「機械組立工」という職種を求人で見かけ応募を検討しているけれど、いったいどんな仕事をしているのかがわからない方もいるでしょう。この記事では機械組立工とはどのような仕事内容なのか、どのようなやりがいがあるのか、必要な資格はあるのか、などをご紹介します。
機械組立工とは?
機械組立工の仕事内容は、その名のとおり「機械を組み立てる業務」を担当する人で、あらかじめ用意された図面や設計図を確認し、そのとおりに製造していくことが仕事内容です。基本的には機械を製造する業務を担当することになりますが、企業によっては部品の削りや完成されたものに問題がないかを確認する「検品業務」などを担当することも。
機械組立工の仕事内容
機械組立工の仕事の流れは大きく分けて2種類あります。「同じ部品で同じ作業を繰り返すレーン作業」と、「部品の組立から完成まですべての工程を行う」ケースです。
担当する業務が細かく分かれている職場では、担当者としてレーンに入り、同じ部品で同じ作業をおこなうのが基本です。中には複数の組立を含めた作業を担当する場合もあり、主にレーン作業は自動車やパソコン部品の組立など、大量に製造することが必要な大規模企業に多くみられます。
一方、医療機器や農業機器など、特定の場所で使用される専門的な機械を製造している小規模企業は、レーン作業ではなく一人で部品の組立から完成までを行うケースが珍しくありません。その分、機械に対する知識が幅広く身につくので、4年、5年と続けていくことでそのジャンルの機械に精通した知識をもつことも難しくないでしょう。
機械と一口にいっても、現在では農業用から家庭用の機械、建設工業用品などさまざまな製品があり、活躍ができる企業も幅広いです。
機械組立工の給料は?
年収は全体平均では約400万円で、専門学校や短大、大学を卒業する年齢である21歳や23歳といった年齢であれば約340万円が平均、55歳頃になると550万円ほどとなっています。
資格があると有利な仕事ではありますが、仕事に就くときには資格なしでもできるので、未経験からはじめて頑張り次第で給料を上げることができる職種です。ボーナスを除いた月収としては、20万円から40万円の間が多くなっています。
中小規模の会社に多い?
2009年の「賃金構造基本統計」によると、(男女計のデータがなく)男性のみのデータですが、組立工として勤務する人数は企業規模が小さいほうが多く、10人から99人の企業規模で9万人、100人から999人の企業規模で約3万人、1,000人の規模で4万人ほどとなっています。
ただしこの賃金構造基本統計では、検査工や金属精錬工、自動車組立工は別途の扱いとなっており、自動車などを除く機械組立工のみのため、小規模の工場が多くなっている傾向にあります。
機械組立工が活躍する職場は?
機械組立工が勤務する企業としては、下記のようなメーカーを中心にあげられます。
精密機器メーカー
小さな部品を元に機械を製造しているメーカーで、扱う商品として以前は時計やカメラが中心でした。現在ではパソコンやスマートフォンの部品など身近な商品から医療や福祉に扱われる機器、印刷や測定機器など専門的なものも多くあります。メーカーの得意ジャンルにより、製造するものも大きく異なります。
自動車メーカー
自動車に関する部品を組み立てる仕事が主で、配属されるポジションによって担当する部品も異なります。エンジンやトランスミッションなどといった自動車の動力となる内部的な部品を担当することもあれば、ボディなど外見に影響する箇所を組み立てることもあります。
医療機器メーカー
精密機器メーカーのひとつにも含まれますが、医療に関する機械を中心に製造しています。使用される医療現場では患者さんの病気を治療したり検査をするのに必要な機械となるため、服装が決められていたり規定の防護服を着用するなど、衛生に注意が必要な場合が多いです。
農業用機械メーカー
農業に関する機械を製造する企業です。トラクターなどを想像する方も多いかもしれませんが、農薬や肥料を散布する機械や、土や作物を管理する機械などもあります。
建設工業メーカー
建設にかかわる機械を製造します。そのため扱う機械のサイズが大きい傾向にあります。
ロボット製造メーカー
AIの進化によりロボットが作業をおこなっている現場も増えていますが、こうしたロボット自体を人手で製造するメーカーなどもあります。
機械組立工の仕事のやりがい
組立機械工の一番の楽しい部分は、多くの人で協力し物を作りあげる楽しさを味わえることです。工作機械を自分で作ったりする方や、機械いじり全般が好きな方に向いています。
特に、自分の身近なところで使われているような製品であれば、自分が製造に関わっていることを誇りに感じられるでしょう。自分だけでなく他のポジションの人の作業を見れば、次第に出来上がっていく姿を見てものづくりに携わっている実感を強く得られます。
またライン作業ではなくひととおり大きな機械、もしくはその部品の製造を一連で担当している場合には、完成して問題がなかったときの達成感も大きくなります。
機械の仕組みに関して知識がついて詳しくなり、似たような構造の機械であれば、自分で修理ができるようになる場合もあります。こうした機械工を8年など長期間務めることで高いスキルを身に着け、独立して工場を経営する人もいます。
機械組立工に役立つ資格
組立機械工の仕事に就くこと自体には資格は必要ありません。そのため、未経験からでもはじめることができますが、資格を持っていることで有利になるものがいくつかあります。ジャンルによって役立つ資格が異なり、資格の種類や企業によっては月収に影響する場合もあるでしょう。
仕上げ技能士
機械を最終的に仕上げ、部品を綺麗にするなどの技術の資格です。やすり、削りなどを中心に扱う業務で有利になります。
電気機器組立て技能士
電子機器や回路に関する知識を必要とする資格で、電気系統関連を扱う仕事で有利になります。主に配電盤などの大きな電気機器が該当します。
家電製品エンジニア
家庭内で扱う家電製品のセットアップやトラブル対応などのスペシャリストといった資格です。資格の取得にあたり家電製品がなぜ動作するかの原理知識を知っておくことが必要なので、組立作業での工程にその知識が役立ちます。
自転車技士
自転車を組み立て、検査をするのに正しい技術と知識をもつことが必要とされる資格です。自転車やそれに近い製品の組み立てを行う現場で役立ちます。
パソコン整備士
パソコン整備士の資格は、パソコンの基礎知識としてシステムやプログラムに関する知識に加え、パソコンの部品がそれぞれどのような役割をもっているのかという知識も必要になる資格です。パソコンやスマートフォンなどの精密機械を製造する現場でこの知識が役に立ってきます。
次に紹介する資格は、組立工の作業内容によりますが、大きな部品を扱う現場では下記の資格が役立つことも多いので、できれば取得しておきたい資格です。
フォークリフト
大きな機械を動かすための特殊自動車です。加工前や加工後の大型部品を運搬するのに使用します。
玉掛け
大きな手伝いの荷物を吊る際にフックからまた別のフックへかけるときにクレーンをしっかり調整しないと事故につながるため、運転している人に合図を送る作業を担当する人が玉掛けです。大型部品を運搬する作業を安全におこなうのに必要です。
クレーン
工事現場などで見かける大きな手伝いを持ち上げ、運搬するのに使う特殊な自動車です。玉掛け作業者とのコンビネーションが大切になります。
機械組立工はものづくりが好きな人に向いている
機械組立工は製造する機械のジャンルが幅広く、レーン作業で同一作業を担当することもあれば、部品製造から完成までひととおりを担当することもあります。どのタイプでも設計どおりに製造することには変わりなく、ものづくりが好きな方にはやりがいのある仕事です。特に一般的に販売されているような製品の製造であれば、自分が製造に関わった商品を街で見かけて誇らしくなる、そんな仕事だといえるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部