地球温暖化の影響で、猛暑から酷暑に年々変化しています。コロナ禍でマスク生活になったことも影響して、熱中症で救急搬送される人も増えています。そんな酷暑を涼しく過ごすために活躍しているのが「クール素材」。工場での仕事は、暑い場所での作業もあるので、クール素材は強い味方です。また、熱帯夜で寝苦しい日が続くと、睡眠不足になって仕事にも支障がでますよね。ここでは、暑い夏を乗り切るためのクール素材・グッズについて紹介します。
なぜ涼しく感じるのか?
クール素材は、なぜ涼しく感じるのか不思議ですよね。実際、その生地自体が冷たいわけではなく、あくまでも冷たく感じる性質があるというだけです。
冷たく感じる理由は、自分の熱が触れた生地に移動するためです。熱は、温度の高い方から低い方に移動する性質があります。レーヨンやキュプラなど熱伝導率が高い素材は、熱をたくさん奪ってくれるため、冷たく感じるというわけです。
また、接触冷感素材が使われた製品には、「吸汗速乾」「吸水速乾」と書いてあるものもありますよね。これは、汗を早く吸収・乾燥する性質があり、べたつき感が軽減されるので、快適で涼しく感じるのです。
接触冷感素材あれこれ
クール素材は、触ると冷たく感じる生地のことで、「接触冷感素材」ともいいます。使われている素材は、化学繊維だとレーヨンやキュプラがほとんど。この2つの素材がクール素材として使われるのは、以下のような接触冷感に優れた性質を持っているからです。
・繊維中に多くの水分を含む
・熱伝導率・熱拡散率が高い
・触れたときに少し硬く感じる
代表的なクール素材
●東洋紡の「アイスマックス®」
熱伝導率が高い特徴を持った繊維「イザナス®」の特徴を生かし、夏用寝装素材として開発された生地が「アイスマックス®」です。優れた熱伝導率と熱拡散率が体温の上昇を抑えるため、高い接触冷感性を得ることができ、敷きパッドやピロパッドなどの寝装のほか、ハンカチやネッククーラーなどにも使われています。
●クラレトレーディング「ソフィスタ®」
綿や麻のように水とのなじみがよい性質をもっていて、合成繊維でありながら、天然繊維の機能を併せ持つ繊維といわれています。さらに、天然繊維よりも速乾性が優れており、水分に素早くなじみ、拡散して乾燥させることができます。冷感商品としてシャツの販売から始まり、今では衣料全般へ用途が広がっています。
●東レ「クールイン®f」
吸放湿性と接触冷感性にすぐれた特殊なナイロン素材です。高い吸放湿性で肌の水蒸気を吸い取り、吸収した水分を放出します。ムレ感やベトつき感をすばやく低減してくれるので、衣類・スポーツウェアなどの裏地や、夏の夜を快適にする素材として、枕カバーや敷きパッドなどに使われています。
●ユニチカトレーディング「打ち水」
ポリエステル長繊維使いの織・編物で、肌側の水分拡散層が汗を素早く吸収し、生地の表面で気化促進繊維が蒸発を加速することで、衣類内の温度を2〜3℃下げる効果があります。速乾性にも優れるため、運動後の汗冷えを防止する効果もあり、スポーツウェアなどを中心に根強い人気がある素材です。
繊維工場でのお仕事
年々気温が上昇している現代において、より快適に過ごすための「クール素材」は欠かせない存在となっており、多くの繊維メーカーが競ってさまざまな繊維の開発を行っています。そんな繊維を製造している工場では、どんな作業があるのでしょうか?
繊維製品の加工・製造
工場によって作業は異なりますが、織物や生地などを生産する工場では、織機に糸をセットする作業や、織られた繊維を染色する作業などがあります。
繊維の検品・検査
わたしたちの身の回りには、衣類をはじめ、繊維を使った製品がたくさん溢れていますが、その製品を世の中に流通させるためには、品質や性能などがきちんと規格を満たしているかを検品・検査する必要があります。出荷する前に、破損はないか、品番や数量などが間違っていないかなどチェックしていきます。
出荷に関わる作業
検品・検査が終わったら、次は出荷の準備です。出荷に関わる作業には「仕分け」「ピッキング」「梱包」などがあります。製造された製品を送り先や用途によって分類していく作業が「仕分け」、仕分けされた製品を指示通りに取り出したり、運び足したりする作業を「ピッキング」、最後、段ボールや緩衝材を使って商品を荷造りする作業に「梱包」があります。
クール素材やクールグッズを活用して暑さを乗り切ろう!
「冷暖房完備」の工場が増えていますが、製造業や建設業など、業務によっては暑い場所で作業しなくてはならないケースもありますよね…。そんな人には、クール素材の衣類を着用するほかに、冷却ベストやネッククーラー、ファン付き作業服などを活用すると、より快適に過ごすことができるのではないでしょうか。日々、進化するクール素材やクールグッズ。家でも、職場でもうまく活用して暑さを乗り切りましょう!
制作:工場タイムズ編集部