日曜大工や旅行のとき、計画を書いた「設計図」や「しおり」があれば物事がスムーズに運びますよね。工場でもそのような計画書をつくります。
製品が完成するまでの流れを書き出して、スケジュールや品質の管理に役立てているのです。
今回は、工場で良く使われている計画書である「工程管理表」のつくり方をご紹介します。
工程管理表とは?
工程管理表とは、作業の「計画表」「スケジュール表」のことです。建設や施工、土木、製造開発、生産、プロジェクト管理など、あらゆる業務で使われます。旅行を例にすると、予定通り旅をするために旅程表があると便利ですよね。旅程表に、「準備するもの」や「立ち寄りたい場所」、「電車やバスの時間」といった情報を一つにまとめておけば、旅行を楽しくスムーズに進めることができます。旅行で言う「しおり」が工場の「工程管理表」となります。
工程管理表を使えば「作業の見える化」をすることができます。工事や生産は、多くの人が関わるため、仕事の進み具合がわかりづらいときがあります。「今どこまで進んでいるのか」を知って作業を行うことは、作業を最後までスムーズに進めるためのポイントです。工程管理表があれば、作業のペースが遅れていることに早い段階で気付くことができます。また納期に間に合わない可能性があれば、急いで進めるよう対策することができます。
工程管理表には、「全体工程表・総合工程表」といった作業全体を管理するものもあれば、「月間工程表」「週間工程表」など作業や時間割がより細かくなったものもあります。デザイナーやプロデューサー、経営者などが「全体工程表・総合工程表」で全体に指示を出し、工場長や現場監督などが「月間工程表」で管理します。さらに、現場の班長や主任レベルの人が「週間工程表」をつくって作業を進めることがあります。用途や見る人に合わせて使い分けています。
また、担当者や作業期間を棒グラフのような書き方で表示するのが一般的な工程管理表です。工場によっては、作業同士の繋がりを把握できるよう工夫された「ネットワーク工程表」というものがあります。これは、それぞれの作業が、ほかの作業とどんな関係があるのかを一目でわかるように整理した表です。
必要事項の洗い出し
実際に工程管理表をつくるにはどうすれば良いのでしょうか。まずは、テンプレートを探すことをオススメします。テンプレートとは、雛形となるデータのことです。これがあれば数値を入力するだけで簡単に工程管理表をつくることができます。
パソコンを使って工程管理表を一からつくろうと思えば、Excelなどの作成ツールに対する知識・技術が必要です。インターネットで「工程管理表」を検索すれば、工程管理表のテンプレートがたくさん見つかります。
次に工程管理表に記入する一般的な項目をご紹介します。
期間
いつ初めていつ終えるのかという情報です。納期が決まっている場合は、その期日を中心に工程を立てることになります。
工程
期間が決まれば、期間内に終えられるように工程を組みます。どれくらいの人員を割けば期間内に終えられるのか、全体の作業量をふまえて考えます。できるだけ無理がなく、無駄のないスケジュールを立てましょう。
担当者
それぞれの工程につく従業員の名前を入れておけば、作業の担当がわかりやすいです。従業員全員の名前を入れるスペースがない場合は、班長か責任者のような代表する人を選んで記入しましょう。
気をつけるポイント
工程管理表の便利な点は、一目でたくさんの情報がわかる点です。それぞれの工程や納期、注意点などを書いておけば、毎日確かめられます。必要な情報のみを記入して、誰でも見やすい工程管理表の作成を目指しましょう。
製造工程で大切なQC工程表
工程管理表の一つに「QC工程表」というものがあります。「QC」とは「製品の品質を一定水準に保つこと」という意味です。工程管理表が工程をコントロールするのに対し、「QC工程表」は現場でどのようにして品質を確認し、コントロールしているかを表したものです。
工場で製品を生産する際に、品質の管理は欠かせません。そこで「QC工程表」をつくって管理を行えば、「製品の品質を一定水準に保つこと」ができます。現在の工程がかかえる問題点を洗い出すことで不良品の発生を未然に防ぎます。また、「QC工程表」は品質改善の結果を記録するといった目的にも使えます。
旅の地図として
従業員が迷わず、スムーズに仕事を進めるための「工程管理表」。建設や生産を行うときに工程管理表があれば、どこを目指しているのか、今どこの段階にいるのかが良くわかるようになります。工場や建設の現場で働くと、「工程管理表」を見る機会があるでしょう。工場ごとに「工程管理表」は異なるので、ほかの工場へ行ったときや、インターネットでほかの工場ではどのようになっているのか調査してみると良いでしょう。自社の作業をより効率良くこなすためのヒントが転がっているかもしれません。
制作:工場タイムズ編集部