街中のショップやスーパーで、段ボールが運ばれているのを見たことはありませんか?小売店などに運ばれてくる箱の中には、服や食品などいろいろな商品が入っています。
では、そんな箱を運ぶ運搬作業とは具体的にどんなことをするのでしょうか?今回は工場内で行われる運搬作業のお仕事についてご紹介します。
運搬作業のお仕事とは?
意外と知られていない「運搬作業」にまつわる基礎知識を解説します。
具体的な仕事内容
運搬作業は二つのタイプに分けられます。
一つ目は、引っ越しや宅配サービスなどで見られる配達のお仕事です。引っ越しの場合、荷造りをしたり、荷物をトラックに入れたり、引っ越し先に運んだりといったことが運搬に含まれます。引っ越し先に着いたらトラックから荷物を出し、家の間取りやお客さんの要望にしたがって荷物を配置します。荷物の運び出しや配置決めなどには、それぞれの作業に専門のスタッフがいる企業もあります。
二つ目は、工場の中での運搬作業のお仕事です。製造業の工場なら、完成したものを移動させることが基本の業務です。運搬作業がスムーズに進むと、工場全体の仕事の流れが速くなります。運搬にかかわる時間を短くできた分、ほかの仕事に時間を回せます。そうすると作業全体に余裕ができ、工場の効率が上がります。
マテリアルハンドリングとは?
マテリアルハンドリングを簡単に言うと、機械を使う運搬作業のことです。ほとんどは工場内での荷物の積み下ろしや包装後の運搬などのことを言います。通称「マテハン」と省略されて言われます。工場内での運搬は、フォークリフトやベルトコンベアのような「マテハン機器」を使って効率を上げています。
運搬作業で使われるもの
実際の運搬作業では、どのような道具や機械が使用されているのでしょうか?アイテム別に紹介します。
台車
手では運べない大きさですが、大がかりな道具まで入らないぐらいの大きさの運搬物に適しています。短い距離の運搬に使われ手軽に利用できます。ロープで固定すれば、台車から落ちて壊れることを防げます。台車の使用時には「前が見えなくなる高さまで積まない」「重い荷物は下にする」「重さが偏ってしまう積み方をしない」ということを心掛けましょう。
フォークリフト
フォークリフトは、重い荷物を荷台に置いて運ぶための小型自動車です。小回りが利くので、工場内の狭い場所での運搬作業に便利です。運ぶ荷物の重量には限界があるので、それぞれのフォークリフトに決められた制限重量を守るようにしましょう。
ベルトコンベア
「コンベア」というのは、荷物を連続して運ぶ機械のことです。コンベアにもいくつか種類があります。なかでもベルトコンベアは、幅の広い輪状のベルトを滑車に巻いて回転させることで荷物を運びます。工場ではいくつかのベルトコンベアを組み合わせて使うので、接続して10km以上の長さになるものもあります。
運搬作業ってどうやるの?
運搬作業とは具体的にどのように行うのでしょうか?各作業時の注意点やポイントなどをご紹介します。
ひとりで運ぶ場合
ケガをしないように準備運動をしっかりしましょう。荷物を持ち上げる際には、腰をしっかりと落とし、手を荷物の下に入れること。その上でお腹のところに荷物が当たるようにし、静かに立ち上がることが大切です。油や泥、汚れなどが付いて滑りやすくなっているものは思わぬケガにつながるので、ふき取ってから運ぶようにしましょう。
また重い荷物を上げ下げする場合には、高い位置での作業をなるべく避けましょう。自分の頭より高いところで荷物を扱うのは危険です。安定した台の上に乗って、安全な姿勢を心掛けましょう。ほかにも荷物を持つ時間をできるだけ少なくする、重い荷物はひとりではなくふたりで持つなどを心掛けることでケガや事故を予防できます。
複数人で運ぶ場合
基本的には、50kg以上(できれば30kg以上)の荷物はふたり以上で運ぶようにします。ふたりの身長に差がある場合は、背の低い人に負担がかかります。背の高い人が重いほうを持つといった気遣いができると負担を少なく運べるでしょう。止まるときには合図や声の掛け合いをすることも大切です。また、ひとりが荷物を持って後ろ向きに歩くのではなく、ふたりが同一方向に担いで進むことが事故やケガを防ぐコツです。
運搬作業に向いている人って?
どんな人が運搬作業に向いているのでしょうか?特徴を見ていきましょう。
体力に自信のある人
機械を使う作業が多いですが、自力で重いものを持ち上げる機会は度々あります。そのため日頃から身体を動かすことが好きで、体力に自信のある人が向いています。
チームワークが意識できる人
工場内の仕事は周囲の状況を見ながら協力し合って進めることがほとんどです。そのためひとりで黙々と作業をするのではなく、同僚や上司としっかりコミュニケーションをとることが大切です。うまくコミュニケーションがとれれば、作業の効率が上がってミスが減ります。また、ひとりでうまくいかないときにも周囲に手助けを呼びかけやすくなります。
集中力がある人
重い荷物を運んでいるときに集中力が切れると、思わぬ事故が起きる可能性があります。集中力は運搬作業でもとても大事なことです。コツコツと一つ一つの仕事に集中して取り組める人に向いています。
機械を活用して効率良く
運搬作業とは、手作業もしくは機械を使って大切な荷物を運ぶお仕事です。簡単な作業の繰り返しに思われがちですが、大きな荷物を運ぶときはメンバー同士で声を掛け合いながら行う共同作業です。今度引っ越しや宅配便の作業をしている人を見かけたら、その作業方法を観察してみると、よりイメージが湧きやすいかもしれません。
制作:工場タイムズ編集部