身近にある化粧品は原材料に違いはあっても、大まかな製造工程は同じです。
肌に直接触れるものであるだけに、丁寧な検査・管理体制のもとで製造されています。なかでも衛生面やアレルギー反応については特に厳しくチェックされます。
今回は、そんな化粧品の製造工程についてご紹介します。
化粧品は女性のものだけじゃない!?
化粧品は、医薬品と同じように薬事法という法律によって規制されています。薬事法によると、化粧品とは「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え」るものと定義されています。法律上、シャンプーや石けん、ハミガキ粉も化粧品に含まれます。また、最近では男性用の基礎化粧品もあります。つまり、化粧品といっても女性専用というわけではなく、いろいろな種類があるのです。
ただし、育毛剤など治療や予防を目的に使用するものは化粧品ではなく、医薬品や医薬部外品になります。
丁寧な製造工程
化粧品の製造工程は、それぞれの段階ごとに丁寧な作業や検査が繰り返されます。まず、原材料の選定が行われます。製造量に合わせてトン単位から0.01グラム単位で原材料の計量が行われ、厳しい衛生基準をクリアしたクリーンルームなどで保管します。
次に、決められた分量ごとに原材料を均一に混ぜる作業が行われます。この工程によって「バルク」と呼ばれる化粧品の中身が製造されます。最後に、化粧品を詰める充填(じゅうてん)と包装工程があります。
充填工程では、重量を確認しながら、中身を瓶などの容器に詰めていきます。化粧品の製造工程では、衛生面の検査のために、機械、品質検査、人の目によるチェックなどが何段階も行われます。
化粧品工場に違いはあるの?実際どんな仕事?
化粧品は人体に触れるものだけに、国の許可があってはじめて製造や販売を行うことができます。どんな許可があるのか、そして化粧品工場でどんな仕事が行われているのかを説明します。
化粧品工場の違いとは?
化粧品を製造したり販売するには、薬事法に基づいた2つの許可を得ると可能になります。
化粧品製造業許可
厚生労働大臣が認可した化粧品工場は、「化粧品製造業許可」を受けます。企業全体で取得すれば良いわけではなく、各工場で許可を受け、それではじめて化粧品の製造ができるのです。
化粧品製造販売業許可
消費者に対し、化粧品を販売できるのが「化粧品製造販売業許可」です。メーカーとしての販売はもちろん、輸入品を販売する場合もこの許可が該当します。
OEM会社
OEMとは受託製造のことです。通常は、生産能力は高いが販売網が弱いところと、生産能力は低いが販売網が強いところが協力するために行います。
化粧品の場合は、他社ブランドの化粧品を企画・製造することです。化粧品が入った容器の裏側を見ると、「発売元」と「製造販売元」で違う会社名が書かれていることがあります。その「製造販売元」がOEM会社であり、「発売元」がメーカーです。OEM会社が化粧品を作り、発売元に納品しているのです。つまり、ブランド名は有名企業でも、実際に作っているのは別の会社というわけです。
どんな仕事があるの?
化粧品工場にはいろいろな仕事があります。その仕事内容についてお伝えします。
クリーンルーム内での仕事
化粧品の製造には厳しい衛生基準が設けられています。特に敏感肌用の化粧品の場合はクリーンルームでの作業になります。従業員はクリーンルーム専用の作業服を着用。靴や手袋、マスクにも防水や減菌加工が施されるなど細心の注意を払います。
充填・包装機などの生産ライン
粉体や液体など、化粧品にはいろいろな形があります。それらを個々の商品として販売するために、容器への充填や包装が生産ラインによって行われます。
品質検査
製造された化粧品の品質を検査します。「外観」や「色合い」「香り」「粘度」「微生物検査」などを行います。
研究補助
化粧品の研究開発に携わる人をサポートする仕事です。実験の補佐や機器類のチェックをはじめ、データ入力や管理などの事務作業も行います。
異業種からの参入も盛んで、にぎやかな化粧品業界
女性だけでなく、男性にも身近な存在である化粧品。消費者の手元に届くまでには、厳しい衛生基準のもとで品質検査が繰り返されています。化粧品に興味があって、化粧品に携わる仕事がしたいと考えている人もいるでしょう。低価格帯から高価なブランド品まで種類はいろいろありますし、新しいブランドも続々登場しています。
さらに、精密化学メーカーが自社rの技術を応用して新たな化粧品を開発するなど、異業種からの参入も盛んです。とてもにぎやかな業界といえるでしょう。化粧品の製造風景は動画サイトにいろいろありますので、興味がある人はチェックしてみてください。
制作:工場タイムズ編集部