「監視カメラの映像から犯人が逮捕されました!」というニュースを聞いたことがありますか?監視カメラというのはこれまで、こうした防犯目的に大きな役割を果たしてきました。
しかし最近では、違った視点から監視カメラが工場内に設置され、効果を上げています。
今回は、監視カメラ設置の目的やメリットについてご紹介します。
現場の「見える化」として
製造業などの工場に監視カメラを設置するのは、セキュリティ面の強化だけではなく、作業を「可視化(見える化)」することが目的です。
業務のムダを改善!
工場にカメラを設置することで、製造ラインにおける生産過程を映像データとして保存することができます。そのため、その過程の中でどこにムダがあるのか、改善点はどこかを簡単に見つけだし、業務を効率化させることができるのです。また、作業状況を録画することで作業工程の説明を、映像を使って明確に行うことができ、従業員の指導や育成に役立てられます。
製品の品質管理を徹底!
製造ラインの工程が映像で記録されているため、事故発生時にはすぐに原因を突き止めることができます。品質上の問題が起きたときにも、顧客に提示するデータとして活用できますので、改善策をわかりやすく説明することができます。このように、品質管理にも監視カメラが大きな役割を果たしているのです。
安全と衛生のために
監視カメラは、製造業、なかでも食品工場の「安全」と「衛生」を守るために欠かせないツールになっています。ある有名なカップ麺の中に異物が混入し、その業者が長期間にわたって販売を自粛していたニュースを覚えている人もいるでしょう。こうした大きなダメージを負わないためにも、監視カメラは食品工場になくてはならないものになっています。
また、何者かが意図的に異物を混入させる事件も起きています。このような事態を防ぐため、工場は外部からの侵入者をブロックし、情報漏洩を防ぐという危機管理対策を行っています。ここで使われているのが監視カメラ連動型の「個人識別入退室システム」です。これは、外部からの侵入者を防止し、従業員の出退勤の管理に使われるだけでなく、内部関係者の犯罪防止としても使われています。
また、最近の監視カメラの中には、映像を再生する際に時間単位で画像をサムネイル化したり、リスト化する機能が備わったものがあります。作業をする手元をズームアップして録画することが可能なため、いざという時の証拠能力として使えます。こうした監視カメラを工場内に設置することによって、リスクマネジメントを完璧に行っていることを外部に伝えることができ、消費者への安全アピールにもつながるのです。
最新の監視カメラとは?
最新の技術を駆使した監視カメラの機能は、私たちの想像を大きく超えています。上で触れたようなズーム機能はもちろん、360度旋回できるカメラも注目を集めています。
ほかには、不良品を識別できる機能が注目を集めています。製造ラインを通過するだけで製造番号や記号を読み取るだけではなく、容器のフタの位置ズレや賞味期限の正誤、ラベルの有無、箱の形状を見極めてフラップ(フタ)の飛び出しに反応するものなど、非常に高性能なものです。
もちろん、金属などの異物検査も同時に行えるため、ネットワークにより繋げられたカメラから原因を特定することができます。つまり工場に設置された監視カメラは、異物混入だけではなく、操作ミスによる事故やトラブルを防ぐという役割をも果たしているのです。さらに、生産ラインの状況を死角のないカメラワークでモニタリングすることで、品質に対する従業員の意識を高めることができます。
監視カメラが映し出すのは工場の秘めたる可能性
防犯目的だった監視カメラの役割が、近年様変わりしています。カメラの機能が大きく進歩したことで、生産ラインにおける異物購入や不良品の識別まで、すかさずチェックすることができるのです。それが工場の作業効率や品質の維持・向上、従業員のモチベーションアップに大きな役割を果たしています。万一に備えた安心と、起こってしまった後の迅速な対処、さらに改善策の提示に至るまで、工場の監視カメラは消費者の安全を守るための大切なツールになっているのです。
制作:工場タイムズ編集部