工場で働くときには、作業服のように決められた服装を着るのが一般的です。作業服は、工場で働く人たちが安全に作業を進められるように考えてデザインされています。
今回は、製造業・食品工場を中心に、工場で働く人の服装に関する基本的な考え方と注意点をご紹介します。服装に関してどんなルールがあるのか気になる人は、ぜひ参考にしてください。
製造工場の服装
製造工場では、上下に分かれた作業服や、動きやすいつなぎを着ます。帽子の着用を義務づけている工場も多くあります。靴は動きやすく、履きやすいものが適しています。特に規則がない場合でも、サンダルや装飾がついた革靴は避けましょう。
担当する工程によっては、作業しやすい配慮がされた共通の服を指定されます
たとえば、倉庫内作業や電気工事では動きやすい綿の服が好まれます。作業の支障になる突起物や装飾は排除され、安全面に配慮したデザインになっています。精密機器を扱う現場では、わずかなちりやほこりも許されないので、汚れがつきにくく制電加工がされた服を着用します。そういう服を着ることで品質に影響が出ないようにしているのです。
一年中、同じ服を着るわけではなく、春夏用・秋冬用など季節に合わせて衣替えが行われます。寒さが厳しい時期には、防寒用の上着が支給されることもあります。それもすべて作業員の働きやすさを会社が考慮したものです。毎日着る服装を考えなくていい分、オフィスワークより気が楽ととらえる人もいるでしょう。
食品工場の服装
食品工場の場合は、衛生管理が第一です。不織布(ふしょくふ=織っていない布)でできたつなぎや、白衣作業服を指定されます。頭部は、髪の毛が入らないように衛生帽子やフルフードで覆います。また、髪の毛と耳を覆い隠すヘアーネットを着用する現場もあります。
足下は、クリーン加工が施された靴を履くのが一般的です。水産物の加工場では、長靴が支給されます。
食品工場の服装イメージとしては、スーパーの惣菜売り場の裏側で働く人たちに近いでしょう。会社によっては、白衣作業服のクリーニングを工場でまとめて行うため、外部への持ち出しを禁止しているところがあります。いずれも食の安全を守ることを最優先して考えられた規則です。
服装のルール
決められた作業服の着用以外にもいろいろなルールがあります。主なものをお伝えします。
時計・アクセサリーをつけない
作業の妨げにならないように、時計やアクセサリーの着用を禁止されている工場が多くあります。衛生管理を徹底するため、香水の使用を控えるよう指示が出されるところもあります。食品工場で働く場合は、爪を短くしておくことが大切です。
支給された服を清潔に保つ
作業服は、季節に合わせて支給されます。汚れがついたら、専用の洗剤を使うなどして常に清潔に保ちましょう。汚れをそのままにしておくと、品質面への影響が心配されるからです。作業服をきれいにしておくことは仕事の一部なのです。
正しい着方を守る
作業靴のかかとを踏んだり、シャツのすそがはみ出していたりと、正しい着方を守らないとケガや事故の原因になります。狭いスペースの中でたくさんの人が行き来する現場では、周りを巻き込んだトラブルにもつながりかねません。また工場によっては、タオルを首にまくことを禁止しているところがあります。労働災害防止のためにも、「作業服は正しく着る」という心掛けが大切です。
サニタリールームへの入室
食品工場には、衛生管理を徹底した「サニタリールーム」が設けられています。この部屋に入る作業者は、更衣室で白衣作業服に着替え、マスクを着けます。さらに、ローラーを作業服にかけてほこりなどを取り、エプロンを着用。そのうえでエアシャワーに入るという念の入れようです。また、健康状態は良好か、手に傷がないかなども自己申告します。
作業服を正しく着用して気持ちよく働こう
工場で働くときには、作業服を支給されるのが一般的です。制服を着るだけで、自然と引き締まった気持ちになるでしょう。また、そろいの作業服を着ることで、会社の一員として働いている自覚が芽生えます。一方、シャツのすそをはみ出させたり、靴のかかとを踏んだりするのは、作業をする上でとても危険な行為です。工場内では決められた作業服を着て、常に清潔にしておく。装身具は身につけないといった決まりを守りましょう。そうすることで仕事に対するモチベーションを上げ、気持ち良く働くことができます。
制作:工場タイムズ編集部