット:従業員の休日不足は、体調不良による欠勤の増加や、集中力低下による生産性の低下、さらには離職率の上昇につながり、結果的に企業にとっても大きなコストとなることがあります。

年収や労働条件との関連性

年間休日105日の求人は、年収が高めに提示されていることがあります。これは、「固定残業代」が含まれていることが多いからです。例えば、「月給30万円(固定残業代40時間含む)」と書かれている場合、実際の残業が40時間未満でも給料は変わりません。そのため、実質の時給で考えると、年間休日がもっと多い会社のほうが良いというケースも珍しくありません。

求人票を見る際は、給料の額面だけでなく、「福利厚生の充実度」(住宅手当、退職金制度、確定拠出年金など)や「残業代がどのように支払われるか」も確認することが大切です。これらの手当が少ないと、見かけの年収が高くても、手元に残るお金や将来に備えられるお金が少なくなる可能性があります。

逆に、年間休日がもっと多い会社(例えば120日以上)で、年収が少し低めだったとしても、その分「空いた時間」を有効活用して収入を増やすことも可能です。例えば、土日祝にしっかり休めるなら、副業を始めたり、資格取得の勉強に力を入れて将来のキャリアアップを目指したりすることができます。休日は単なる休みではなく、「将来のための時間投資」と考えることもできるのです。

年間休日105日と他の休日数との比較

年間休日105日と、より多い120日以上の会社では、働き方や会社の考え方に大きな違いがあります。

年間休日120日以上の企業での働き方

年間休日120日以上の企業は、IT業界や外資系企業、製薬業界などに多く見られます。これらの企業は、利益率が高かったり、社員一人あたりの生産性が高かったりするため、休日を多く設定する余裕があります。

年間休日120日以上の会社では、基本的に毎週土日と祝日はすべて休み、さらに会社独自の休暇(年末年始休暇、夏季休暇、計画年休など)が加わるのが一般的です。年間で働く日数は約245日となり、月平均では「週4日ちょっと」働くようなイメージです。

しかし、休日数が多いからといって、必ずしも「ゆとりがある」とは限りません。本当に働きやすい会社かどうかは、以下の3つのポイントも合わせて確認しましょう。

  1. 残業時間:月20時間未満、年間240時間以内がホワイト企業と呼ばれる目安です。
  2. 有給休暇取得率:厚生労働省の調査で平均は約58%ですが、70%以上を取得できているかが目安になります。
  3. 在宅勤務の割合:週に何日か在宅勤務ができれば、通勤時間が減り、実質的な自由時間が増えます。

これらのポイントが揃って初めて、「休みが多い=ゆとりがある」と実感できるでしょう。休日が多い環境で成果を出すためには、自分で仕事の計画を立てたり、効率よく進めたりする「セルフマネジメント」のスキルも大切になります。

休日数が労働者の満足度に与える影響

さまざまな調査で、年間休日数が多いほど、働く人の「仕事への意欲(エンゲージメント)」や「生活の満足度」が高いという結果が出ています。休日が増えることで、心身がリフレッシュでき、趣味や家族との時間が増えるため、仕事へのモチベーションも高まる傾向があるのです。

また、休日が多い会社は、社員の離職率が低く、社員が知人に「この会社はおすすめだよ」と紹介する割合も高い傾向にあります。これは、会社にとって休日を増やすことが、社員の定着や良い人材の確保につながる「投資」になっていることを意味します。

ただし、ただ休日を増やせばいいというわけではありません。休日が多すぎると生活リズムが崩れたり、社内でのコミュニケーションが不足したりすることもあります。大切なのは、「休日数」だけでなく「有給の取りやすさ」や「休暇の質」を合わせて考えることです。例えば、有給を計画的に取れたり、まとまった連休が取れる制度があったりする会社は、たとえ年間休日が平均的でも、実質的な満足度は高くなります。

年間休日105日と完全週休2日制の関係

求人票でよく目にする「完全週休2日制」という言葉。年間休日105日とどう関係するのでしょうか?

「完全週休2日制」ってどういう意味?

