物流の拠点となる「倉庫」は、ネット通販が頻繁に利用されるようになったことなどから、今後もその数が増えることが予想されます。そのため、倉庫業務の仕事は今後も安定して発生していくと考えられ、そういった理由で今後倉庫業務に携わりたいという方も少なくないでしょう。今回はそんな倉庫業務の詳細や倉庫業務のメリット・デメリット、応募する際の志望動機などを紹介します。
倉庫業務とは
そもそも倉庫業務とは、製造や流通業界における倉庫内で商品の荷受けや出荷を行う仕事のことを意味します。このうち、荷受けに関わる業務には、「荷役」や入荷した商品の「検品」倉庫内の保管場所への「移動」といった作業があり、これらをまとめて「入庫業務」と呼ぶこともあります。一方、出荷に関わる業務には商品の「ピッキング」や「検品」「梱包」「荷役」などの作業があり、これらをまとめて「出庫業務」と呼ぶ場合もあります。
ひとつの倉庫内でこれらの作業を行う場合、分担してそれぞれに専任の作業員を配置することが多いですが、規模の小さな倉庫の場合は両方の業務を同じ作業員が行うこともあります。このことから、倉庫業務の求人へ応募する際には「荷受け」「出荷」のどちらを行うのか、あるいは両方を行うのかを確認する必要があります。
倉庫業務の1日の流れは勤務先によって若干の違いがあるものの、最も一般的な荷受けと出荷を別の作業員が行う職場では、それぞれの作業を1日中行うことが多くなっています。一方、両方を同じ作業員が行う職場では以下のようなスケジュールが組まれます。
午前 出荷する商品のピッキング、検品、梱包、荷役
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昼休憩
↓
午後 引き続き出荷作業、終わり次第荷受け作業を行う
一般的に配送業者による集荷は夕方までしか行われないため、倉庫ではそれに間に合わせるため出荷作業を優先して行います。この作業は通常夕方の集荷時間までには終わることが多く、この作業が終わり次第、その日に入荷した商品の荷受け業務を行います。
一方、倉庫業務に携わるにあたって覚えておかなければならないのが、繁忙期と閑散期のスケジュールの違いについてです。倉庫業務は取り扱う商品への需要の増減に合わせて仕事量が大きく変化し、それによって1日のスケジュールもまた大きく変化します。特に繁忙期には1日中出荷作業を行った上に残業も発生することがあることから、1日のスケジュールの変化に柔軟に対応できるようにしておくこともこの仕事では求められます。
倉庫業務のメリット・デメリット
倉庫業務のメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
メリット
単純な仕事が多く未経験でもすぐに慣れることができる
倉庫業務では商品の梱包や検品といった単純な作業を延々と繰り返すことが多く、その中には未経験でもできるものが多くあります。このことから、倉庫での就業経験がない方でもすぐに仕事に慣れることができるという点は大きなメリットといえます。
シフトの融通が利きやすい
倉庫業務では多くの人が同じ職場に勤務しているため、早めに申告しておけば休みを取りやすく、シフトの融通が利きやすいというメリットもあります。例えば飲食店などのサービス業の場合、倉庫業務ほど休みがとりにくいことが多いため、仕事のためにプライベートを犠牲にしたくないという方にも倉庫業務はおすすめです。
給与面での待遇がよい
地域にもよるものの倉庫業務は時給が1,000円を超えることも多く、全体として給与面での待遇がよいというメリットもあります。短期間で稼ぎたいという方や、非正規でも稼げる仕事を探しているという方にも倉庫業務はおすすめです。
正社員を目指せる
倉庫業務ではフォークリフト免許の取得などを目指せばキャリアアップも可能です。また非正規社員の正社員登用を行っている会社も多く、常に目標を持って仕事にのぞめるというメリットもあります。
デメリット
体力が必要
倉庫業務では重たい荷物を持ち上げる、またハンドリフト(荷物を積むパレットに差し込んで使用する手動式のリフト)を利用して荷物の運搬を行わなければならない場合もあり、仕事内容によっては体力を必要とします。
