電気工事士を目指す方にとって、気になることの1つはやはり給料のことではないでしょうか? 電気工事士として仕事をするためには、まず資格を取得する必要があります。また就職先は、個人経営の工務店から電気工事を行う大企業まで様々。給料も勤務先や勤務年数で変化します。実際に仕事をする際、電気工事士の給料はどれぐらいなのか、収入アップを目指すにはどうすればいいか、この記事で解説します。
電気工事士の仕事内容
電気工事をするための資格
電気工事士は一般住宅から店舗、ビルや工場まで、あらゆる建物の電気設備の設計と施工を行うのが仕事です。電気配線や配電盤取り付けなどで電気を扱うので危険が伴い、法律により資格を所有しないと仕事ができないようになっています。
資格の種類により仕事範囲が違う
電気工事士の資格は第一種と第二種があり、それぞれの資格によって業務範囲が違います。
第二種
一般的な住宅や小規模の店舗など、600ボルト以下で受電する設備の工事を行うことができる
第一種
第二種の範囲に加え、最大電力500kW未満の設備の工事を行うことができる
資格を取得するとなれば、第二種は筆記試験と技能試験、第一種はさらに実務経験も受験資格に含まれます。このために通常は第二種、第一種という順で取得します。実際の仕事では、大規模な工場の高圧電力の工事などであれば第一種の資格が必要になります。
資格取得後の就職としては、電気工事会社、建設や建築会社、一部の家電メーカー、会社によってはエアコンの取り付け工事のみなど、専門の工事だけ行う場合もあります。
電気工事士の平均年収
電気工事士の月収、賞与、年収
電気工事士の平均的な月収、賞与、年収は以下の通りです。
月収 : 34万2,500円
賞与 : 85万6,500円
推定年収 : 496万6,500円
年収内訳 : 411万円(月収 × 12カ月分)+ 85万6,500円
(年齢38.8歳、勤続年数12.4年)
【出典】「平成29年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
資料:「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」
平均的な年収は500万円弱です。給与の流れとしては、発注者から工事に必要な材料などの費用、会社運営の諸経費、そして工事費が請負会社へ支払われ、その中から電気工事士に労働単価として給料が支払われます。ただこの年収は平均なので、電気工事士としての勤務年数やスキル、会社の規模などでも変化します。
実務経験や技術による給与の違い
電気工事士として仕事を始めるならば、通常は最初に見習いとしてスタートします。見習い期間は会社によって違いますが、仕事を覚える期間であり一人前の仕事は出来ないので、平均年収よりも収入は低いです。どの会社で働くにしても、収入アップを目指すなら工事経験を積み、知識や技術を身につける必要があります。
見習い : 250万円 ~ 350万円
一人前・一般社員 : 300万円 ~ 500万円
責任者・役職者 : 400万円 ~ 600万円以上
おおよその年収はこれぐらいとなっており、見習いならば、工具や資材の名前を覚え、仕事の流れなども覚えていきます。
電気工事会社による給料の違い
電気工事会社は、大企業から数名の会社まで様々で、給与水準も違います。会社規模が大きいほど利益を出しやすくなり給与水準が高い傾向にありますので、会社の規模は給与の1つの基準となるでしょう。また社員数10名未満の小さい会社でも、高い給与水準で求人を募集しているところもあり、技術力によって工事単価を高くしている、工事単価を抑える工夫をしている、多くの工事を受注できる体制を作っているなどの特徴を持っている場合があります。このような会社だと、平均年収以上の収入も狙える可能性は高いです。
技術を磨けば、独立して会社を持つことも可能です。独立すると年収は500万円以上と言われており、雇われているときよりも多くの収入を狙えます。ただし独立するなら、仕事は自分で取ってこないとならず、営業力も求められます。営業力があれば、年収800万円以上(目安)を目指すことも可能でしょう。
見習い時の月収
未経験から電気工事士となれば、最初は見習いからスタートするのですが、地域によって見習いの給与に違いがあります。
関東および関西での見習い時の給与
18万円未満 : 8%
18万円以上 ~ 20万円 : 22%
20万円以上 ~ 23万円 : 43%
23万円以上 ~ 25万円 : 17%
25万円以上 ~ : 10%
関東や関西以外での見習い時の給与
18万円未満 : 35%
18万円以上 ~ 20万円 : 34%
20万円以上 ~ 23万円 : 24%
23万円以上 ~ 25万円 : 4%
25万円以上 ~ : 3%
このようになっており、関東や関西など大都市圏のでは給与が比較的高いケースが多くみられます。特に18万円未満の割合を見ると、関東や関西では8%、そしてそれ以外の地域では35%と大幅に違いが出てきます。最初から高い給与を狙うならば、関東や関西の会社で就職を目指すのが良いでしょう。
仕事内容による給与
電気工事会社によっては、専門の仕事のみ請け負うような場合もあり、どんな仕事を扱うかでも給与が違います。
エアコン取付工事 : 約26万円 ~ 77万円
屋内・外線配線工事 : 約19万円 ~ 32万円
ビル管理 : 約20万円 ~ 26万円
工事の受注数が多い仕事ほど給与は高くなります。エアコン工事は夏場や冬場の受注が多くなり、自然と給与にも反映されます。逆に言うと、エアコン工事は時期によっても受注数が違うため給与もシーズンとシーズンオフでは違ってきます。ビル管理の給与は高くはないのですが、年間を通して一定の仕事があるので収入が安定しやすくなります。
電気工事士の年収を上げる方法
電気工事士が年収を上げるには、どのような方法があるのでしょうか。
資格を取得すると、手当をもらえる場合がある
電気工事士の資格には、先に述べた通り第一種と第二種があります。どちらも資格を取ると資格手当が付くことが多く、第二種だと月2千円程度、第一種だと月4千円程度の手当が付きます。手当が付けば、年間数万円の収入アップです。
また幅広い知識と経験を積み、上の役職や独立を目指すならば、「電気工事施工管理技士」の資格がおすすめです。さらにCADの資格を取り図面が書けるとなれば、大きなアピールポイントになるでしょう。
現場経験を積み、能力を高める
現場で経験を積み能力を高めれば、給与アップが見込めます。また経験や知識が豊富となれば、転職で有利となり待遇を高められるでしょう。
このようなことから、どの会社に就職するかも重要です。入社後にスキルアップできるか、待遇と合わせて考えるべきでしょう。いくら採用時の給与が高くても、能力アップも給与アップも見込めないと、何年働いても採用時と同じ状態です。
経験を積むなら新しい仕事にチャレンジするのもおすすめです。今の会社で自分が担当する以外の仕事があるならば、積極的にその仕事をしてみましょう。上司や責任者に相談し、新しい仕事をさせて欲しいと言ってみるのも良いでしょう。他の仕事がないというならば、転職も1つの方法です。
電気工事士として月収がアップすれば、賞与の出る会社だと賞与も多くもらえます。そのために総合的に見た年収はさらに上がります。もし転職するならば、賞与の扱いはどうなっているのか、手当は何が付くのかも見ておくと良いでしょう。手当によっても月収は大きく変わります。
電気工事士は地道なステップアップが肝心
電気工事士は、最初は見習いとして働き、仕事を覚えて経験を積んでいきます。給与・年収アップを狙うなら経験と知識が必要となり、積極的に新しい仕事にチャレンジしていくと良いでしょう。長く働いていけば、責任者や役職のある立場になり、それに伴って給与アップも見込めます。
地道なステップアップですが、積み重ねられた経験が電気工事士としての大きな武器になっていくことは間違いありません。
制作:工場タイムズ編集部