「ガス」と言われて、何を想像しますか?
都市ガスやプロパンガス(LPガス)などのガス燃料が思い浮かべる人もいるでしょう。世の中にはいろいろなガスがありますが、なかには「特定高圧ガス」と呼ばれるガスのグループが存在します。
そうした特定高圧ガスを取り扱う事業所は「特定高圧ガス取扱主任者」という資格を持った人を管理者として選ぶことが法律で決まっています。
今回は特定高圧ガス取扱主任者の仕事内容や、資格を取得するメリットなどをご紹介します。
特定高圧ガス取扱主任者とは?
まず、特定高圧ガスの種類と、そのガスを取り扱う特定高圧ガス取扱主任者の資格概要についてお伝えします。
特定高圧ガスとは?
資格名にもある「特定高圧ガス」とは、以下の7種類のガスのことを指します。またカッコ内は、「特定高圧ガス消費届」の対象となる特定高圧ガスの容量です。この量を貯蔵・消費する特定高圧ガス消費者は、特定高圧ガス取扱主任者を選び、事業所がある各都道府県知事に届けることが義務付けられています。
圧縮水素(容積300立方m以上)
圧縮天然ガス(容積300立方m以上)
液化塩素(質量1000kg以上)
液化酸素(質量3000kg以上)
LPガス(質量3000kg以上)
液化アンモニア(質量3000kg以上)
特殊高圧ガス(貯蔵する容量に関係なく届け出が必要)
資格の概要
特定高圧ガス取扱主任者とは、特定高圧ガスを安全に管理・維持する知識や取り扱いの経験を持っている人に与えられる国家資格です。この資格は2日間の講習と修了試験を受けることで取得できますので、難易度はやさしいと言えます。
どんなお仕事をするの?
次に、特定高圧ガス取扱主任者の具体的な仕事内容をお伝えします。
特定高圧ガス取扱主任者が活躍する場所
特定高圧ガス取扱主任者は、特定高圧ガスが使用されている場所で活躍しています。特定高圧ガスが事業所で使われる際の主な用途は次の通りです。
圧縮水素
自動車関連工場で行う燃焼実験や、ハンダ付けをするときの酸化防止剤として使われます。
圧縮天然ガス
環境にやさしい「天然ガス自動車」の燃料として使われます。
液化酸素
造船所で溶接をするときや、染色工場の排水時に水に溶けている酸素の量を増やすために使われます。
液化塩素
紙やパルプの漂白、水道の殺菌・消毒に使われます。
LPガス
瓦を焼成する際の燃料として使われます。
液化アンモニア
火力発電所で排煙に混ぜて、窒素酸化物を除去するために使われます。
特定高圧ガス取扱主任者が多く働いているのがガス会社です。ほかにも火力発電所や自動車関連工場など、活躍する場所は多岐にわたります。特定高圧ガス取扱主任者はこのような場所を職場として、高圧ガスを安全に取り扱うために管理・指導をしているのです。
取得すると待遇面で有利に
一定量以上の特定高圧ガスを取り扱う事業者は特定高圧ガス取扱主任者の資格を持っている人を管理者として選ぶことが法律で決まっています。そのため、資格を取得すると年収が増えたり資格手当が受け取れたりと、金銭面で優遇されやすくなります。加えて現場の責任者としても重宝されるようになるため、特定高圧ガスを取り扱う仕事をしている人にはオススメの資格の一つです。
高圧ガス取扱主任者の資格を取るために
最後に、特定高圧ガス取扱主任者の資格を取る方法をご紹介します。
講習を受けるだけで取得できる
特定高圧ガスを基準量以上所有する勤務先から特定高圧ガス取扱主任者として選任されると、資格を取得するための講習を受けることができます。講習は高圧ガスの種類ごとに7つに分かれているので、受講者はその中から自分が必要とするガスの講習を選びます。講習期間は2日間で、修了試験に合格すると、資格を取得することができます。
受講地と受講日程
特定高圧ガス取扱主任者の講習は北海道、宮城、東京、岐阜、愛知、大阪、広島、香川、福岡の計9カ所で行われています。それぞれの受講地で年に1~3回開催されていますが、受講地ごとに日程が違うので、詳しくは高圧ガス保安協会のWebサイトを見たり、そこから問い合わせて確認するのが良いでしょう。
高圧ガス保安協会
http://www.khk.or.jp/index.html
特定高圧ガス取扱主任者を取得しよう
高圧ガスを取り扱う工場はたくさんありますが、その中でも特定の高圧ガスを一定量以上取り扱うところでは、特定高圧ガス取扱主任者という資格取得者が活躍しています。取り扱う高圧ガスはいずれも危険性のある物質だけに、資格取得者の仕事はやりがいがあると同時に、待遇面で優遇される傾向があります。仕事上、高圧ガスを取り扱う機会が多いという人は、高圧ガス保安協会のWebサイトをチェックするなどして、特定高圧ガス取扱主任者の資格取得を目指してみると良いでしょう。
制作:工場タイムズ編集部