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船の「艤装」とは? 大きな船を組み立てる仕事を紹介

2015/12/02公開 / 2023/06/06更新

輸出入や軍艦、クルーズ船など、たくさんの船が世界中で活躍しています。人よりもはるかに大きい船は部品だけでも大きく、人の力だけでは運びきれません。

そんな海に浮かぶ大きな船たちは、一体どうやって組み立てられるのでしょうか。そこで今回は船舶の組み立て方とその仕事を行う「船体組立工」についてご紹介します。

ブロック工法で大きな船がつくれる!

造船のおおまかな流れとしては、受注したのち模型を使って船の設計を行います。出来上がった設計書をもとに材料を加工し、組み立てるのです。今回はその中でも組み立て工程に焦点を当て、説明します。

艤装って何?

記事のタイトルにも出てきた「艤装」とは水に浮かべた後に行われる工程です。艤装とは、室内や室外、モーターなどそれぞれの設備を船体に取り付ける工程のことを指しています。岸につながれた状態で、船内の内装工事を行っていくイメージです。

また、同じ設計の船舶であっても、この艤装のやり方によって、居住性や操船のやりやすさに大きな違いが出てきます。そのため船の性質に影響を与える重要な工程となります。そこで船の操縦者と入念な打ち合わせをして、細かい指示を受けた上で慎重に進められます。

では、船が水に浮かぶまでは、どのように組み立てられているのでしょうか。

そもそもブロック工法とは?

船の組み立てには「ブロック工法」が使われます。ブロック工法とは、いくつかのブロック(塊)に船を分けた状態で部品の製造を行い、最後に組み立ててつなぎ合わせる方法です。出来上がったブロックを、ドックや船台に運び、クレーンを使用して組み立てていきます。船体を手分けしてつくられるため、作業を効率化でき、建造期間を短縮できるメリットがあります。

小組立から大組立まで

材料が設計書に沿って加工され、溶接が終わった後は、組み立ての段階です。船を組み立てる工程には、小さな部品をまとめる「小組立」、その過程で仕上がった各部品をさらにつなぎ合わせる「大組立」の工程があります。場合によっては、その間に「中組立」を行います。そして大組立が完了した後に、ブロックを巨大クレーンで吊り上げ、船へと搭載していき、徐々に形が出来上がっていきます。

自動溶接機が行う溶接

近年ではIT技術の進歩により、船の設計や建造にも社内ネットワークが活用され、造船所のあらゆる部署へと情報が伝えられています。船の建造における第一工程ともいえる、鋼材を設計書に沿って切断、溶接していく作業においてもコンピュータは欠かせません。たとえば溶接作業は、加工指示命令に従ってロボットが行います。しかし、曲面などの細かく高度な技術が必要な場合は、人の手によって行われています。

内装や配管の組み立て

船体が完成すれば、いよいよ内装の組み立てに入ります。

複雑な配管はブロック工法を採用

この段階で大きな役割を果たすのが、ブロック工法です。船の中は暗いだけでなく、突起物や落とし穴だらけです。そこで複雑な配管などの組み立ては、陸上にも設けられた施設内で組み合わせてブロック化した後に、船の中へと運び込まれます。

機関室や配線なども組み立てる

大きな船の中を縦横に駆け巡る、数え切れないほどの配線や配管。配管の組み立てを誤り、配管をふさいでしまった事例などが実際にあります。コンピュータ設計により、100%管理されているわけではなく、現場作業員が判断しながら安全な船を仕上げています。

船を組み立てるやりがいとは?

船体組立工は、小さな部品を少しずつ組み立てて大きな船をつくり上げます。多くの工程を、たくさんの従業員が支えて形づくっていきます。現場作業員の組み立てがあってこその船です。船体組立工は日々、どんなやりがいを感じているのでしょうか。

大きなスケールの仕事

どの船もオーダーメイドによりつくられているため、同じモノは存在しません。そのためここにしかない船をつくる仕事ができます。大きな船は全長数百メートルを超え、初めて造船所を訪れて船舶を見たときにはそのスケールに圧倒されるでしょう。それを仕事として携わることができる誇りは大きなものです。

携わった船が進水した瞬間

大きい船は完成までにトラブルを乗り越え、広い知識を持った大勢の従業員の力でつくり上げられています。しかしつくり上げた船が進水を迎え、海に浮かんだ瞬間は、何事にも変えられない瞬間でしょう。たくさんの従業員が同じ目標に向かっているからこそ味わえる、達成感が味わえます。

チームワークを活かした仕事

造船は、たくさんの工程を経て形になっていきます。前工程のチームから作業を引き継ぎ、自分たちの作業を終えて次の工程のチームに無事に引き継ぎことがモチベーションになる人もいます。一つの船を全員でつくることでチームに絆が生まれ、良い船をつくることにつながっていきます。

出来上がった船以上の大きな達成感

船体組立工という仕事は、小さな部品から小さなブロックをつくり、小さなブロックから大きな部品をつくるという地道な面が多くあります。それぞれの工程を、多くの従業員が支え、日々自分たちの仕事を全力で全うしています。

「モノづくりが好き」「小さな頃から船が好きだった」など、それぞれの仕事を始めたキッカケは違うにしても、同じ目標に向かって努力できる仲間と働ける環境は、日々のモチベーションにつながります。

制作:工場タイムズ編集部

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