「板金・塗装」って聞いたことがありますか?はじめて聞いた方は「板金・塗装ってなに?」と思うかもしれません。
簡単に言えば、事故などでキズついた自動車のボディを直す医者のような存在です。何かにぶつけて凹んでしまったボディを元の形に直し、元のボディカラーと同じ色を調合して塗装します。これが板金・塗装のお仕事です。
機械化が難しく、いまだに職人の腕に頼る部分が多いこの仕事。給料の相場はどれくらいなのでしょうか。また、給料を上げるためのポイントは?
板金・塗装の給料の相場は?
板金・塗装の仕事は全国の平均で17.5万円以上となっています。正社員なら24万円以上を狙うこともできます。求人の数や、月給の相場も増加傾向にある仕事です。正社員はもちろん、派遣やバイトの仕事もたくさんあります。
また、給与額は職場によっても変わってきます。その会社がどこから板金・塗装の仕事を請け負っているのかによって、会社の売り上げが変わるからです。会社の売り上げが高ければ、給料も上がりやすくなるでしょう。たとえば、事故車の板金・塗装を保険会社経由で請け負うと、相場が高くなる傾向にあります。中古販売店の依頼は割安のケースが多いです。この仕事では「勤続○年でいくらもえる」といった決まりは特にありません。
給料を上げるためのポイントは?
板金・塗装は、職人の腕によって出来不出来の大きな差が出ます。給与を上げるには、「できることを増やす」こと、そしてどこを直したのかわからないほど、「きれいに仕上げる技術を身につける」ことが重要になります。
板金で給料を増やすポイント
具体的にどんな技術があれば、給料を上げることができるのでしょうか。よくある板金作業に必要な技術から、職人と呼ばれる技術までを紹介します。
まずは一般的な板金です。ボディをちょっとこすって凹んだ程度であれば、凹んだ部分を裏側からハンマーなどで叩いて元通りにします。その後、残ったわずかな凹凸をパテで埋めた後に、磨いて元通りのボディに戻していきます。
また、職人レベルの技術を習得すると、車のボディやフレームの自作ができるようになります。破損のひどいフレームを元通りにする作業や、フレームとボディの一部を交換して溶接する作業を一人で行ってしまう職人もいます。
このように、板金で給料をあげるためには、まずは一般的な板金技術の習得が第一歩です。コツコツと自分の技術を積み上げ、技術レベルを上げていくことで給料も増えていくでしょう。
塗装で給料を上げるポイント
次に、給料を上げるために最終的に目指したい塗装の技術レベルをご紹介します。
塗装は細かく分けるといくつかの工程に分けることができます。・サビ止めや防水のための下地を塗る工程・損傷したところとそうでないところの色に、差が出ないように色を調合して塗装する工程・最後に塗装表面を磨いて、なめらかにする工程
これらすべての業務には奥深いテクニックが存在します。例えば、目で見ただけではわかりにくい修理部分の凹凸を指先で感じ取りながら、コンマ1ミリ単位で磨き上げるテクニックです。ほかにも、塗装する色を調合する「調色」という作業を専門にしている職人もいます。長年風雨にさらされ、新車時から変化している微妙な色合いの違いを見抜く技を持っています。
資格で給料アップを狙おう!
また、車体整備士資格や自動車整備士資格などを取得すると、別途で手当がつく場合もあります。車体整備の知識と技術を持っている証明となる資格です。資格が優遇されている職場であれば、資格の習得は給料を上げるための有効な手段です。
板金・塗装のキャリアアップは?
鈑金と塗装、いずれかの技術をマスターするところから、キャリアがスタートします。職場によって、覚えていくスキルの順番は異なります。鈑金であれば、凹んだところをパテで埋めて磨く作業。塗装なら、ムラなく塗料を吹き付ける作業などから覚えていくことになるでしょう。
技術を一つずつ身につけていった後、業務範囲を広げていくのが次なるステップ。鈑金から塗装、塗装から鈑金というように、できる範囲を少しずつ広げていきましょう。規模が大きく、板金・塗装の仕事の方が数多く働いている工場であれば、スタッフを管理する人もいます。鈑金チーム、塗装チーム、それぞれのリーダーや両チームをまとめるマネージャーのポジションです。
一方、一つの会社にこだわらないキャリアアップもあります。板金・塗装は職人の腕に頼るところが大きいです。そのため、会社によって技術力の差が出やすいです。何回か転職をして、武者修行しながら腕を磨くのもいいかもしれません。さらに、自分の腕に自信が持てるようになれば、独立開業という道もあります。
まとめ
板金・塗装の仕事は、腕と経験がモノをいう実力主義の世界です。それはつまり、きれいに直してくれる職人のところに仕事が集まるということ。それだけ給料も高くなりやすいということです。では、高い技術を身につけるには、どうすればいいのでしょうか?本気で職人を目指すなら、転職も視野に入れて、技術レベルの高い職場に身をおきましょう。高度な技術や経験を積むことができることはもちろん、給料面でも期待できる可能性が高まります。
制作:工場タイムズ編集部