TOP > 技術 > 工場でよく目にする「ベルトコンベア」っていったいなに?

工場でよく目にする「ベルトコンベア」っていったいなに?

2015/10/05公開 / 2023/05/30更新

テレビ番組などが工場の特集番組を行うことがあります。その中で食べ物や製品を運ぶ「動くレール」を見たことはあるでしょうか?

その動くレールこそベルトコンベアです。 今回はそんなベルトコンベアがどのような構造で、何に使われるかをご紹介いたします。

ベルトコンベアって何?

ベルトコンベアとは、人手を使わずにモノを運ぶことができる機械です。製造業を中心とした工場内や鉱山などの採掘現場で使われています。エスカレーターの段差を無くし平にしたような動きや形をしています。日常生活にある身近なコンベアの例として、回転寿司レーンや空港の荷物レーンなどがあります。空港で荷物を預けると、受け取りの際にベルトコンベアに乗って自動で荷物が流れてきますよね。

このように、ベルトコンベアは運搬作業に向いている機械です。重いモノであっても、乗せる人と受け取る人さえいれば、一度に大量の荷物を運ぶことができます。

ベルトコンベアの種類

ベルトコンベアにはいくつかの種類があり、コンベアの動かし方と形によって分かれます。

動かし方には「ヘッド駆動」と「中間駆動」の二種類があります。ヘッド駆動はベルトコンベアの端の部分にベルトを動かすモーターが付いています。中間駆動はコンベアの中央部にベルトを動かすモーターが付いています。二つの大きな違いは、中間駆動はベルトの回転が一方方向なだけでなく逆回転が可能なところです。逆回転の機能があれば、流れていったモノを引き戻すことができます。

傾斜式ベルトコンベア

運ぶ経路に高低差がある場合、「傾斜式」と呼ばれるベルトコンベアを使います。荷物を乗せるベルト部分に滑り留めが付いているので、斜め上や斜め下の方向でも安全にモノを運ぶことができます。

船底型ベルトコンベア

細かい部品や、砂・土といった粒子上のモノを運ぶ場合、「船底型」と呼ばれるベルトコンベアを使います。ベルトの中央部がわずかに凹んでいるので、ベルト上のモノが中心に集まりやすい設計になっています。細かいモノでも最後まで落とさずに届けることができます。

そのほかにも、横に伸び縮みできる「伸縮ベルトコンベア」や移動が可能な「ポータブル式伸縮ベルトコンベア」などがあります。運ぶ荷物によってベルトコンベアの種類が変わります。

また、ベルトコンベアと似た機械に「ローラコンベア」があります。ベルトコンベアと比べ、荷物を乗せるベルト部分が違います。ベルトコンベアは一枚のシート状になっているのに対し、ローラコンベアは棒状のパイプをいくつも並べて繋げています。ベルトコンベアに比べて表面が凸凹状で摩擦が少ないので、箱モノを運ぶのに適しています。素材を箱から取り出す工程や、梱包する工程でローラコンベアが使われています。

このように、工場では製品づくりの工程に合わせてベルトコンベアやローラコンベアを使い分けています。また、ベルトコンベアの形にはいろいろな種類があります。真っ直ぐなもの、カーブしているもの、二つに分岐しているものなど。これらを組み合わせることで、工場に合ったレーンをつくることができます。

ライン生産方式とは?

ベルトコンベアを使った製品づくりの方法を「ライン生産方式」と言います。ライン生産を担当する人は、ベルトコンベアで流れてくる部品をその場で組み立てたり加工したりします。ライン生産方式を使うことにより、完成したモノを運ぶ手間や部品を取りに行く時間がかかりません。作業する人は一つの作業に集中することができるので、工場の全体的な効率が上がるのです。

例えば、クリスマスシーズンになると食品メーカーでは大量のクリスマスケーキをつくります。短期間でたくさんのケーキを生産するために、ライン生産方式を活用します。ケーキが完成するまでの工程を分担することで、作業の効率化をしているのです。加工されたスポンジに「イチゴを乗せる」、「生クリームを乗せる」というように、ベルトコンベアに流れてきたケーキに一人一人が担当の作業を加えていきます。ベルトコンベアの上を流れるケーキは、ベルトを進むごとに完成に近づきます。

