車のエンジン付近にはラジエーターと呼ばれる機器が装備されています。エンジンが正常に動作し、車を問題なく走らせる上で重要な役割を担っているラジエーターは、車にとって欠かすことのできない部品でもあります。
ここではこのラジエーターに関し、その働きや構造、故障したとの修理法などについて解説します。
ラジエーターとは?
車のフロント内部のエンジン付近に設置されているラジエーター。ときには、「ラジエータ」と表記されることもあります。具体的にラジエーターがどのような働きをしているのかという点についてはご存じでない方も多いのではないでしょうか。
通常、車を長時間にわたって運転しているとエンジンには大きな負荷がかかり、高熱を帯びるようになります。これによってエンジンが自ら発する熱に耐えられなくなるとオーバーヒートを起こし、車は走行不能となってしまいます。
ラジエーターは、車が走行すると、内部を通る風を利用して冷却水をエンジン周辺に循環させます。つまり、エンジン自らが発する熱によってオーバーヒート状態に陥ってしまうことを防ぐという大きな役割を担っており、その存在は数多くある車の部品の中でも特に重要なものに位置づけられます。
また、ラジエーターは普通自動車向けのもので8~12年、軽自動車向けのもので6~10年程度の寿命があることから消耗品と考えるのが一般的です。定期的なメンテナンスも施さなければなりません。
ラジエーターに必要なパーツ
ラジエーターを構成しているパーツとしては以下のものが挙げられます。
タンク
ラジエーター内で冷却液を貯蔵しているのがタンクです。ラジエーター液とも呼ばれる冷却液は、エンジンの周辺を循環する際に温度の上下を繰り返すため、高い耐久性が求められます。一方でこのタンクもまた経年劣化をしていくため、定期的なメンテナンスと交換が必要です。
キャップ
ラジエーターに取りつけるキャップは冷却液の漏れを防ぐだけでなく、タンク内の圧力を調整するという点においても大きな役割を担っています。キャップの働きによって加圧されたタンク内では、冷却水の沸点が高い状態になっています。そのため冷却水による冷却効果を高めることができ、より効率的にエンジンを冷却することが可能となります。
コア
コアは薄いフィンで構成されており、ラジエーターを構成する重要なパーツのひとつです。コアには小石や虫などがラジエーター内部に入り込み、故障を招くことを防止するという役割があり、その働きがラジエーターの寿命に大きく影響を与えることはいうまでもありません。
ホース
ホースはラジエーター内で冷やされたラジエーター液が通ります。ホースもまたラジエーターを構成する重要なパーツのひとつといえるでしょう。内部に高熱を帯びたラジエーター液が通るため高い耐久性が要求され、定期的にメンテナンスしなければなりません。
ラジエーターの仕組み
続いてはラジエーターの仕組みについて詳しく解説します。
ラジエーターの基本的な仕組み
ラジエーターは車が走行すると、フロント内部に入る風を利用してラジエーター液の冷却を行います。冷却されたラジエーター液はエンジンの周辺に設置されたホースの内部を通ってエンジンが放出する熱を吸収し、再びラジエーター内に戻ります。ラジエーター内に戻ったラジエーター液は高熱を帯びているため、再び冷却され、同様にホースの内部を循環することを繰り返します。
ラジエーター液(冷却水)とは
ラジエーター液は上述のとおり、ホースの内部を循環することでエンジンが発する熱を吸収する働きがありますが、その一方でエンジンの錆びを防止するという重要な役割も担っています。
また、ラジエーター液はメーカーによって異なるものの、明るいピンクや緑色を帯びていることがほとんどです。これはラジエーター液そのものの劣化具合を色で判断できるようにするためでもあり、退色が見られるようになったら早めに新しいラジエーター液と交換する必要があります。
ラジエーターが故障したら?
ラジエーターが故障してしまう原因としては、ラジエーター本体やホースの破損が考えられます。特にホースやタンクなどの消耗品は定期的なメンテナンスと交換を行っていないとある日突然破損し、ラジエーター本体が故障してしまうこともあり得るため注意が必要です。
これらの原因によってラジエーターが故障してしまうと、冷却されたラジエーター液の循環が止まり、エンジンの冷却が正常に行われなくなってしまうため、早急な修理が必要となります。特に走行中にラジエーターが故障してしまった場合、エンジンを踏んだときに異音がしたり、エンジンの回転数が不安定になってしまう可能性もあるため、それらの兆候を早い段階で察知することが必要です。
走行中にラジエーターが故障した場合、まずは安全な場所に車を停車し、エンジンを停止します。続いてラジエーター内の冷却液の量を確認する必要がありますが、この際にエンジンが高熱を発している恐れがあります。そのため、まずは温度をしっかりと確認し、触れられない程熱くなっている場合は不用意にボンネットを開けないようにしてください。温度が高くなっておらず、冷却水の漏れなどが確認できた場合は、ミネラルウォーターなどで応急処置をし、整備工場などで点検をしてもらいましょう。
こまめなメンテナンスでラジエーターの故障を防ぐ
ここでは車のパーツの中でもエンジンの冷却という重要な役割を担っているラジエーターの仕組みや、故障したときの対処方法などについて解説しました。
上述の通り、ラジエーターは高温のラジエーター液が循環することから、ホースやボトルの劣化は激しく、それを放置してしまうことは故障の原因となります。そのため、故障を防ぎ、安全に使用するためにはこまめにメンテナンスを受け、必要に応じてパーツの交換を行う必要があります。ラジエーターの故障が判明したり、故障の兆候が見受けられたりした場合は、速やかに整備工場へ行き、点検をしてもらいましょう。
制作:工場タイムズ編集部