「完全週休2日制」とは、1週間のうち必ず2日間が休みになる働き方を指します。つまり、どんなに忙しくても、カレンダー上で週5日以上働くことはありません。

これと似た言葉に「週休2日制」がありますが、これは「月に1回だけ週2日の休みがあればよい」という、かなり緩い基準でも名乗れてしまいます。例えば、祝日がある週に土曜出勤がある会社でも「週休2日制」と言えるため、この2つの言葉は混同しないよう注意が必要です。

完全週休2日制の会社では、法律で決められた休日に加えて、社員が仕事と仕事の間にきちんと休めるよう、「勤務間インターバル(終業から次の始業までに一定の休息時間を与える制度)」も意識していることが多いです。

年間休日105日で完全週休2日制は可能?

年間休日105日でも「完全週休2日制」を謳う会社は実際に存在します。

その理由はシンプルです。1年が52週なので、毎週土日を休みにすると年間104日になります。ここに年末年始休暇などをたった1日加えれば、合計105日になるからです。つまり、祝日は出勤日になることが多いけれど、土日は必ず休み、という仕組みです。

このような会社では、ゴールデンウィークやシルバーウィークもほとんど出勤日となり、長期連休は年末年始だけ、というパターンがよく見られます。土日はしっかり休めるメリットはありますが、まとまった連休が取りづらいという声が多いのも事実です。

「完全週休2日制」という言葉だけで「祝日も休める」と誤解して入社し、後で驚くケースも少なくありません。そうならないために、面接では以下の4つの点を必ず確認しましょう。

  1. 祝日は休みか?
  2. 祝日出勤した場合、振替休日や代休は取れるか?その取得率は?
  3. 有給休暇と組み合わせて長期連休は取れるか?
  4. 繁忙期に臨時で土曜出勤が発生することはないか?

可能であれば、会社カレンダーを見せてもらい、ご自身の生活と照らし合わせてみることが、入社後の満足度を高めるための近道です。

求人票の表記に注意すべきポイント

求人票に書かれていることは、必ずしも「日常のリアル」をそのまま表しているわけではありません。

例えば、「年間休日120日以上(当社カレンダーによる)」と書かれていても、実際には祝日が強制的に出勤日になっていて、年間105日程度しか休めなかった、という話も聞きます。また、「月収例30万円」とあっても、固定残業代や深夜手当が満額含まれた「一番高いモデルケース」であることが多く、実際の月の手取りはもっと少ない場合もあります。これらは、求人情報を目立たせるための「数字のマジック」として使われることがあるので注意が必要です。

数字の裏側を見抜くためには、面接や工場見学で具体的な質問を投げかけるのが一番確実です。例えば、以下のような質問をしてみましょう。

  • 「年間休日について具体的なイメージを持っておきたく、もし可能でしたら、去年の会社カレンダーを見させていただけますでしょうか?」
  • 「繁忙期の残業時間は月にどのくらいになりますか?特に残業が多い月はいつ頃ですか?」
  • 「もし休日出勤した場合、振替休日と割増賃金、どちらになりますか?」
  • 「有給休暇は皆さんどのくらい取得していますか?取得しやすい雰囲気ですか?」

内定をもらった後には、口頭で聞いた条件が「労働条件通知書」や「就業規則」といった書面にきちんと書かれているかを必ず確認してください。もし面接で聞いた話と書面の内容が違っていたら、担当者に確認し、納得できない場合は、内定を辞退することも選択肢の一つです。

困ったときは、ハローワークや都道府県の労働局の相談窓口に相談することもできます。これらの公的な機関は、皆さんの「交渉の後ろ盾」になってくれますよ。

年間休日105日を選ぶべきか?判断基準と注意点

年間休日105日という働き方が、皆さんに合っているのかどうか、最終的に判断するためのポイントをまとめます。

求人票で確認すべきポイント

年間休日数の内訳を確認する方法

求人票には総日数しか書かれていないことが多いので、以下の質問をして、具体的な内訳を確認しましょう。

  • 「祝日は勤務日になりますか、それとも休みになりますか?」
  • 「夏季休暇や年末年始休暇は、それぞれ何日間ありますか?固定ですか?」
  • 「有給休暇以外に、会社独自の特別休暇はありますか?」
  • 「もしよろしければ、去年の年間休日カレンダーを見せていただくことは可能でしょうか?」

