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バフ研磨

バフ研磨とは? 表面に光沢を出す研磨方法の仕組みと実施時の注意点

2019/04/11公開 / 2023/09/14更新

工業製品のほとんどは工場で機械加工が施されます。その際、「旋盤」や「マシニング」を使って加工されたものには「ツールマーク」や「バリ」といった加工痕が発生してしまい、そのままでは表面が粗すぎるため製品として使えません。しかし、荒い表面を磨けば滑らかでピカピカになります。このように、表面を研磨する方法の1つが「バフ研磨」と呼ばれる技術です。ここではバフ研磨について、その仕組みや使用時の注意点を解説します。

バフ研磨とは

ヤスリやサンドペーパーなど、研磨に使われる道具はいくつかありますが、「バフ」もそういった研磨道具のなかの1つ。工業製品の研磨ではバフ研磨がよく行われます。

そもそも「バフ」とは?

布や麻、ウールやスポンジなどの素材でできた円盤状の研磨輪(バフホイール)のこと。英語の「buff(=磨いて輝かせる)」からきており「バフ機械」と呼ばれる機械に取り付け回転させることで対象物を研磨していきます。

バフ研磨の仕組み

バフ研磨は、バフ機械に布製などのバフを取り付け、「研磨材(研磨の際に使う粒や粉)」を付けて対象物を磨きます。円盤状の砥石を使って研磨することもあり「何を研磨するか」「どれぐらい細かく磨きたいのか」によって布や砥石などを使い分けます。

バフに使う研磨材や砥石はそれぞれ荒さが異なり、細かい目の材料を使うほど対象物をより繊細に磨くことが可能です。またバフでどこを磨くかによっても、対象物として適するものが変わります。

研磨材や潤滑剤の種類は固形から液体まで数多くあり、バフ磨きの際には必ず使用します。これらを使用する磨きの工程は「仮仕上げ」→「極細」→「超極細」とどんどんと目を細かくしていき、最終的にワックスで磨きます。製品によってはワックスを使わないケースもあるので製品特性をしっかり確認しましょう。

バフ研磨はモーターによってバフを回転させるので、ヤスリやペーパーを使って手作業で磨くよりも早く、さらに細かく研磨することが可能です。

平面磨きバフ

一般的にもっとも使われるバフです。円盤状の布になっており、綿やサイザルなどが材料として使われます。この布自体に強力な研磨効果はないため、研磨材を付けてから対象物を磨きます。

つや出しバフ

電動ドリルのような機械の先端にバフを付けて研磨するものです。バフはスポンジ製で、工芸品や塗装品のつやを出すために使用します。たとえば製品加工後のスプーンのつや出しといった、製品としてつやが求められるときに使われることが多いです。

曲面磨きバフ

車のヘッドライトなど、曲面を磨く際に使うバフです。ハンディタイプになっているので、曲面にあわせてバフのヘッドを動かすことで曲がった部分も綺麗に磨けます。

バフ研磨の特徴

バフ研磨には多くの種類があり、目の粗さは数字で示されます。数字が大きいほど細かくなり、「800番」のバフであれば鏡面加工が可能です。通常は研磨するために使う道具ですが、研磨以外にもさまざまな目的で使われます。

・バリ除去
・キズ除去
・付着物除去
・溶接ビード除去
・平滑性向上
・光沢感向上

研磨以外の使われ方や用途として主なものは、バリやキズ、付着物などを除去することです。また表面を平らにするほか、光沢を出すためにも使われるため、メッキ加工前に対象物を磨き平らにするといった使われ方でも活躍します。

バフ研磨は広い面はもちろん、細かい部分や曲面も素早く磨けるため、ステンレス、アルミ、チタンなどの金属、プラスチック、ガラスとあらゆるものの研磨ができ、多くの工業製品製作の際に使用されているのです。

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バフの種類

布バフ

タオルや不織布などで作られている、柔らかい素材のバフです。金属製品のサビ取り、メッキ前の下処理、鏡面仕上げなどで使われ、貴金属の仕上げなどでも使用されています。

ウールバフ

きめが細かく適度に厚みがあり、均一に製品を磨けます。表面を傷つけずソフトに仕上がるためツヤ出しに最適なバフですが、キズを目立たなくする「コンパウンド」でも使われます。

麻バフ

金属を粗研磨するときに使われ、中仕上げやツヤ出し効果のある麻バフもあります。

スポンジバフ

表面が柔らかいので、主に仕上げ用、ワックス用として使用されます。

バフ研磨に使用する研磨剤の主な種類

バフ研磨の研磨剤には固形と液体の2タイプがあり、いずれの種類も研磨作用がありますが、切削作用は少ないという特徴を持っています。これらには研磨剤として粒子が練り込まれており、固形研磨剤にはスティック状の「青棒」や「赤棒」などがあります。

