車には、いくつものパーツが使われており、それらが連動して動くことでスムーズに車を走らせます。その1つに「ドライブシャフト」というパーツがあり、車を走らせるには欠かせない部品です。
ただ、経年劣化や動作不良により異音がしたり、折れるたりすることもあり、交換が必要な場合もあります。もしも交換するとなった場合、どのように行えば良いのでしょうか?
ドライブシャフトとは?
「ドライブシャフト」とは、車であればエンジンの動力を伝える部品です。シャフトという言葉には、軸という意味があります。エンジンはガソリンによって回転し動力を発生させますが、その回転力をタイヤに伝える働きをするのです。車以外にも船やバイクなど、エンジンが搭載されている乗り物であれば、ドライブシャフトが付いていることが多いです。
エンジンで発生した回転力は、まずはミッションであるギアボックスに伝わり、そのギアボックスで発生した回転力がさらにドライブシャフトに伝わるのです。そうしてドライブシャフトに繋がったタイヤを回転させることで、車を走らせることができます。ドライブシャフトとタイヤの間にはジョイントとベアリングが付いており、このジョイントがあるおかげで、タイヤが左右に傾いてもドライブシャフトの回転力がタイヤに伝わって車を動かせるのです。
車はエンジンがなくては走りませんが、タイヤもないと進まないので、エンジンの動力を伝えるドライブシャフトも車にとって重要なパーツといえるでしょう。ドライブシャフトはタイヤやギアボックスに繋がっているので、シャフトの異常によって他のパーツも壊してしまうことがあります。また、太いタイヤ、パワーのあるエンジンの車ほどドライブシャフトにかかる負荷は大きく、それだけ寿命は短くなります。タイヤを回転させながらも、そのまま地面の震動を直接ドライブシャフトは受けることとなり、破損することもあります。
ドライブシャフトの構造
「ドライブシャフトとは? 」でも触れたように、ドライブシャフトはシャフトとジョイント、ベアリングがついている部品で、駆動輪側はアウタージョイント、ミッション側はインナージョイントでつながっています。
両端についているジョイントは、じゃばらの形になっており、ハンドルを切ってタイヤが向きを変えても、回転力を正確に伝える役割を果たしています。
ベアリングは、摩擦を軽減する働きを担う部品で、トランスミッションなど、ドライブシャフト周辺以外でも様々な場所で使われているパーツです。摩擦を減らしてスムーズにパーツを回すことで、少ないエネルギーで回転力を伝えることができるようになっています。また、日本語で軸受(じくうけ)と呼ばれる通り、軸を正しい位置で支える役割もしています。
外部から入り込む異物の影響を受けやすいジョイントとベアリングは、ドライブシャフトブーツという、主にゴム製のカバーで覆われています。ジョイントのくぼみやベアリングの中に砂利やゴミなどが付着してしまうと、異音をたてたり破損したりしてしまいます。ドライブシャフトブーツはそうした異物からパーツを守り、走行の妨げが起こらないようにしている重要な部品です。また、ベアリングは擦れあう金属がなめらかに動くよう、グリス(潤滑油)で満たされているため、ドライブシャフトブーツがそのグリスを漏れ出さないようにしています。
真ん中のシャフト部分は、回転力の負荷に耐えられるように丈夫な素材で作られる必要があるため、鋼鉄製が主流になっています。軽量化を重視したシャフトには、中空構造となっているものもあります。
ドライブシャフトのこうした構造のおかげで、ハンドル操作による車の動きに対応しながら回転力を弱めることなく駆動輪に伝え、車両が快適に走行できているのです。
特に経年劣化しやすい「ドライブシャフトブーツ」
ドライブシャフトは、折れてしまった場合や異音がしたときに交換する必要がありますが、パーツが劣化したときも交換しなければいけません。特に、ドライブシャフトブーツは劣化しやすく、金属で作られているドライブシャフトそのものより、ドライブシャフトブーツの方が交換回数の多いパーツです。
ドライブシャフト周辺のパーツの中でも、ゴム製のブーツは経年劣化や走行時の衝撃を受けやすく、割れてしまったり破けてしまったりすることがあります。ゴムの部品のためどうしても時間と共にゴムは硬くなって劣化してしまい、破損しやすくなるのです。前述の通り、ブーツの一部が破損すると、ベアリング部分などにゴミが入り、正常に動作しなくなってしまいます。このため、ブーツが劣化したときがドライブシャフトブーツの交換時といえるでしょう。
ドライブシャフト・ドライブシャフトブーツの交換時期の目安は?