特に交替制勤務の職場を考えている場合は、シフト表のサンプルを見せてもらい、休日が連続で取れるのか、飛び飛びになるのかを確認することも大切です。

有給休暇や休日出勤の有無をチェック

年間休日が105日でも、有給休暇が取りやすい会社であれば、実質的な休みの日数は増えます。

  • 有給休暇の取得義務(年5日):法律で、会社は従業員に年間5日以上の有給休暇を取らせることが義務付けられています。会社が取得日を指定する「計画的付与制度」を導入しているか確認しましょう。
  • 休日出勤のルール:休日出勤した場合に、必ず振替休日がもらえるのか、それとも割増賃金で支払われるのか、そのルールと割増率はいくらかを具体的に確認しましょう。
  • 有給取得率:会社によっては有給取得率を公開している場合もあります(特に大企業)。応募先の会社と似た規模の他社のデータと比較してみるのも良いでしょう。
  • 固定残業代や皆勤手当:固定残業代が高額な場合や、皆勤手当がある会社は、「休みを取りにくい」雰囲気が存在するサインかもしれません。

これらの点を総合的に確認することで、「求人票に書かれた数字」と「実際に休める日数」のギャップを最小限に抑えられます。

残業時間や労働義務の実態を把握する

残業時間の実態を知るには、月平均だけでなく、「一番残業が多い月はどのくらいですか?」「繁忙期はいつ頃ですか?」といった、具体的な質問をしてみましょう。

また、「みなし労働時間制」や「フレックスタイム制」など、少し複雑な働き方を導入している会社もあります。これらの制度がある場合は、実際に働く時間がどう計算され、残業代がどう支払われるのか、仕組みをしっかり理解しておくことが大切です。

もし可能であれば、社員の口コミサイトなども参考に、面接で聞いた情報と実際の状況に大きな違いがないかを確認してみるのも良いでしょう。

年間休日105日で働く際の注意点

労働者が知っておくべき法定基準

ご自身が安心して働くために、労働に関する基本的なルールを知っておきましょう。

  • 労働時間の上限:原則として「1日8時間、週40時間」までと法律で決まっています。
  • 休日:「毎週少なくとも1日」または「4週で4日以上」の休日が義務付けられています。
  • 残業代の割増率:通常の残業は25%以上、法定休日(週1日の休み)に働く場合は35%以上の割増賃金が支払われます。深夜勤務(22時〜翌5時)の場合はさらに25%以上が上乗せされます。
  • 残業時間の上限:36協定を結んでいても、原則として「月45時間、年360時間」を超える残業はできません。特別な事情がある場合でも、さらに厳しい上限(年720時間、単月100時間未満など)が設けられています。

もし、ご自身の職場でこれらのルールが守られていないと感じたら、最寄りの労働基準監督署に相談することができます。匿名でも相談できるので、安心して活用しましょう。

休暇制度を最大限活用する方法

年間休日が少ないと感じても、会社の休暇制度を上手に使うことで、実質的な休みを増やすことができます。

  • 年次有給休暇(有給)を計画的に使う:入社半年後に10日以上付与される有給は、労働者の権利です。ゴールデンウィークや年末年始などの前後に1〜2日有給を付け足して、連休を長くする工夫ができます。会社が「計画的付与制度」を導入していれば、会社指定の休みと合わせて、さらに休みを増やせることもあります。
  • 法定休暇を知る:有給以外にも、産前産後休業、育児休業、介護休業、子の看護休暇など、法律で定められた休暇があります。これらの制度は、雇用保険や健康保険から給付金が出る場合も多いので、いざという時に困らないよう、どんな制度があるか確認しておきましょう。
  • 会社の独自制度もチェック:リフレッシュ休暇、誕生日休暇、資格取得のための休暇など、会社独自のユニークな休暇制度がある場合もあります。積極的に活用して、心身のリフレッシュや自己成長に役立てましょう。

就業規則や社内ポータルサイトで、どんな休暇が使えるのか確認し、ご自身の年間計画に落とし込んでみるのがおすすめです。早めに申請すれば、希望通りに休みが取れる可能性が高まります。

休日数以外の労働条件を総合的に判断する

求人票の年間休日数だけを見るのではなく、以下のポイントも合わせて確認し、総合的に判断しましょう。

  • 1日の所定労働時間:休憩時間を除いた実際の労働時間は、会社によって少しずつ違います(7時間45分、8時間など)。これが短いほど、残業が同じでも実質的な負担は軽くなります。
  • 月の総実労働時間:残業も含めて、1ヶ月に合計でどのくらい働くことになるのか。
  • 勤務形態の柔軟性:フレックスタイム制(出社・退社時間を自分で決められる)や在宅勤務制度があるか。これらがあれば、通勤時間を減らしたり、私用を済ませやすくなったりと、時間の使い方がぐっと自由になります。
  • 勤務間インターバル:前の仕事が終わってから次の仕事が始まるまでの休息時間が、しっかり確保されているか(厚生労働省は9~11時間を推奨)。
  • 福利厚生の充実度:住宅手当、資格取得補助、社員食堂の有無、会社のレクリエーションなど、生活をサポートする制度が充実しているか。

