「セラミック」という言葉を聞いたことがあっても、セラミックがどんなものなのかは知らない人が多いでしょう。
セラミックは医療機器や電子部品から食器まで、日常生活のいろいろな場面で使われている大切な素材です。
では、どのようにしてつくられ、具体的にどう活用されているのでしょうか?今回は、セラミックについてご紹介します。
セラミックって何?
そもそもセラミックとは、どんなものなのか、そこから説明します。
セラミックとは?
セラミックとは、とても幅広い素材を意味する言葉です。どれくらい広いかというと、ガラスや陶器、コンクリート、セメントなどは、すべてセラミックなのです。金属や木材、プラスチック以外の素材で、人の手によってつくられたものはすべてセラミックです。
つくり方ですが、粘土や岩石などの鉱物を混ぜ合わせ、それを形にして焼き上げることでできあがります。陶芸をイメージしてください。粘土を壺(つぼ)や皿の形にして窯(かま)の火で焼き上げてつくりますよね。どんなセラミックも基本的につくり方は同じです。
セラミックの特徴は、硬くて熱に強い点です。その半面、繊細な素材でもあります。ガラスのように硬いのに割れやすく、高温状態にさらされることには強いのに、急激に熱したり冷やしたりを繰り返すと壊れてしまう性質があります。
どんなものに使われているの?
セラミックは、どんな製品に使われているのでしょうか?セラミックの種類とともに説明します。
ガラス
窓ガラスやコップなど、ガラス製の製品は身の回りにあふれています。
セメント(コンクリート)
セメントはコンクリートをつくるための材料で、セラミックの一種です。住宅やビルなどの建築・建設に欠かせない材料です。
陶磁器
食器としての使用法が一般的です。ほかにも、住宅の屋根に使う「瓦」や、お風呂の壁に張る「タイル」、トイレや洗面台も陶磁器の一種であり、すべてセラミックです。
ほかには、化粧品のファンデーションの中に粉末のセラミックが入っていたり、パソコンや家電製品の部品である半導体もセラミックでつくられています。日常生活のいろんな場面でセラミックは使われているのです。
セラミックってどうやってできあがるの?
セラミックにはいろいろな種類があり、つくる過程は少しずつ違います。ここでは、セラミック全般に共通する大まかな製造工程を紹介します。
1. 原料調合ガラスや陶磁器などつくりたい製品に合わせて原材料を混ぜ合わせる工程です。製品の特性や品質の安定性を決めるために重要な工程です。
2. 成形原料の調合が終わったらそれを使って形をつくります。工業製品の場合はたいてい工場で型にはめて成形します。セラミックは硬いので、完成後に削るのは大変です。それを考えて、この成形過程で削れるところは削っておきます。
3. 焼成形ができた製品を焼き上げます。ただ焼くだけではなく、温度や時間を細かく設定して強度や透明度などを調節します。製品の特性が決まる重要な工程です。
4. 仕上げ加工最後に、製品の寸法に合わせて不要な部分を削ったり、製品の表面を磨いたりします。セラミックを削るには、世界でもトップクラスの硬度を持つダイヤモンドを使います。
セラミックより高機能!? ファインセラミックとは?
セラミックの中でも特に高い性能を持つものをファインセラミックと呼びます。ここでは、ファインセラミックについて説明します。
ファインセラミックって?
セラミックの中でも、より高性能なのが「ファインセラミック」です。硬くて、熱や薬品にも強い「アルミナ」や、結晶化すると水晶と呼ばれる「石英」など、ファインセラミックの材料もいろいろです。製品の特性に合わせて原材料を選び、焼き方を工夫することで、熱を伝わりやすくしたり電気を通しにくくするといったコントロールができます。
セラミックとの違いは?
ファインセラミックは、セラミックよりも純度の高い原料でつくられています。セラミックが天然の鉱物を原料に製造されるのに対し、ファインセラミックは人工的な材料でつくられます。
ファインセラミックは、主に産業用に使われています。たとえば、エレクトロニクス産業です。半導体や液晶ディスプレイの製造装置の部品、家電製品の部品がファインセラミックでつくられています。自動車の部品もそうです。
また、医療機器、人工関節、心臓ペースメーカーといった医療分野でも活用され、虫歯の治療ではセラミックの歯が使われることがあります。ナイフやフライパンといった調理器具にも使われています。
ほかにも、ゴミ焼却炉やLED(発光ダイオード)照明、太陽電池、ハンダごてやヘアアイロンもファインセラミックが部品として活用されています。このように、ファイセラミックは、家庭やオフィスなど身の回りのいろいろな製品に使われているのです。
現代社会に欠かせない素材「セラミック」
セラミックは単に「粘土を焼いたもの」から大きく発展してきました。現在では、ガラスや陶磁器から、ファインセラミックのように最新技術を活かしたものまで、いろいろな種類があります。まさに現代人の生活に欠かせない重要な素材といえます。セラミック工場の中には、見学や体験学習を受け付けているところがあります。興味のある人は参加してみてはどうですか?
制作:工場タイムズ編集部