液体研磨剤はキッチン用から工業製品用まで種類が多彩で、配合されている研磨材としては「酸化クロム」「アルミナ」「酸化鉄」などの粒子が配合されています。

固形研磨剤の種類

青棒

鏡面仕上げに使われる研磨剤

ピンク棒

ノンクロムの準鏡面仕上げ用

グリーンライム

白棒と青棒の中間的な研磨剤

白棒

中仕上げ用の研磨剤

むらさき棒

トリポリと白棒の中間的な研磨材

トリポリ

粗仕上げ用研磨剤

油棒

油の多い、焼け防止研磨剤

主な固形研磨剤の種類は上記の通りですが、その中でも用途によってさらに種類が分かれます。たとえば「トリポリ」系だと非金属用の4H、金属用のSX-1300などがあり、さらに金属用の研磨剤でも「粘性の高い製品」「油分のある製品」などに分かれます。

研磨剤の選び方

バフを使った研磨でも、表面が粗いまま鏡面仕上げ用の研磨剤を使うようなことはありません。粗仕上げ → 中仕上げ → 鏡面仕上げという工程で磨くことで、対象物が綺麗に研磨されていきツヤがでます。このため、

粗仕上げの「トリポリ」 → 中仕上げの「白棒」 → 鏡面仕上げの「青棒」

といった順で磨くのが通常の手順で、こうした工程を繰り返し、何度も研磨して鏡面に仕上げるのです。

研磨剤を使用する際、使う研磨剤によってはバフ自体も変更します。使われるバフには「ウールバフ」「ウレタンバフ」など布以外のバフもあります。

バフ研磨剤には油分が多い製品が多く、油分が多いと伸びがよくバフの持ちがよくなります。また研磨焼け防止にもなり、金属製品の研磨に適した研磨材です。ただし製品に研磨材が残りやすくなるため、洗浄に手間がかかるといったデメリットもあります。

バフ研磨の洗浄剤

バフによって対象物を磨くと、バフの布にも対象物にも研磨した粉が付着します。研磨では研磨剤を使いますが、研磨後に洗浄剤を使って粉を取り払い綺麗にする工程があり、ここでは研磨用の粉の他、加工や切削で使った油、ワックスなども発生することがあります。

バフの布はブラッシングして粉を取り払い綺麗にします。磨いた対象物は洗浄剤を使って洗いますが、粉がとれにくい場合は「超音波洗浄」をすると効果的です。スプーンなど小さい製品であれば、水洗いするぐらいで汚れは落ちるでしょう。

バフ研磨を行うときの注意点

バフ研磨はバフをモーターで回転させて研磨するので、十分安全に配慮して行います。安全管理ができていないと怪我をしかねず、回転に体が巻き込まれるといった事故になりかねません。

手袋とゴーグルを付ける

研磨の際は、回転する機械に製品を押し当てて作業を行います。そのため、研磨作業を行う前には手袋とゴーグルを着用し、手袋は二重にして2枚装着した方が安全でしょう。また研磨では研磨剤が飛散するので、目に入るのを防止するためゴーグルも着用します。細かい研磨粉が出る場合はさらにマスクも装着した方が良いでしょう。

手袋巻き込みに注意する

手袋を装着して研磨するときは、バフ機械に手が巻き込まれないよう注意します。回転している機械の力は強く、しっかりと製品を手で持って研磨しないと、製品が弾かれてしまいます。場合によっては弾いた製品が体に当たって怪我をする、または手が機械に巻き込まれることも考えられます。

使用後はバフを綺麗にする

研磨した後のバフには研磨粉が付いており、そのままにするとバフに粉が付いたまま固まってしまいます。そしてそれ以降、粉の付いたままのバフで研磨すると製品が傷ついてしまいます。バフの性能低下と寿命低下にも繋がるので、使用後はブラッシュアップして粉を落として綺麗にしましょう。

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バフ研磨は多くの場所で使われている

バフ研磨は工業製品の磨きから、DIYや自家用車の研磨まで、いろいろな場所で行われています。バフ研磨の機械には卓上タイプ、ハンディ型、設置型などいくつもの種類があり、どれも効率よく素早い研磨が可能となっています。

工場はもちろん家庭でも活躍するバフ研磨。安全に気をつけながら使えば、身の回りのものがいつもピカピカで気持ちのいい使い方ができるでしょう。

制作:工場タイムズ編集部

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