これらの条件を比較するために、エクセルやノートに「労働条件マトリクス」を作成してみるのも良いでしょう。それぞれの項目に点数をつけ、自分にとっての重要度で重み付けをすることで、複数の会社を客観的に比較し、自分に一番合った職場を見つけやすくなります。

例)労働条件比較シート

項目あなたの評価
(5点満点)
重要度
(%)
加重スコア
(評価点 × 重要度)
年間休日数3点30%0.9
月平均残業時間4点25%1
給料(手取り)4点20%0.8
勤務地(通勤時間)5点15%0.75
人間関係/職場の雰囲気3点10%0.3
合計100%3.75

年間休日105日が適している職種や業界

年間休日105日が平均的な業界や職種には、それぞれ特徴があります。

中小企業やサービス業の傾向

宿泊業、飲食業、小売業といったサービス業界では、年間休日が100日を下回る会社も珍しくありません。これらの業界は、お客様がいる時間帯(土日祝や夜間)に人手が必要なため、休日を確保するのが難しい傾向にあります。

特に中小企業では、少ない人数で多くの業務をこなす必要があり、一人でも休むと業務に支障が出るため、休日を増やしにくい現状があります。

しかし、最近では、予約システムを導入して繁忙期の集中勤務を緩和したり、営業時間を短縮して深夜の業務を減らしたりすることで、年間休日を増やしているサービス業の成功事例も出てきています。

製造業や工場勤務の年間休日数

製造業の工場では、生産ラインの稼働率や設備のコストを考慮して年間休日数が決められます。設備を止めるとコストがかかるため、できるだけラインを動かし続けることを優先し、休日が少なくなる傾向があります。

ただ、同じ製造業でも休日の取り方には個性があります。

  • 長期連休集中型:自動車メーカーのように、年末年始やお盆に10日前後のまとまった連休を取り、その間に大規模な設備点検を行うタイプ
  • 分散型:電子部品工場のように、需要の変動に合わせて週1~2日の所定休日を小刻みに取りながら、生産計画を調整するタイプ

工場派遣として働く場合、休日出勤で割増賃金がつき、手取りが増えるケースもあります。しかし、その分、体力的な負担や、夜勤などによる生活リズムの乱れには注意が必要です。「稼ぎ」と「生活リズム」のどちらを優先するかで、自分に合う働き方が変わってきます。

寮付きの派遣案件を選ぶ場合は、休日の取り方と寮の規則(門限や駐車場など)が合うかも確認しておくと、入社後のギャップが少なくなりますよ。

まとめ:年間休日105日で働く際に重要なポイント

「年間休日105日」という数字は、あくまで数ある条件の中の一つに過ぎません。後悔しない職場選びのために、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。

年間休日数だけでなく総合的な労働条件を確認する

年間休日の数字だけを見て会社を決めてしまうと、「残業が多すぎて結局休めない」「通勤時間が長すぎて疲れてしまう」など、想定外のギャップを感じることがあります。

そこで、「休日」「残業」「給料」「勤務地」「人間関係」といった要素に、自分なりの点数と重要度をつけて評価シートを作ってみるのがおすすめです。客観的に比較することで、それぞれの会社の「本当の価値」が見えてきます。

また、求人票の情報はあくまで入口です。面接での質問や会社説明会でのやり取りで、さらに詳しい情報を引き出しましょう。内定をもらったら、労働条件通知書や就業規則といった書面で、口頭で聞いた条件と違いがないか必ず確認することが重要です。もし納得できない点があれば、入社前にしっかり確認し、必要であれば相談窓口(ハローワークや労働局の総合労働相談コーナーなど)を活用することも検討しましょう。

年間休日105日という数字は、あくまで会社選びの一つの要素です。それを踏まえた上で、「時間の質」や「複合的な条件」をしっかりと見極め、ご自身の価値観に合った働き方を選ぶことが、長期的に満足感のあるキャリアを築くための最短ルートです。

それでも、もし土日祝日をしっかり休みたい方には

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