ブーツの交換時期の目安は、5年に1回、または10万km走行時といわれています。ただ、走行条件によっても違ってくるので、定期的に点検すると良いでしょう。また、ドライブシャフトで異音がしたり、振動があったりするときも、シャフトの交換時期です。
ドライブシャフトの交換はジャッキなどを使えば自分で行うこともできますが、それには必要な工具を持っていることと、交換方法を知っておくことが必要となります。タイヤを取り外すなど大がかりな作業が必要となるので、自分で行うと結構苦労するでしょう。タイヤを回転させるパーツなので信頼性の問題もあり、自分で行うよりは整備工場などで行ってもらった方が良いといえます。
ドライブシャフト・ドライブシャフトブーツの交換費用・工賃の目安
自分で車両整備することに慣れている人は、部品代だけでドライブシャフトの交換が可能ですが、整備工場などの業者にパーツ交換を依頼する場合は、部品代プラス工賃がかかります。
工賃の相場は、作業1時間当たり7,000〜8,000円程度となっており、ドライブシャフトの交換にかかる時間は、おおよそ2時間ほどになります。車種や駆動方式などの車両構造で作業時間や料金は変わってきますが、シャフト交換の工賃は15,000〜20,000円前後を目安と考えておきましょう。
ドライブシャフトの部品料金は、4WDやSUVなどの専用パーツが必要な車両においては割高になりますが、一般的な軽自動車であれば新品で5万円前後、リビルト品で1万円前後で購入可能です。
リビルト品とは、廃車となった車両などから使える部品を取り出して、点検・修理した使用済みパーツのことをいいます。取り出したままの状態である中古品とは違い、リビルト品は分解して洗浄し、必要に応じて消耗部品を交換した修理済み製品になります。点検で検査基準を超えた物を販売しているので、使用済みパーツの中でも新品に近い品質であることが特徴です。
リビルト品にはコア返却制度というものがあり、交換した古い部品をリビルト品を購入した業者へ渡す必要があります。業者はまた再利用する部品を手に入れて、それをリビルト品として販売する流れになるので、購入者が良い状態のパーツを安く購入することができるのです。古い部品を業者に渡せなくなると、料金が高くなります。
こうした安価な製品を購入すれば、一般的な軽自動車などでは、工賃含め約2〜3万円でドライブシャフトを交換できます。ドライブシャフトブーツのみの交換となると、1箇所当たり1〜2万円が相場のようです。
ただ、中型・大型車両になってくると、交換料金はこれよりも高くなってくるので、余裕を持って見積もった方が良いでしょう。
交換を依頼する業者によって様々ではありますが、年式や車両構造、オプション装備などでも料金が大きく異なることがあるので、交換依頼を検討している業者に自分の車両の状態を伝えて、詳しく交換料金を確認することをおすすめします。
ドライブシャフトが異音を発したら?
