自分で一から調理をしなくても、電子レンジなどを使ってチンしてすぐに食べられるレトルト食品。これまでの人生で一度は、何らかの形で利用したことがあるのではないでしょうか?このレトルト食品、とても便利で身近な存在ですが、一体どのようにして工場で製造されているか考えたことはありますか?普段よくレトルト食品を口にしているという人でも、その製造方法まで知っている人は少ないかもしれません。
今回は、レトルト食品のメリットや製造方法についてご紹介します。
レトルト食品の優れた特徴とは?
まず、レトルト食品のメリットや優れた特徴についてお伝えします。
レトルト食品とは?
「レトルト」とは本来、袋詰めにされた食品を加圧・加熱・殺菌する装置のことです。殺菌され、パウチ(袋状のもの)やトレイ状になった容器に入れられた食品のことを「レトルト食品」といいます。もともとは米軍が、携帯食として開発したものが始まりで、持ち運びに重く、空き缶の処理に困る缶詰の代わりに登場したものでした。
日本に初めて登場したのは1968年で、商品は大塚食品の「ボンカレー」でした。レトルト食品は短時間で温めて食べられ、軽くて、保存が利くことなどから多くの消費者のニーズにマッチし、現在では一般家庭にすっかり浸透しています。
レトルト食品のメリット
保存料や殺菌料を使用していない
レトルト食品は食品衛生法で保存料や殺菌料を使ってはいけないと定められています。そもそも空気や水分、雑菌などが入らないように完全密封されているので、食品自体の品質の劣化や腐敗などが起きにくく、保存料や殺菌料を添加する必要がないのです。
非常時の備蓄食にピッタリ
レトルト食品というと、「3分間温めれば、すぐ食べられる」というイメージが一般的です。これは厳密には、「温めると美味しく食べられる」という意味です。もともと調理済みの製品なので、温めなくても食べることはできます。軽くて、持ち運びに便利で、袋や容器を捨てやすく、袋を開ければそのまま食べることができるとあって、非常時にはとても便利です。
常温で長期保存ができる
加圧・加熱・殺菌されている食品なので、家庭の手作り料理と違って冷蔵庫や冷凍庫へ入れる必要はなく、常温で長期間保存ができます。また、場所を取らないので、必要と思われる量をストックしておくことが可能です。
種類が豊富
種類の豊富さはレトルト食品の魅力です。カレーやパスタソース、シチューはもちろん、ハンバーグやソーセージ、丼の素、白飯やおかゆ、流動食や、赤ちゃんのベビーフードなども揃っています。
どうやってつくる?レトルト食品のつくり方
次に、レトルト食品が工場でどのようにつくられているかについて説明します。
レトルト食品で最も多いカレーの製造方法で説明します。流れとしては「スパイスの調合」→「調味料の投入」→「炒めた玉ねぎの投入」→「煮込み」→「具材となる野菜や肉の調理」→「それらすべてを混合させたものにカレールーを投入」→「密封して加圧・加熱・殺菌処理」→「冷却と検査」となります。加熱処理は、通常115〜120℃で行われ、雑菌や微生物などを死滅させます。検査を経て箱詰めされたものが商品として出荷されます。
ローリングストックのすすめ
最後に、レトルト食品と関連して「ローリングストック」についてご紹介します。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、近年注目されています。
ローリングストックとは?
ローリングストックとは、「ローリング(回転すること)」と「ストック(蓄えておくこと)」を合わせた造語です。簡単に言うと、非常食を何年も備蓄しておくのではなく、古いものから定期的に食べては、また新しいものを買い足していくという備蓄方法です。ローリングストックして、非常食を随時新しいもの、自分の好みの味のものに変えていけば、大きな災害が起こったときでも、普段食べたことのない違和感のある食料しか手元にないということが防げます。
また、震災時にはコンビニやスーパーの店頭から食べ物が一斉に消えたという事態が起きましたが、ローリングストックしておけば、そんな非常事態になっても大丈夫です。つまり、非常食に美味しさと豊かさを求めたのがローリングストックなのです。なかでも、長期保存が利き、美味しくてバラエティ豊かなレトルト食品は、ローリングストックに適していると言えます。
優れた特徴を併せ持つレトルト食品
米軍の携帯食として開発されたレトルト食品ですが、欧米では日本ほどメジャーな存在ではありません。それは、大型冷蔵庫が各家庭にあることや、「ゆでる」よりもオーブンなどでローストする調理法が一般的だからだと言われています。
これに対し、日本では「ゆでる」のは伝統的な調理法です。それだけに、お湯で温めて食べるレトルト食品は日本に適していると言えます。保存料や殺菌料が入っていないのに、常温で長期間保存ができる上、種類が豊富で美味しいレトルト食品。日本ではこれからも画期的な商品が登場するでしょう。
制作:工場タイムズ編集部