クレーンは、工場や建設現場でよく見かける工事機械です。重いモノを吊り上げたり、運んだりするときに活躍しますよね。
実はクレーンには多くの種類があり、仕事内容も異なります。またクレーンが使われる場所もいろいろ。
今回は、そんなクレーンの種類とお仕事の内容についてご紹介します。
クレーンのお仕事を紹介!
まず「クレーンとは何か」について説明します。法律的には、このように決まっています。
(1)荷を、動力を使って吊り上げるもの(人力で吊り上げるものと、0.5t(トン)以下のものは含まれません)。
(2)吊り上げた荷を水平に運搬することを目的とする機械装置(人力によるものも含む)。
この二つの条件を満たしたものがクレーンです。つまり、荷の吊り上げだけを行う機械はクレーンとは呼びません。逆に、荷の吊り上げ作業さえ機械で行えば、水平移動は人の力を使って動かしてもクレーンに含まれるわけです。
クレーンの仕事の魅力は、人力ではとても動かせないような重量物でも、機械操作ひとつで動かせることでしょう。マンションやビルの建設現場で活躍しているクレーンを見ると、迫力がありますよね。その様子を見て「ぜひ自分でもやってみたい!」「クレーンのことをもっと詳しく知りたい!」そう考える人もいると思います。では、どんな人がクレーンの仕事に向いているのでしょうか? またクレーンにはどんな種類があるのでしょうか? まずはクレーンの種類から説明します。
クレーンの主な種類
クレーンはその利用用途に応じていろいろな種類があります。ここでは代表的な10種類のクレーンについて説明します。
トラッククレーン
トラックにクレーンを載せたタイプです。トラックの荷台と運転室の間に小型のクレーン装置を搭載した車両積載型。3t未満の荷物の吊り上げに使われます。もうひとつは、トラックのシャーシ(車の骨格となる部分)を補強して、クレーンを取り付けたレッカー型です。これは交通事故を起こした車の移動などに使われます。
この二種類とも操作が容易で、高速道路でも移動できるため多くの種類が生産されています。なお、移動時の運転だけなら5t車未満まで普通自動車運転免許でできますが、クレーンの操作ができるのは資格を持っている人に限られます。
ラフテレーンクレーン
大型タイヤを装着し、四輪駆動と四輪ステアリング(方向を変えるカジ取り装置)で小回りが利くので、市街地の狭い場所で使うのに適しています。さらに整備されていない土地や比較的軟弱な地盤でも威力を発揮します。なお、トラッククレーンと同じように、取得済みの自動車運転免許とクレーン資格の種類によって操作できるものが変わります。
オールテレーンクレーン
高速を走れるトラッククレーンと、整備されていない土地で活躍するラフテレーンクレーンの両方の良さを兼ね備えています。大型タイヤを装着し、国内最大級の550t吊りまで対応できるものがあり、狭い場所で大きなパワーが必要な現場で使われます。一般道を走るときは、クレーン部分とトラック部分を分割して走ります。大型自動車運転免許と移動式クレーン運転士免許を取得すると、操作できます。
クローラークレーン
「キャタピラ」とも呼ばれるクローラーで地面と接しており、舗装されていない地面や雪の上での作業も行えるタイプのクレーンを「クローラークレーン」と呼びます。この種類のクレーンは他の移動式クレーンに比べてさまざまな場所で作業を行えるというメリットがありますが、タイヤを装着していないことから公道を走ることも、速く走ることもできません。
以上の4種類を「移動式クレーン」と呼び、建設現場や工事現場を中心にさまざまな現場で使用されています。一方、移動式以外のクレーンとしては以下の6種類が有名です。
ガントリークレーン
横になったレールの上を「トロリ」と呼ばれる荷物の運搬を行う台車が移動する構造になっているクレーンを「ガントリークレーン」と呼びます。このクレーンは「橋型クレーン」「ブリッジクレーン」と呼ばれることもあり、港で大型のコンテナを運ぶ際などに使用されます。
アンローダクレーン
ガントリークレーンに取りつけられているレールのうち、片方の先端部分だけが海側へ飛び出し、停泊中の船からコンテナを直接運び出せるようになっているものを「アンローダクレーン」と呼びます。また、このクレーンには橋型クレーン式と引き込みクレーン式の2種類があります。
天井クレーン
工場の天井付近に取りつけられたランウェイと呼ばれるレール上を移動するクレーンです。このタイプのクレーンは人力では運ぶことができない製品の製造を行っている工場などでよく見られます。
ジブクレーン
「ジブ」と呼ばれる長いアームがあり、その先端から垂れ下がったワイヤとフックで荷物を吊り上げるクレーンです。このタイプは高さがあり、屋外で使われることがほとんどです。
スタッカークレーン
工場などの床や部品を保管するラックなどに取りつけられたレールの上を移動するクレーンです。このクレーンはレールがあるところであれば自由に行き来することができ、多くの部品を保管している倉庫などでも利用されています。また、このクレーンには天井クレーン型や懸垂型などの種類があります。
ケーブルクレーン
ケーブルカーのような構造をした長距離を行き来するクレーンです。また、工場や倉庫では同じ仕組みをした「テルハ」と呼ばれるタイプのクレーンも利用されています。
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クレーンの運転と操縦に必要な資格
クレーンの運転と操縦に必要な資格は以下のとおりです。
玉掛け技能講習
クレーンを用いた作業に携わるためには玉掛け技能講習の受講が必要です。これによりクレーンのフックにロープなどを利用して荷物をかけたり外したりする作業ができるようになります。しかし、この資格だけではクレーンの操縦をすることはできません。
クレーン運転特別教育
クレーン運転特別教育を受けると、無線捜査指揮のものを含む吊り上げ荷重5t未満のクレーンの運転ができるようになります。ただし「5t以上のクレーンの運転はできない」という点は覚えておかなければなりません。
クレーン・デリック運転士
吊り上げ荷重5t以上のクレーンを運転するためにはクレーン・デリック運転士の資格が必要です。また、この資格には「限定なし」「クレーン限定」「床上運転式クレーン限定」「床上操作式」など、さまざまな種類があります。
クレーンの仕事に向いている人は?
では、実際にどのような人がクレーンの操縦に向いているのでしょうか?
早起きが得意
通常朝8時には始業する現場が多いので、それまでにクレーン車両を到着させておくようにします。車庫から現場への移動などを考えると、早い時間から動くので、早起きが苦にならない人が向いています。
達成感が大きい
クレーン作業は大きな建造物の建設に携わることが多く、完成したときには達成感を味わえます。それだけやり甲斐のある仕事といえます。
車の運転が好き
クレーン車も車ですから、車の運転が好きな人が向いています。また、運転だけでなくクレーンの操作もあるので、機械操作が苦にならない人は有利です。
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ダイナミックさと達成感を味わえる
クレーンは作業の目的や使われる場所によって種類が分かれており、それを操作するお仕事もいろいろです。また、高層ビルの建設現場で何十トンもの重量鉄骨を引き上げることがあり、その力強さとダイナミックさに憧れる人は多いでしょう。大きな建物の建設に一から携われるため、完成したときの満足感もあります。クレーン運転士は、そんなやりがいと達成感を味わえる仕事なのです。
制作:工場タイムズ編集部
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