車のバンパーは、車の見た目のよさにおいて重要な要素を占めており、そのデザインが車全体としてのイメージを大きく左右することもあります。
しかし、バンパーはデザイン性という側面だけでなく、安全性という側面においても重要な役割を担っており、車にとって欠かせないパーツのひとつといえます。
ここでは自動車のバンパーに関し、その特徴や役割、日本と海外での考え方の違い、修理の方法などについて解説します。
バンパーってどの部分?
車に取り付けるバンパーは大きく分けて「フロントバンパー」と「リアバンパー」の2種類が存在します。
フロントバンパーは、2つのヘッドライトとフロントグリルの下にある少し出っ張った部分のことを指します。フロントバンパーは安全性という点でも大きな役割を担っています。一方で、自体のイメージを大きく左右する前面に位置しているため、デザイン性が重視されることも少なくありません。特に最近では、フロントスポイラーと一体型になっているフォグランプなどを覆うようにデザインされたフロントバンパーも多くなっています。
一方、リアバンパーはバックライトの下に位置する出っ張った部分のことを指します。リアバンパーも安全性の向上という目的から取り付けられている点はフロントバンパーと変わりはありません。その反面、リアンバンパーはフロントバンパーほど車全体のイメージに影響を与えないため、凝ったデザインが施されることは少なく、実用性の方が重視されているパーツといえます。
このようにフロントバンパーとリアバンパーは、取り付けられている位置だけでなく、各々に求められるものも若干異なることから、そのベクトルにも違いが生じています。
バンパーの役割
現在ではデザイン性においても重視されるようになったバンパーですが、そもそもの安全面における役割が軽視されるようになったわけではありません。
本来、バンパーは急激な衝撃の運動エネルギーを緩和するための緩衝装置として車に取り付けられている部品です。そのため、例えば別の車との衝突事故を起こした際に衝撃を吸収し、ボンネット内のエンジンなどを保護し、あるいは相手の車への衝撃を抑制することなどはバンパーの働きによるものといえます。
また、バンパーは対人事故を起こしてしまった際の衝撃の緩和という点でも大きな役割を担っておいます。最近では、効果を増大させるためバンパーの素材により弾力性のあるものを使用するケースも多くなっています。
一方、バンパーは衝撃を緩和するという点に長けていることから、車だけでなく電車の車両などの機械装置にも組み込まれています。これは、いわば電車の心臓部にあたる機械装置が走行中の衝撃によって損傷してしまうのを防ぐことを目的としています。こういった理由からも、バンパーの衝撃吸収効果が非常に高いことは明白です。
バンパーに対する日本と海外の考え方の違い
デザイン性や安全性という観点から独自の進化を遂げてきたバンパーですが、それに対する考え方は日本と海外で若干の違いがあるようです。
日本の場合、安全性という点でバンパーが大きな役割を担っていることはいうまでもありませんが。その一方でデザイン性という側面でもバンパーの存在は重視されており、車の所有者の中にはバンパーを含めた見た目のよさを重視して購入する車を決めたという人も少なくありません。
そのため、パンパーを含めた見た目のよさを重視し車を購入した人は、傷がつくことを過剰に気にすることも多く、中には少し傷がついただけで修理に出したり、交換したりする方も存在するようです。しかし、このことは衝突時の衝撃の緩和というバンパー本来の目的と照らし合わせると若干主旨が異なってきているようにも思えます。
一方、海外では、そもそもバンパーは車や人間を守るために取り付けられており、傷がついて当然という考え方が一般的であるようです。そのため、多少傷がついた程度で修理や交換をするというケースは少なく、中には傷の多さに対して誇りや愛着を持つという人もいるようです。
このような考え方の違いには、日本と海外における価値観の違いが表れており、非常に興味深いことです。海外における考え方を参考にしてみると、バンパーについた多少の傷も気にならなくなるかもしれません。
バンパーの修理
事故などで前面から衝突した場合、バンパーは最初に衝突する箇所であるため、事故の程度にもよるものの、ほぼ間違いなく破損します。特に車同士での衝突事故の場合、バンパーは大破することが多く、その場合、バンパーは交換となることがほとんどです。
バンパーを交換する場合、まずは整備工場などで見積もりをしてもらいます。費用は5~7万円程度と見積もっておくのがよいでしょう。また、車種によっては新しいバンパーの取り寄せに時間がかかることもあるため、修理に数週間程度の時間を要することもあります。
一方で傷やへこみ、塗装のハゲなどの軽度の破損の場合はバンパーを交換せず、破損の箇所のみを修理してもらうことも可能です。この場合の費用は破損の程度によって異なりますが、2~4万円程度が相場となっています。また、塗装のハゲを目立たなくするためにはカー用品店などで販売されている補修用の塗料を購入するのもおすすめです。ただし、この場合は、車の塗料と同じ型番のものを探さなければならないため、場合によっては店頭で該当する商品を見つけるのは難しいかもしれません。
機能性+デザイン重視の流れが加速
バンパーは本来が安全面で取り付けられているものであるため、機能性が重要であることはいうまでもありません。しかし、現在では車全体としての見た目を重視する人も多く、バンパー自体もデザイン性が重視されることが増えているため、機能性+デザイン性重視」の流れが加速しているといえます。
ここでは、車のパーツとして欠かすことができないバンパーについて、その特徴や役割、日本と海外における考え方の違い、修理の方法などについて説明しました。緩衝装置として大きな役割を担うバンパーは破損することが多く、ドライバーはその基本的な修理方法を心得ておく必要があるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部