安全な空の旅に欠かせない頼もしい存在、それが「航空整備士」です。陰ながら支えるプロに徹したその姿は、言い換えれば「空の旅診断ドクター」。航空整備士には、パイロットとは違う仕事の面白さとやりがいがあります。
今回は整備や点検など航空整備士の具体的な仕事内容と、整備士として働くための方法についてご紹介します。
航空整備士の仕事内容を教えて!
航空整備士の仕事は、航空機の安全を守るための業務として「整備・点検・修理」が主になります。航空機の整備には3種類あり、それぞれ「ライン整備」「ドック整備」「ショップ整備」と呼ばれています。ライン整備は空港内の航空機駐機場にて、フライトの離陸前に行う点検です。決められたフライトスケジュールの中、次の出発までの短時間のうちに、必要な部分の確認作業を行うので、入念な準備と正確性が重視されます。ドック整備は航空機の格納庫で行われる大掛かりな定期点検です。一定のフライト時間ごとに行う整備で、航空機の性能を綿密に調べ、不具合が見つかった場合には、迅速に修理や部品の交換を行います。ショップ整備は、航空機の心臓部分であるエンジン周辺の電子・電気パーツの点検を行います。航空機の仕事はひとつの油断が文字通り命取りになりますので、どの整備も緻密な作業になります。
航空整備士の資格って、どうすれば取れるの?
航空整備士の資格は、国土交通省管轄の国家資格です。資格には4種類あり、「一等航空整備士」「一等航空運航整備士」「二等航空整備士」「二等航空運航整備士」に分けられます。航空整備士と航空運航整備士では、整備できる範囲が違います。一等航空整備士と二等航空整備士は、取り扱える機体の種類が違っていて、二等は小型機やセスナを、一等は大型機体を整備・点検できます。一等航空整備士の資格は、4年以上の実務経験があると受験できます。資格を取得するためには、航空従業者指定養成施設に認定されている専門学校で、専門スキルを学ぶのが一般的です。専門学校に進まない場合は、高校卒業後、航空自衛隊や海上保安庁の試験を受験して入隊し、航空機整備員になるという方法があります。専門学校では実地で知識や技能を学べ、在学中に二等航空整備士・二等航空運航整備士の資格を取得できます。また、航空業界という特性上、マニュアルや新しい知識を身につけるのに、英語が読めたり話せたりすると便利です。将来的に幹部を目指すのであれば、語学の勉強をしておくことをオススメします。
航空整備士に向いている人は?
航空整備士の仕事は航空機の安全を守る大切な職務です。航空機が好きなのはもちろん、手先が器用で、まじめにコツコツ仕事に取り組めることが重要です。また、フライトスケジュールが厳密に決まっているので、限られた時間の中で作業をやり遂げなければなりません。もちろん、航空機の種類によって、点検・整備項目も変わります。新しい機種が導入されたら、それに対応できるような勉強も行います。そういう状況下で、職務を遂行できる、プレッシャーを楽しめる人が向いています。航空機の整備は一人で行うわけではなく、それぞれが各パートごとに分担して行うチームワークです。そのチームワークの力がまとまって航空機の安全性が保たれているのです。そのため、同僚とスムーズなコミュニケーションを取れることが大切です。そんな状況で、整備をしっかりと遂行できた際の達成感は格別です。自分たちが乗客の命を守り、空の安全を担っているという使命感とやりがいを感じられるでしょう。また、専門スキルを身につけた上での現場仕事なので、「自分にしかできない」という自負を感じられる仕事です。
乗員乗客の命を守る航空整備士のお仕事
空の安全を守る大切なポジションである航空整備士。航空機は数万の部品からできており、どれか一つ欠けたり不備があっても大事故につながってしまうおそれがあります。それだけ航空整備士の役割は重要なのです。上空を飛び回る航空機の安全運航と乗員乗客の命を守っているのは自分たちだという自負心は、航空整備士の醍醐味です。航空機に興味がある人、機械いじりが好きな人には打ってつけの仕事でしょう。パイロットと違って、あまり表に出てくる仕事ではないので、実態がよくわからず、もっと詳しい内容を知りたいという人もいるでしょう。そういう人は、航空整備士の仕事内容を紹介した動画がネットにいくつかアップされているので、ぜひチェックしてみることをオススメします。
制作:工場タイムズ編集部