「円高」「円安」という言葉を聞いたことがありますか?テレビや新聞のニュースで見たり聞いたりしたことがある人も多いと思います。
なんだか難しそうな言葉だし、今の自分の生活には関係ないと思いがちな話題ではありますが、実は私たちの仕事や生活に密接に関係しています。
今回は「円高」「円安」の意味やその違いについて、わかりやすく説明します。
円高・円安って何? 基本をわかりやすく解説!
円高・円安といった「円相場」は、外国のお金との比較で使われる言葉です。まず、アメリカの通貨「ドル」との関係を例に、円高・円安の違いについてお伝えします。
円高・円安とは?
アメリカドルを例に挙げると、円高とは、アメリカの1ドルに対して日本の通貨である円の価値が高くなることを言います。それは同時に、円に対してドルが安くなることでもあるので、「円高・ドル安」と呼ばれます。
逆に「円安・ドル高」とは、1ドルに対して円の価値が安くなることとなります。
たとえば、それまで「1ドル=100円」で買っていた商品を80円で買えるようになれば円の価値が上がったことになるので「円高」、130円出さなければ買えなくなるようなら円の価値が下がったので「円安」となります。
「円で安く買えるけど円高」「円を多く払うのに円安」と、ちょっと不思議な感覚になりますが、「ドルに対しての円の価値」と考えるとわかりやすいでしょう。
円高・円安で起こる生活への影響とは?
円高・円安が実際にどのような影響を与えるのかについて、普段の生活の中から具体的な例を挙げて説明します。
円高になると
円の価値が高くなる円高から得られるメリットは、海外からの輸入が増えることです。円の価値が高くて、円で同額支払ったとしても、これまでよりも多く輸入することができるのです。そのため海外ブランド品などの輸入量が増え、安く購入することができます。多くのお店で「円高還元セール」が開催されるようになるのはこの影響です。
また海外旅行にも安く行くことができますし、輸入に頼っている原油の値段も下がるので、ガソリン価格や電力料金が下がり、物価全体が下がって国内経済が安定します。
円安になると
円の価値が下がる円安から得られるメリットは、日本からの輸出が増えることです。たとえば、1台200万円の日本車が、アメリカで1ドル100円のときは2万ドルだったものが、1ドル200円の円安になると半額の1万ドルで買えるようになりますから、リーズナブルになった日本車の人気が高くなって輸出量が増えます。また海外からの観光客も円安になれば増えてくるので、日本国内で多くの観光収入が見込めます。
しかし、日常生活においてはデメリットもあります。たとえば、輸入品や原油の価格が上昇するので、いろいろな商品が値上げの対象になり、それが全体の物価高につながります。給与が上がらない人、年金生活者にとっては支出が増えることになりますから、厳しいと言えます。
円高・円安で仕事にどんな影響があるの?
最後に、仕事面への影響についてお伝えします。ここでは製造業に関することをメインにご紹介します。
円高になると
日本は資源が乏しいため、多くの資源を輸入に頼っています。円高になるとそれらが安くなるわけですから、原材料や部品を輸入している企業にとっては、仕入れにかかるコストを抑えることができます。それで日本国内での製品の販売価格が同じなら、円高になればなった分だけ利益が増えることになります。利益が上がって事業拡大を目指した場合、円高の状況であれば海外企業の買収交渉も有利に進めることができるでしょう。
輸出企業の場合は、利益が減るというデメリットがあります。しかし、日本の製造業はこれまで海外に生産工場をつくって人件費と輸送費の削減に努めるなど、円高の悪影響を回避するためにいろいろな努力と工夫を重ねてきました。
円安になると
輸出をメインにしている製造業の場合、円安は大きなチャンスです。たとえば、上記のような自動車の製造業の場合、円安のおかげで輸出好調となれば、業績が良くなり、新たな設備投資や販路拡大、社員のボーナス増や福利厚生の充実などが期待できるでしょう。
逆に、海外製品を低価格で販売している小売店などでは、円安になることで仕入れのためのコストが高くついてしまいます。その結果、売値を上げなければならなくなり、販売が不調に転じる可能性が出てきます。
円高・円安、どちらにメリットが大きい?
「円高・円安なんて自分とは関係ない」と思っていた人もいたかもしれませんが、今回ご紹介したように、実は私たちの仕事や生活に大きな影響を与えています。では、円高と円安のどちらが良いかというと、それは一概にはいえません。円高にもメリット・デメリットがあるし、円安にもメリット・デメリットがあります。
日本の企業はこれまで、円高になろうと円安になろうと、その悪影響をなるべく最小限に抑えるとともに、どうすれば利益を最大化できるかを考え努力を積み重ねてきました。景気の波は多少あるかもしれませんが、どんな状況になっても日本の製造業はしぶとく、力強く生き抜いていくことでしょう。
【関連記事を読む】生活費に影響大! 円高・円安で何が起きるか知っていますか? | 家計再生コンサルタント・横山光昭 特別講義①
制作:工場タイムズ編集部