「技術職」というのは、ものづくりの根幹に位置する職種です。一般的に「技術職」というとかなり幅が広くなりますが、大きくは「開発技術者」と「製造技術者」に分けることができます。この記事では「技術職とは何か?」ということを追求し、専門性を極めていく「技術職」という仕事の種類や業務内容についてご紹介します。また、いかに技術職にやりがいを見い出していくか、についても考えてみたいと思います。
技術職とは
日本は「ものづくり大国」として世界に知られています。そんなものづくり大国の根幹を成しているのが技術者であり、その存在なくしては「ものづくり大国・日本」は成り立たないのです。
そこで、まず技術職はどういったものなのか、そして技術職と技能職の違いについても説明していきます。
技術職の仕事内容
技術者と呼ばれる人はすべて、技術職に従事する人と考えて良いです。仕事内容は広範囲に渡りますが、技術者は「もの」や「こと」の生産が伴うすべての産業に存在しています。
また技術者には理系や工学系などの知識を持つ人たちが多く、理系であれば数学や物理学などの知識を持つ人、工学系であれば機械工学、電子工学、情報工学、化学工学など幅広い知識を持つ人たちが、ものや工程・システムなどを開発・設計、そして製造する業務に従事しているのです。
技術職と技能職の違い
技術職から技能職に進む、と考えると分かりやすいです。
技術職とは、専門の大学や専門学校を出て専門知識を持っている人、あるいは何らかの理由で専門知識を持っている人が従事している仕事のことです。
一方で技能職とは、現場での実務を指します。例えば、既に完成している工場のラインを使って従事する製造の仕事、ということになります。
技術がいくらあってもそれを使いこなす人がいなければものづくりはできません。最終的なものづくりをしている人が、技能職に従事している人、ということになります。技術職と技能職はお互いが補完関係にあるといってもいいでしょう。
技術職の主な種類
一口に技術職といっても、その範囲はさまざまです。ある特定のことに突出した知識を必要とする職種と考えていいでしょう。技術職は大きく分けて次の3つに分けることができます。
研究職
研究職は、すべての物作りの根幹となるものです。ものづくりの中でも、もの自体の姿も見えないような状態から始めることと考えていいでしょう。
簡単に言えば、製品の材料そのものや、技術自体を作っていくのが研究職なのです。ものの姿も形も見えないところからの研究は「基礎研究」と呼ばれ、そこから得た材料や技術を使って具体的に製品を作り上げていくことが「応用研究」と呼ばれます。
開発設計職
研究で得た結果を元にして具体的な製品作りを考えるのが開発設計職です。研究は大学やその他の研究機関で培われていくものですが、開発設計職はその研究結果を自社の製品として作り出していく会社の機関です。この開発設計部門がしっかりしている企業こそが、一流企業となっているのです。
・生産技術職
生産技術職は、開発設計部門で製品の概要が作り上げられたものを如何に流通に乗せて市場に出すかを考える部門です。ここではコストダウンも考えなくてはいけませんし、会社内で、開発設計職と生産技術職の間でもさまざまな話し合いが行われ、より良い製品作りを行っていくことになります。
技術職に向いている人
技術職にはさまざまな種類の職種があります。基礎的な研究をする人、開発職、設計職から実際にものづくりを担当する人もそうです。また製品を作るためには工場が必要ですし、そこで働く生産技術者も必要になります。さらに生産ラインを支えるための生産体制、それらをまとめるための生産管理技術者も必要になります。
このように一括りで技術職といっても、研究職から現場の製造工程で働く従業員まで、幅広いことがわかりました。結果的に技術職の人たちは適性に合わせた適材適所の場で働いていることが多いの実情です。
例えばメーカーの工場などでは、常に改善することを考え、品質向上を目指している人も技術職になります。業務改善はメーカーの生命線でもありますし、求人情報などでも「向上心のある人」が求められる人材として掲載されているのです。
これらのことから、技術職に向いている人は
・高い向上心を持っている人
・常に改善について考えられる人
・好奇心や探究心旺盛な人
・現状について疑問を持つことができる人
・自分が考えたこと、行ってきたことに対して責任を負える人(責任感の強い人)
・新しいことにチャレンジする精神をもっている人
・人の意見を聞く耳をもちながら、自分の考えをしっかりと主張できる人
こういった特性のある人が、技術職に適性があると言えるでしょう。
技術職のやりがい
ここからは技術職のやりがいについて考えてみましょう。
技術職には「ものづくりの楽しさ」「1つのことをとことん突き詰めていく探究心」「作り上げたものに対して率直な感想を聞くことができる」など、いくつものやりがいを感じられる特長があります。
ものづくりの楽しさを味わえる
日本の工業技術の発展を支えてきたのが「ものづくり」であることは間違いありません。特に戦後の日本は、世界でも類を見ないほどに優れた新製品を次々と生み出してきました。そこには「新しいものを作る気概」が満ちあふれてきたのは間違いないでしょう。
そして「新しいものを作る」という開発者精神もさることながら、「作り出されたものをより良く、誰もが使いやすいように改良する」ことにも長けているのが、日本がものづくり大国として世界に通用してきた理由です。
そんな技術者が多く存在しているのが日本の強みであり、またその多くの人たちがものづくりそのものを楽しんできたのです。
専門知識が身に付く
技術者には探究心が必須です。それは「より良いものを作る」という気持ちが旺盛であると同時に、その探究心とともにより深い専門知識が次々と身についていき、それがさらなるより良い製品作りの原動力となるのです。
感謝の言葉をもらえる
ものづくりには、それを使う人がいます。使う人が喜んでくれたら、それだけで社会に対して貢献しているといった達成感を得ることができます。その気持ちは製品をより良く改良する原動力になりますし、次の製品作りのモチベーションにもなっていきます。
また使っている人からの感謝やねぎりの言葉をかけてもらえれば、それだけで「やってきてよかった」という実感が湧き、それが技術職のやりがいとなる人も多いのです。
世の中にはたくさんの技術職が存在する
ここまでものづくりの世界における技術職を説明してきましたが、基本的には職種・職業について専門的な知識を持っている人は誰でも技術職と呼び得るのが現実的です。
たとえば配送管理や品質管理などにもさまざまな技術職がありますし、業務の効率化や改善を行う人、マーケティングやコンサルティングをするような人も、ものづくりとは違った意味での技術職と言えるでしょう。
そうなると「結局、技術職ってどんなもの?」と悩んでしまう人もいるかと思いますが、技術職は細かく分ければ膨大な数になりますので、ざっくりではありますが「専門的な知識が必要とされる職種は基本的に技術職である」と言って良さそうです。
技術を持った人が、その技術を生かせる職場に従事しながら、唯一無二の存在となることができる世界。それが技術職の生きがい、やりがいであると本記事では結論づけます。
制作:工場タイムズ編集部