私たちは毎日、電気を使って生活しています。当たり前すぎて日頃意識することはあまりないかもしれませんが、住宅やビル、乗り物の中など、いつも何らかの形で電気と接して暮らしています。
その中でも、商業施設が入ったビルや工場、発電所などで高圧電力の管理をするのが「電気主任技術者」の仕事です。
では、具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?また、どうすればなれるのでしょうか? 今回は、電気主任技術者についてご紹介します。
電気主任技術者とは?
まず、電気主任技術者の仕事内容と活躍場所についてお伝えします。
電気の安全・運用を監視する仕事
電気主任技術者は、工場や発電所などで電気設備の点検をしたり、電力が問題なく供給できているかを確認する仕事です。異常や故障があった場合は、現場の責任者に修理や改善を指示します。また、電気設備を新しく配置する際の工事にも監督者として立ち合い、保安に努めます。一般の家庭で扱う電圧は100~200ボルト。
一方、工場やビルなどの電圧は6600ボルトに上ります。高圧電力の建物では、ちょっとした故障が大きな事故につながるおそれがあります。そうした事故を未然に防ぐ役割を電気主任技術者が担います。
働く場所は工場や発電所
工場や建築現場、ビル管理会社をはじめ、発電所、変電所など多くの電力を利用するところが主な活躍場所です。ほかにも公共機関や病院、百貨店、大型商業施設、倉庫、データセンターなどでニーズがあります。
電気主任技術者の資格は何がある?
次に、電気主任技術者の資格試験について紹介します。この資格は国家資格です。
受験資格
年齢、学歴などの制限はなく、初心者でも受験することができます。高校や専門学校、大学で電気関係を学んでいなくても大丈夫です。試験は、「一般財団法人 電気技術者試験センター」のWebサイトから試験案内に沿って申し込むのが良いでしょう。
3種類のレベルがある
資格には第一種・第二種・第三種と3種類のレベルがあります。第三種の試験に合格すると、電圧5万ボルト未満の電気設備の維持、および運用の保安業務に就くことができます。第二種では扱える電圧が上がり、17万ボルト未満まで対応することができます。第一種になると、電圧の規制がなく、すべての電気設備の維持管理を行えます。ただ、第三種を持っていれば、電気設備の保安業務を大体カバーできると考えていいでしょう。
第三種電気主任技術者
第三種は一次試験(5つの選択肢から正解1つを選ぶマークシート方式)のみとなっています。科目は理論・電力・機械・法規の4科目。難度は工業高校の電気科卒業程度です。科目別に合格すれば良く、一度試験を受けたら4科目合格するまでの有効期間は3年間です。
第二種、第一種電気主任技術者
一次試験と二次試験があります。一次試験の科目は第三種と同じですが、多肢選択(いくつかの選択肢の中から正解を選ぶもの)のマークシート方式で行われます。二次試験は「電力・管理」と「機械・制御」の2科目あり、記述式です。二次についての科目別合格制度はありませんが、一次試験に合格した年に不合格になっても、翌年は一次試験が免除されます。第一種の難度は高く、2015年は一次と二次を合わせて2000人以上が受験した結果、合格率は4.4%となっています。第三種から少しずつステップアップしていくのがいいでしょう。
電気主任技術者のメリットとは?
最後に、電気主任技術者の資格を取得するメリットについてお伝えします。国家資格ですし、いろいろな施設にこの資格を持つ人を配置することが法律で決まっていますので、ニーズが高く、就職・転職に有利です。
メリット
工場や商業施設の入ったビルなど高圧電力を使用する場所はたくさんあります。こうしたところには電気主任技術者を配置することが法律で義務づけられています。しかし、配置が必要な施設の多さに対して、資格を持っている人の数は足りていないので、ニーズは非常に高いと言えます。長期雇用と安定収入が期待できるでしょう。しかも電気を使用する施設は今後もどんどん広がっていくのは確実ですから、将来性も十分です。
電気主任技術者に向いている人
電気の扱いが好きなことは大前提です。仕事が設備の点検や保安業務ですから、几帳面で細かい作業を丁寧に行える人が向いています。また、高圧電力を扱う施設は大型ですから、大型設備を扱うことに興味がある人なら、やりがいを感じられるでしょう。
ニーズが大きく、将来性の高い資格
「電力の小売自由化」がメディアで話題になっていることもあり、電気に対する一般の人たちの関心が高まっています。電気に関する資格はたくさんありますが、その中でもニーズが大きく、将来性が高い資格が、電気主任技術者です。電気の扱いに興味のある人なら、業務経験がなくても受験できますし、第三種から第一種へステップアップすることも可能です。高圧電力を必要とする施設はこれからも増える一方なのに対して、資格を持っている人の数は足りていないため、今後も長期雇用と安定収入が見込めるでしょう。興味がある人は、「電気技術者試験センター」のWebサイトをのぞいてみてはいかがですか?
制作:工場タイムズ編集部