ライン生産方式のメリットは、一定の品質でモノを生産できることです。作業を分担して行えるため作業工程が限られ、従業員は仕事を覚えやすいです。複雑な作業を求められることが少なく、各工程で質の高い作業を行うことができ製品全体の品質が上がります。

ベルトコンベアが役に立つ

ベルトコンベアがあれば、重いモノや小さいモノでも人手をかけずに運ぶことができます。平面だけでなく高低差にも対応しているので、工場内を立体的に無駄なく活用できる機械です。工場の生産性を上げるために多くの工場で「ライン生産方式」が採用されています。ベルトコンベアはライン生産方式になくてはならない存在です。たくさんの工程に対応できるようベルトコンベアの種類や部品は増えています。

制作:工場タイムズ編集部

NEW

  • 部品製造の仕事内容とは?重要性やメリットとデメリットも解説
  • 検品とはどんな仕事?検品作業の仕事内容とやり方やミスの対策方法を解説
  • 三交代制はきついといわれる理由とは?向いている人や長く働くコツを解説
  • 板金塗装の仕事はきつい?向いている人向かない人の特徴や対処法を解説
  • ピッキングバイトはきつい?仕事内容や向いている人の特徴を解説!

TERND HASHTAG

RANKING

あわせて読みたい
  • ステンレスの溶接加工の種類とは|素材の種類と溶接のポイントも解説
    • #溶接・アーク溶接
  • こんなのが欲しかった! 作業効率がアップする便利工具特集
    こんなのが欲しかった! 作業効率がアップする便利工具特集
    • #機械・道具・ツール
  • そんなことにも使われているとは! AIのおもしろい活用事例をご紹介!
    そんなことにも使われているとは! AIのおもしろい活用事例をご紹介!
    • #AI・人工知能
  • なんだか人っぽい?「Chat GPT」に話しかけてみた!
    なんだか人っぽい?「Chat GPT」に話しかけてみた!
    • #AI・人工知能
  • 最新の機械
    驚愕すること間違いなし!!工場で活躍する機械&最新技術5選
    • #先端技術
  • 工場勤務で大活躍、困ったときに便利なグッズとは?
    • #機械・道具・ツール
  • 知られていない最新の製造系の技術・ロボット特集!
    • #AI・人工知能
  • クール素材をフル活用して暑さを乗り切ろう!
    • #原料・素材
  • 菓子製造技能士の資格って何?資格をとったらどんな職場で活躍できるの?
    • #資格
  • 暑い夏こそ「氷」で涼しく快適に!氷製造の世界
    • #食品加工
PICKUP
  • 特定化学物質作業主任者
    特定化学物質作業主任者とは? 資格や仕事内容をもっと知りたい!
  • ロウ付け
    ろう付けとは? はんだ付けとの違い、必要な道具、手順、役立つ資格
  • フォークリフト 種類
    フォークリフトの種類とは? それぞれの特徴と運転に必要な資格を解説
    • #フォークリフト
  • 求人 電話
    求人に応募する際の電話のかけ方とは? 必要な準備と大切なマナー
    • #就職・転職・キャリア
  • 話題の画像生成AIを使ってみるVol.1
    • #AI・人工知能
    • #じゅーじー
    • #オタ活・推し活
  • 推し香水
    【推し香水】SNSで話題!推しをイメージしたオリジナル香水が作れるってホント?
    • #オタ活・推し活
  • アイラップ 使い方
    そんな使い方もできるなんて! 神商品「アイラップ」の活用方法特集
    • #豆知識・お役立ち情報
  • 上司と飲み会
    上司との飲み会!事前に知っておきたいこと5選
    • #教養・知識
  • 流行りのメイク
    次はこの顔が来る!? SNSで話題の「○○メイク」7選!
    • #美容・メイク
  • 製造業 志望動機
    ものづくり・製造業の志望動機(履歴書)が思い付かない方必見!書き方と職種・経験別に例文を紹介
    • #就職・転職・キャリア

NEW

  • 部品製造の仕事内容とは?重要性やメリットとデメリットも解説
  • 検品とはどんな仕事?検品作業の仕事内容とやり方やミスの対策方法を解説
  • 三交代制はきついといわれる理由とは?向いている人や長く働くコツを解説
  • 板金塗装の仕事はきつい?向いている人向かない人の特徴や対処法を解説
  • ピッキングバイトはきつい?仕事内容や向いている人の特徴を解説!

TERND HASHTAG

RANKING