集中力が必要
梱包や検品では1日中同じ作業を続けることもあります。このような作業で一定の精度を保つためには集中力を切らさないことが求められ、集中力が切れやすい方にとってはこの点もデメリットといえるでしょう。
閑散期には早上がりになることもある
繁忙期と閑散期の波がある倉庫業務では、仕事が少ないとフルタイム勤務の契約であっても早上がりとなる日もあります。特に規模の小さな倉庫ではこのような閑散期の早上がりを行うことで人件費を節約していることも多いため、気になる場合は面接時に質問してみるのがよいでしょう。
夏は暑く、冬は寒い職場が多い
倉庫ではトラックへの積み込みなどを行うためシャッターが開きっぱなしになっていることが多く、空調管理がしにくいという欠点があります。そのため夏は暑く、冬は寒くなりやすい職場が多いというデメリットもあります。ただし、室温が商品の品質に影響を与える食品などを扱う定温倉庫では、季節ごとの室温の変化は少なくなっています。
倉庫業務に向いている人
以上のメリット・デメリットを踏まえると、倉庫業務には以下のような人が向いているといえます。
集中力がある人
同じ作業を延々と繰り返すことが多い倉庫業務には、集中力のある人が向いているといえます。また、倉庫業務ではフォークリフトやコンベアなどの機器に関係する事故が発生する危険性が常にあり、それらを防ぐ上でも集中力が必要です。
短期間で稼ぎたい人
倉庫業務は給与待遇がよい上に残業や夜勤も多く、頑張り次第でより多くの給料を稼ぐことができます。そのため、短期間で稼ぎたいという人もまた倉庫業務に向いているといえます。
資格を持っていない人
倉庫業務は未経験者でも携われることが多く、資格を持っていない人にもおすすめです。また、働きながらフォークリフト免許などの資格取得を目指すことも可能です。
年齢が高い人
倉庫業務には、ほかの仕事と比較して働いている人の年齢の幅が広いという特徴があります。年齢を理由にほかの仕事で不採用となってしまった人も、倉庫業務であれば採用してもらえるかもしれません。
接客が苦手な人
接客に苦手意識を持っている方は多いことでしょう。倉庫業務ではお客さんに直接接する機会が全くないため、接客が苦手という人にもおすすめです。
倉庫業務に応募する際の志望動機
倉庫業務に応募する際には以下のような志望動機を書くとよいでしょう。
体を動かすのが好きなことをアピールする
「学生時代、陸上部に所属していたことから体力には自信があります。御社の倉庫業務では体力を必要とする仕事が多いと考え、このような私の長所を生かせると確信し、応募させていただきました。また、細かな作業を長時間繰り返すという経験は前職で多分に積んだことから、そうした経験も御社での業務に生かせると考えております」
物流への興味、向上心があることをアピールする
「かつて貨物の運送会社で働いていた経験があり、そのころから物流業への興味を持っていました。御社の業務に対してはこのような物流業への興味からだけでなく、物流業界でのキャリアを積めるという点でも魅力を感じており、採用頂いた暁には、常に向上心を持つと同時に新たな資格の取得を含めたキャリアアップを目指し、業務に貢献したいと考えています」
それまでの仕事で得たスキルをアピールする
「私はかつて飲食店のキッチンで働いていた経験があり、どのようにしたら業務の効率化を図れるのかを常に考えながら作業をしていました。このような考えながら作業をするというスキルと、同職で身に付けた食品の安全性を維持するための知識は、流通加工を主とする御社の業務でも生かせるのではと考えたことから応募いたしました」
倉庫業務ならではの特徴をよく理解しよう!
倉庫業務には細かな仕事を延々と行うという点や、体力を必要とするという点で大きな特徴があります。この仕事に応募する、あるいは実際に働く際には、これらの特徴をよく理解することが重要といえるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部