みなさんは「パイプ」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?ガス管や水道管など空気や液体を通すための管を思いつく人が多いかもしれません。
しかし、実際は粉末や固体を通すものなど、いろいろな種類があります。そのためひと口にパイプと言っても、あまり知られていないものがたくさんあります。
今回は、知られざるパイプのお話をご紹介します。
パイプとは?
一般的には、中が空洞になっている円筒状のものをパイプ(管)と呼びます。管内の空洞部分には液体や気体、粉体などを通します。また、ケーブルや電気配線を保護する目的でパイプが使用されることもあります。
さらに、「配管」という言葉があります。これはパイプやホース、チューブを取り付けるという意味です。また、取り付けられた管自体を配管と呼ぶこともあります。
では、パイプは私たちの生活の中でどのように使用されているのでしょうか?
気体配管
代表的な気体配管は、燃料ガス配管や空気配管、蒸気配管などです。燃料ガス配管は、ガス会社と各家庭を管で結んでガスを運んでいます。また、エアコンの室外機と室内機をつないで冷房ガスを通す冷媒配管も身近な気体配管の一つです。
液体配管
代表的な液体配管は、水配管や油配管です。水配管は、水道局と各家庭を管で連結することで飲料水などを輸送しています。しかし液体であるため、寒冷地の冬季には凍結による配管破損のリスクがあります。
粉体配管
吸引または圧送により粉体を輸送する方法です。内部を通過させるのが粉体であるため、詰まりやすいというデメリットがあります。そこでパイプ内部の表面をできるだけ滑らかにしたり、パイプが曲がる箇所をなるべく減らすなどの工夫がされています。
配線保護用配管
電気設備などのケーブルや電線を保護するための配管です。電話や放送施設といった通信を担う「弱電設備」用のケーブルを外部から保護する管を使用する場合は、漏電や感電事故を防止するため、必ず管を地面に着けて使用します。
製造方法からみるパイプの種類
パイプの製造方法には、用途や材質、サイズの違いからいくつかの種類があります。その製造方法の違いから、パイプは2つのタイプに分けられます。
シームレス鋼管
溶接などでパイプ同士をくっつけていないため、「シーム」(継ぎ目)がない配管です。継ぎ目がないことから、均一性があり、パイプ本来の性能を発揮できるという長所があります。
溶接鋼管、鍛接鋼管
溶接や鍛接(熱と圧力でくっつける沸かしつけ)によるパイプの継ぎ目がある配管です。継ぎ目の形状によって2つの種類があります。・ストレートシーム鋼管…パイプが伸びている方向に向かって、真っすぐ平行に入った継ぎ目がある配管・スパイラルシーム鋼管…パイプをグルグル巻いているように、らせん状の継ぎ目がある配管
これもパイプ!?
製造技術や加工方法の進歩によって、パイプがいろいろな場所で使用されています。
東京スカイツリー
東京観光の名物スポットとしておなじみの東京スカイツリー。あのスカイツリーの骨組みは、巨大な鋼鉄製のパイプ、つまり鉄パイプでできています。鉄パイプは鉄骨と比べて頑丈なので、もともと高い塔を建てるときに使われてきました。東京タワーの2倍近い634mの高さを誇る東京スカイツリーには、特別大きな鉄パイプが使われます。
従来の切断機では大きな鉄パイプを切断することは難しかったのですが、「パイプコースター」という高性能の切断機が登場し可能になりました。「パイプコースター」はフロンガスの力で巨大鉄パイプを切断します。しかも建設しやすいように切断面も滑らかなのです。つまり、東京スカイツリーは高性能の切断機によってつくられた鉄パイプの塔なのです。
ヒューム管(土管)
「ヒューム管」という言葉はあまり聞いたことがないかもしれません。これは、直径およそ3mもある、いわゆる土管のことです。私たちの生活に欠かせない下水道に使用されています。日本国内の地下を駆け巡る下水管は、全長8万km。軽く地球2周もできてしまう驚異的な長さのパイプなのです。
水道管からスカイツリーまで!変幻自在な現代のパイプ
ガス管や上下水道管をはじめ、私たちの身近な生活にたくさんのパイプが使われています。しかも製造方法や加工技術の進歩によって用途が豊富に広がり、東京スカイツリーのような大きな建物の建設にも大活躍しています。パイプの溶接や修理、洗浄などの様子は動画サイトにたくさんアップされています。興味がある人は一度、チェックしてみてはどうですか?
制作:工場タイムズ編集部