作業をしているときに、突然足に重い物が落ちてきたら……。そんなときに私たちの足を守ってくれるのが「安全靴」です。
安全靴は作業の内容によって、いろいろな種類と役割があります。どれもつま先などに硬い鋼板が入っているため、重い物が落ちてきても、ケガをすることがありません。建築現場や工場などで働く人たちにとって、とても大切なものなのです。
今回は、働く人の足を守る安全靴について、その種類や選び方、お手入れの方法をご紹介します。
安全靴とは?
まずは、知っているようで知らない安全靴の特徴について説明します。安全靴とは、つま先や中底に鋼板が入った靴のことです。つま先部分への重い物の落下やクギの踏み抜きから、足を守る目的があります。使用されているのは主に建築現場や工場です。
多くの現場で使用されている安全靴は、「短靴」と呼ばれるものです。高さはくるぶしまでなので、着脱が簡単です。運搬作業でよく使われるのが「中編上靴」です。くるぶしの上くらいまでをカバーしているので、運搬作業時に土砂や水などの異物が靴に入るのを防ぎます。
土木現場や溶接現場などでは、「長編上靴」を使います。スネあたりまでカバーできるので、土砂だけでなく、溶接時に飛び散った火花が靴の中に侵入するのを防ぐことができます。さらに、ズボンの裾を靴の中にしまえるため、高所での作業でも使われます。靴の表面素材は革ですが、溶接用では火花が飛んでも燃えにくい本革が使われます。
ほかには、静電気が発生して爆発や火災の原因になることを防ぐ「静電安全靴」もあります。
また安全靴は耐久性の違いによって、「重作業用」「普通作業用」「軽作業用」の3つに分けられます。重作業用は主に鉱山での仕事や造船作業のときに使われてきました。しかし最近では、作業環境が進化して整ってきたため、重作業用の安全靴を履く機会は減っています。
安全靴の選び方
次に、安全靴の選び方についてお伝えします。
1.まずは、普通に立った状態で安全靴に足を入れ、違和感なくフィットするかどうかチェックします。
2.足を安全靴の前いっぱいまで寄せた状態で、かかとに人差し指が入るかどうかをチェックします。入らない場合は、サイズやウィズ(足回り)が小さいので、もうワンサイズ大きいものを選びましょう。
3.靴ひもを締めてから、先芯(指を守る鋼板)の位置を確認しましょう。親指のくびれたところに先芯の後端部が来るように合わせます。
4.足幅の一番広い部分と靴の一番広い部分が合っているかを確認します。これが合っていないと、作業中に疲れやすくなったり、ケガの原因にもなりかねません。
5.実際に歩いてみて圧迫感や違和感がなければ、OKです。
安全靴のお手入れ方法は?
最後に、安全靴のお手入れについて紹介します。安全靴は泥汚れやホコリがつくことによって、表面の革が硬くなって傷みます。そのため、柔らかい布やブラシを使って泥やホコリをキレイに落としましょう。なかなか取れない汚れには、ベンジンなどは使わず、濡れた布に石鹸をつけ、その部分だけを軽く拭きましょう。
汚れを落とした後は、靴クリームを全体的に薄くつけ、乾いた布で磨き上げます。新品の靴でも、最初からこまめにクリームをつけるようにすると、革の表面にクリームの層をつくり、傷や汚れがつくことを防げます。雨天での作業で安全靴が濡れた場合は、日光や直火を当てて乾かそうとせず、新聞紙などを丸めて安全靴の中に詰め込み、風通しの良いところで陰干しします。革が硬くなることを防ぐため、乾燥したら多めに靴クリームを塗り込んでおきましょう。安全靴を保管する際のポイントは、乾燥したところに入れておくことです。湿気から遠ざけることで、革へのダメージを減らすことができます。
足の安全を守る安全靴は、信頼できる「相棒」
安全靴は、働く人の足を守ってくれる頼もしい存在です。作業に合った安全靴を選ぶことで、つま先の安全を守ることはもちろん、靴の中に異物や火花が入らないようにしたり、爆発や火災の原因となる静電気を防いでくれます。逆に言うと、それだけ汚れがつきやすいということです。職場の「相棒」とも言うべき安全靴に十分な力を発揮してもらうためにも、定期的なお手入れを欠かさず、大切に使いたいものです。
制作:工場タイムズ編集部