「ドールハウスといえば、女の子のもの」というイメージがあるかもしれませんが、最近では大人の男性向けのドールハウスが話題になっています。
ドールハウスとはその名の通り、人形用に作られた小さな家の模型のことです。しかし、サイズは小さくても、建物の部品や家具は精巧に作られているため、世界中にコレクターがいて、専門の技術者も活躍しています。
では、ドールハウスはどのように作られているのでしょうか? 今回はドールハウスの作り方やドールハウスの歴史などについてご紹介します。
ドールハウスって何? なぜ生まれたの?
まず、ドールハウスとは何かについて説明します。
そもそもドールハウスって?
ドールハウスとはミニチュアサイズの家の模型のことで、一般的に1/12スケール(実物大の12分の1)のものが標準とされています。子どもの「おままごと」のおもちゃとして誕生しましたが、今では趣味として楽しむ大人もいます。その中には家や部屋をじっくりと作り込む「王道派」と、部屋を作るよりも収集した部品や小物などのミニチュアをディスプレイするのが楽しいという「ミニチュア派」がいます。
ドールハウスの起源と歴史
ドールハウスは16世紀ごろにドイツ、またはオランダで誕生したといわれています。当時は知育玩具やコレクションとして、上流階級の間で親しまれていました。1611年にドイツで作られたドールハウスは、現存する最古のドールハウスと言われていて、ゲルマン国立博物館に現在も展示物として飾られています。その後17世紀後半ごろにイギリスやアメリカに伝わり、産業革命が起こった18世紀末には世界中に広まっていきました。日本では1952年にイギリスの写真家が娘のために特別注文して作らせたドールハウスが現存するものの中では最古と言われています。
ミニチュアドールハウスの部品はどうやって作られてるの?
ミニチュアは、ひとつずつ手作りされています。簡単なものを例に、ミニチュアの作り方をお伝えします。
ミニチュアフードの作り方
ミニチュアの目玉焼きの作り方を説明します。まずクリアファイルの上にベビーパウダーをまぶし、白いガラス絵の具を薄く丸い形に盛って白身の部分を作ります。固まったらその上に黄色いガラス絵の具を使って黄身の部分を丸く小さめに盛り、乾いたら完成です。ミニチュアフードの材料はどれも100円ショップで揃えることができます。
ミニチュア食器の作り方
100円ショップで売られている「壁に付く吸盤」を使えば、透明な丸皿を簡単に作ることができます。まず吸盤をひとつ用意し、フックなどがあればそれを外します。そして突起している部分をカッターなどで真っすぐ切れば、透明な丸いお皿の出来上がりです。
町工場で作られるミニチュアも
ミニチュアを作り始めて成功した町工場があります。東京都荒川区にある「河合工業所」がそうです。2005年にドールハウスなどに使用するミニチュアを制作・販売する「ミニ厨房庵」という専門店を立ち上げ、今では海外のコレクターからも注目されるようになりました。評判を聞きつけたエルメスの社員も見学に訪れたそうです。
ミニ厨房庵
http://minityuan.ocnk.net/
展覧会やコンテストも! ドールハウスのイベントが満載!
ドールハウスの展覧会やコンテストが定期的に開催されています。その一部をご紹介します。
第18回 東京ドールハウス・ミニチュアショウ
ミニチュア作品の展示販売やコンテスト、ワークショップなどのイベントが開催されます。開催日程:2016年6月18日(土)19日(日)
会場:東京都立産業貿易センター台東館7階展示室
主催:ドールハウスギャラリーミシール
http://micheal.jp/NEWS?P=1#NEWS4
第17回 ジャパンギルドミニチュアショー in 東京
国内外の作品が展示されているだけでなく、海外の一流作家が制作した作品を購入することもできます。ミニチュア作成の基本テクニックを教えてくれるレクチャータイムもあります。開催日程:2016年11月19日(土)20日(日)
会場:東京都立産業貿易センター台東館4階
主催:日本ミニチュア作家協会(ジャパンギルド)
http://www.japan-guild.org/show/show2016tyo.html
また、ドールハウスの基礎知識を問うWEB検定「ドールハウスソムリエ検定」が2015年からスタートしました。さらに日本ドールハウス協会の認定講師になるための試験も実施されていて、ドールハウスの人気が浸透し始めていることがうかがえます。
鑑賞するもよし、自作するもよし、ドールハウスの魅力的な世界
ミニチュアはただ集めて鑑賞するだけでなく、自作することもできます。透明に固まるUVレジン液をはじめ、温めると変形し冷めると固まるプラスチック粘土など、ミニチュアを手作りするのに便利な材料は、100円ショップで手軽に買うことができます。好きな小物を手作りすれば愛着もひとしお。興味のある人は、一度ミニチュアを作ってみませんか?プラモデル作りなどが子どものころ好きだった人は、はまるかもしれませんよ。
制作:工場タイムズ編集部