モノづくりというと、どんな仕事を思い浮かべますか?
「製造工」「修理工」「組立工」「デザイナー」など、モノづくりにかかわる仕事にはいろいろな職種があります。
最近では、趣味におけるプラモデルづくりやDIYなどで、人気が高まっている分野です。
そこで今回は、モノづくり専門の職業「ものづくりマイスター」についてご紹介します。
ものづくりマイスターとは?
そもそも「ものづくりマイスター」とはなんでしょうか?その基礎知識と、実際に「ものづくりマイスター」になるためにはどうすれば良いのかを解説します。
ものづくりマイスターとは?
ものづくりマイスターとは、その名のとおり、モノづくりに関連した技術・経験を持っている人を指します。このマイスターたちを活用して行われている「ものづくりマイスター制度」は、厚生労働省からの委託を受けた中央技能振興センターが設けているものです。
建設業から製造業に至るまで百を超える職種を対象に、高度で洗練された技能を持つ「ものづくりマイスター」たちが、中小企業や教育機関で技術指導を行っています。技能検定や技能競技大会などが実施されており、後継者の育成を目指して技術の伝承に取り組んでいます。
ものづくりマイスターになるためには?
ものづくりマイスターになるためには、三つの認定条件が設けられています。
認定基準
・実務の経験が十五年以上・技術検定の特級・一級・単一等級(同等の技能)を持つ人、もしくは技能五輪全国大会の成績優秀者(銅賞まで)・後継者育成という技術伝承に強い意欲や能力を持つ人
対象分野
・建設業・製造業に該当する職種(「造園」「建設板金」「とび」「左官」など百五職種)・技能五輪全国大会の中で建設業・製造業に該当する競技職種(「メカトロニクス」「電子機器組立て」「情報ネットワーク施工」「建築大工」など三十三職種)
申請資格
企業に所属している人なら代表や上司、それ以外の人はその職種に関する団体や組織から推薦があり、認定後に指導実績やプロフィール公表が可能な人のみ申請できます。申請用紙に記入後、各都道府県に設けられている技能振興コーナーに書類提出を行います。
食にかかわるものづくりマイスター
ものづくりマイスターには、食にかかわる技術者が多く在籍しています。「パン製造」や「菓子製造」「水産練り製品製造」「みそ製造」「ハム・ソーセージ・ベーコン製造」「製麺」など、多くの食品関連のプロたちに目が向けられています。
たとえばみそ製造は、日本の伝統的な食文化を守る技術として、子どもの認知度を高めることに積極的です。小学校や中学校で実際にみそづくりを体験できる機会を提供しています。
みそ製造は職人の数が少ないためか、制度が施行されてからの二年間で四人しかものづくりマイスターとして認定されていません。それだけに貴重な存在と言えるでしょう。
食にかかわるものづくりマイスターは、活動の幅が広いのが特徴です。中小企業や専門学校ではプロの育成を行っています。また、小中学校で講演や体験教室を開いたり、地域コミュニティ活性化のためのイベント教室などで指導をしています。日本独自の食品製造・加工技術や食文化をいま一度確認し、残していくために大きな役割を果たしています。
住にかかわるものづくりマイスター
ものづくりマイスターには、住まいにかかわるマイスターも多数活躍しています。
建築板金
金属板の加工を行い、屋根や外壁、水回り工事などをしているのが建築板金工です。住まいに関する重要な役割を負う仕事です。マイスターは若い職人たちに、内装・外装などの板金技術に関する指導を行っています。また「建築板金技能士」という資格があるので、その取得についてのアドバイスをしています。
家具製作
工具や工作設備の使用方法、家具製作に関する技能検定取得のための実技指導を行っています。また、型取り、裁断、縫製、張り込みといった椅子張り作業の伝統的な技の実演を講演会などで行うこともあります。
建築大工
建築大工とは木造建築の大工工事に欠かせない仕事で、高い施工技術を使います。建築大工技能士という技能検定制度があり、マイスターは等級ごとに資格取得のための実技指導を行います。また、木造建築のための使用刃物のつくり方や社寺建築についての指導を得意とする人もいます。
ガラス施工
板ガラスは建物のいろいろな場所で使われています。このためガラス工事の施工についても建築大工技能士と同じようにガラス施工技能士という資格があります。マイスターはこの資格取得のための学科と実技指導を行います。
モノづくりに欠かせない伝承するという職業
ものづくりマイスターは、モノづくりの専門性を高めるだけではなく、磨き上げた技術を後継者に受け継ぐやりがいが味わえます。厚生労働省という大きな基盤のもと、ものづくりマイスターたちが全国で若い職人らを相手に実技指導などを行っています。もし、ものづくりマイスターを名乗る人に出会う機会があったら、地域でどんな活動をしているのか聞いてみるのも良いでしょう。
制作:工場タイムズ編集部