ドライブシャフトは、異音を発するときもあります。常に車が走れば回転するパーツなので負荷がかかりやすく、ベアリングやシャフトが破損した場合に異音を発したりします。高回転で走るような山道など、不整地で振動の多い場所を走ったりするとシャフトに負荷がかかってしまいます。異音がするということは、ドライブシャフトか接続するパーツに異常がある可能性が高いでしょう。または、ドライブシャフトブーツが破損して内部にゴミや石が入ってしまい、ベアリングなどを破損させている可能性もあります。
異音の例をあげるなら、ステアリングを切るとカタカタと音がする、ガラガラまたはガシャガシャ音がする、などがあります。カタカタ程度だと破損はそれほどひどくないことも多く、早めにシャフト交換すれば車は問題なく走れます。しかし、異音がひどい場合ドライブシャフトや周辺パーツの破損状態もひどいことが多く、走行不能になる場合もあります。周辺パーツではなくシャフトが折れてしまえば、エンジンの動力をタイヤに伝えられずに走行不能となってしまいますし、最悪の場合はレッカー移動しないといけません。
異音が発生したら、気がついた段階ですぐに整備工場などに持って行けば、大事になる前にドライブシャフトを交換することで問題なく車を使えます。ただ、ドライブシャフトはタイヤやエンジン近くにあるパーツなので、シャフトから音がするのか、石ころなどを踏んだ音か、タイヤやエンジンの異常か、素人ではわかりにくいことが多いのです。そのために、定期点検をして専門家に見てもらったり、ドライブシャフトを早めに交換したりするなど、いずれかの対策をしておくと良いでしょう。
ドライブシャフトの異音はパーツの破損が始まった段階であり、破損の度合がひどくなると、走行中に振動が発生します。振動が発生していると危険な状態であり、そのまま走ると車を制御できず事故を起こす可能性もありますので、早めの対処を心掛けるようにしましょう。
ドライブシャフトの点検方法
ドライブシャフトを所有者が点検する際は、ハンドルをめいっぱい切ってください。そうすることで、タイヤの内側に取り付けられているドライブシャフトブーツが目視出来るようになります。このときに、ドライブシャフトブーツの周りにグリスが飛び散っていないか、油が付いていないか、ブーツのゴムに割れや破けた箇所はないかなど、目で見て点検しましょう。このような痕跡があればブーツが破損している証拠なので、早めに交換するようにしましょう。
ブーツが破けて破損しても、その状態を知らせてくれる機能は車には付いていません。ブーツの破損やシャフトやベアリングの異常を知るには、目で見て確かめるしかないのです。ジャッキアップして下から見る必要はないので、時々タイヤの内側を見てみると良いでしょう。また、シャフトの破損やベアリングの破損は直接目で見てわかりませんが、ドライブシャフトブーツに関しては、破けていなくても細かいヒビが入っていて目で見てもわかることがあります。そのようにヒビも入っているともうすぐ破ける前兆なので、早めに交換した方が安全といえるでしょう。
ドライブシャフトやベアリングが破損した場合は、すぐに交換しないといけません。しかし、ドライブシャフトブーツが破けている場合は、すぐにシャフトやベアリングが破損するような状態ではないのです。どうしてもドライブシャフトブーツが破けている状態で走行しなければならない場合は、雨の中や泥道、砂利道の走行は避けるようにしましょう。ブーツが破損したときは、やはり早めの交換をすべきです。ドライブシャフトブーツのみの交換も可能です。シャフトを取り外さなくても交換が可能な分割ブーツというものがあり、そのままシャフトに取り付けられる優れものです。ただし、耐久性の面では非分割ブーツに劣るといったデメリットもあります。もちろん、どちらを取り付けるにしても、やはり自動車整備工場などで行ってもらう方が確実な作業をしてもらえるので、安全・安心といえるでしょう。
車の重要な部品のドライブシャフト
ドライブシャフトはエンジンの動力をタイヤに伝える部品であり、車の中でも重要な部品といえます。ただ、他の車の部品と同じように、使っていけば劣化してしまい、場合によっては破損することもあります。破損の前触れとしては異音があるので、もしもシャフトからの異音に気がついたときは早めに交換するようにしましょう。破損してすぐに走行不能になることは少ないですが、それでも万が一の大事故に繋がる可能性もあります。
制作:工場タイムズ編集部