プロジェクトや製品製造の世界では、数多くの段階を踏んで作業を行わなければいけません。その中で、無駄な作業を減らし、生産性を上げることが強く求められています。そのため、工程管理の重要性がますます注目されています。工程管理によって作業プロセスを常に可視化することで、問題点を導き出して改善し、さらなる生産性と収益性の向上を図っていくのです。本記事ではその「工程」について解説します。
工程とは?
工程とは、製造工場や開発現場において作業を細分化したもので、作業を進める順序を示すために設定されるものです。
製造工場や開発作業などにおいて、作業を細分化したもの
「作業が予定通りに進まない…何が問題なのか…」「部下にどのように指示をしたら良いのか…」こういった悩みを解決するために、通常は作業の細分化をはかります。
これによって正確な見積もりを作ることができますし、上司は部下に的確な指示を出すことができます。現場の部下も何をいつまでにすればいいのか、現状が明確に可視化されることによって問題を克服することができるのです。
作業の細分化は、一つの大きな作業を細かくかみ砕くことです。細分化は作業内容でもいいですが、時間で計ることを考えたほうがいいでしょう。できれば分単位まで掘り下げてもいいのですが、現場の作業員には大きなプレッシャーあるいはストレスになる可能性もあります。多くは時単位でもいいでしょう。
作業を進める順序を示すために設定される
工程は作業を進める順序のことです。
製造工場であれば、以下がその順序となります。
・作業者がものを運搬する
・機械への取り付け・取り外し
・加工・組立作業
以上の3つが工程であり、これらの工程をいかに効率よく行うかが工程管理となるのです。
工程管理の重要性
工程管理の重要性は、製造業を中心に広くその考え方が浸透しています。工程管理はいかにその中で改善点を見出し、その後の業績向上、収益増加につなげていくかがポイントとなります。
計画を可視化できる
製造工場において、工程管理を行うことに大きく重要な意味があります。工程管理は生産においてのスケジュールになるので、そのスケジュールがしっかりできていないと、生産や供給を予定通りに行うことができないのです。納期厳守は、企業の曲がることのない約束であり、それが企業活動の根幹ですから、工程管理の重要性はとても大きなものがあるといえます。
工程管理が行われていないと好き勝手に生産し、無駄なコスト、さらなるミスを多発してしまいます。工程管理の中で、どこからでも管理状況が一目で確認できるシステムが大切なのです。それがすなわち工程管理、計画の可視化ということになります。可視化することで問題点の把握が容易になりますし、それを改善することでさらなる業績の向上、収益増加を目指すことができます。
工程を整備し、管理することで生産性を高められる
製造業における工程管理は、費用に対するコストを可視化しておくことで、無駄をなくし改善点を見つけやすくします。そのコストがどの工程で多くかかっているかを管理し、どこで工程の遅滞が起こっているかがわかりやすくなり、それを改善することで工程においての遅滞をなくし、かつコストを抑えることを実行していきながら生産性を高めることができるのです。
反対に低いコスト、さらに遅滞なく反対にスピードアップできている工程があれば、それを他の区画にフィードバックさせることも可視化の恩恵ですし、生産性をより一層高めることができます。
工程管理の主な目的
工程管理の目的とはどういったものでしょうか。工程管理は企業活動の中の一つのシステムですから、その目的とするところは、収益増加、業績向上であるのは間違いありません。その中で工程管理の役割や目的というのはどういったものなのでしょうか。
生産性向上、顧客満足度向上、コストの削減など
工程管理の目的は以下のことがあげられます。
・製品の品質維持
・納期厳守
・生産期間の短縮
・生産性向上
・仕掛かり在庫の低減
・コストの削減
製品の品質維持は、顧客満足度の向上につながります。そのためには顧客の要望に添うような品質になるように加工していかなくてはいけません。顧客の要望にあった製品を作ることで、継続的な受注があり、それによって製造が可能となるのです。
納期を守ることはとても大切です。品質を上げるために発売の延期は現在では日常茶飯事となっていますが、品質を上げながら納期は守るということが、メーカーとしての信頼につながるのです。また、期間を長くすれば良い製品ができるということにはつながりません。無理なスケジュールは事故の元ですが、限られた期限の中で生産するのですから、そこに創意工夫が生まれるのです。
生産期間の短縮は、工程管理ともっとも密接な関係にあります。受注から製造を開始して完成品を生産するまでの期間、工程管理の中で最も重要となる「生産期間を短縮すること」は、品質を落とさないということが大前提の上で、収益の機会の増加につながり、その先の業績向上ということになるのです。
生産性を上げるのも工程管理の大きな目的の一つです。そのためには人と機械の稼働率を上げる必要があります。それを管理するのも工程管理のとても重要な部分なのです。
仕掛かり在庫の低減は工程管理において大切です。在庫というのは企業活動では負債部門に入ります。それが低減するのはすなわち、資産が増えるということになるのです。
コストの削減は、生産性を向上させることで自ずと実現することができます。さらなる在庫を低減することでもコストの削減が可能となります。
工程管理の方法
工程管理をするには工程表を作る必要があります。従来は紙面を使っての工程表だったのですが、現在はパソコンを使ってデータ化することが主流となっています。
工程表を作成し、紙面やデータで共有する
工程表は、熟練の人でしたら、紙面で作成しコピーして配布といったことがかつては多かったでしょう。しかし現在はデータ化して、保存しやすくし、同じ工程であれば前よりも今、ということでより熟成された工程管理を標榜することができます。工程表はある意味で計画表ということが言えます。現在はコンピュータで管理して誰でも共有することができるようになっています。
工程管理ツールの活用など
工程管理はいかに工程を可視化するかがポイントとなります。そのために活用したいのが工程管理ツールです。知名度の高い工程管理ツールは、国土交通省が運用するNETIS(New Technology Information System:新技術情報提供システム)に登録されている、株式会社ビーイングのBeing Project-CCPM です。これは、建設業向けの工程管理型マネジメントシステムで、計画をネットワーク図で作ることができるのが大きな特徴です。このネットワーク図から自動で工程表を作ることができるという優れものツールなのです。
工程管理ツールが重視しているのは納期です。限られた期間の中で、あらゆる工程を洗い出し、パズルのように組み合わせながら最適な工程表を納期ありきで作り上げていくのです。
生産性を上げる工程管理
工程管理の目的は生産性を上げることです。そのためにはさまざまな要因をクリアしていかなければいけません。生産性を上げることで、企業が求める収益性の向上が期待できるのです。そして、工程管理の中でも工程表は、搬入から製造完了まで一貫して製造過程を管理するもので最重要の部分です。工程表がしっかりできていて、それを遵守して製造にあたることで、企業の生産活動は完全に機能するのです。
制作:工場タイムズ編集部