重い荷物や大きい荷物を運ぶのに使用するフォークリフト。車とはちょっと違うので、運転に慣れないうちは戸惑うこともあるでしょう。
ちょっとしたコツを知ると、狭い倉庫や工場の中でもきびきびと作業をすることができます。仕事を始めたばかりの人に役立つフォークリフト運転のコツをご紹介します。
フォークリフトの基礎をおさらい!
フォークリフトはどんなものを運ぶのでしょうか。荷物の重さとパレットのことを知っておけば、荷物を運ぶときに役立てることができます。
運べる重さの計算方法
フォークリフトには大きさや機種によって運べる荷物の重さが違います。運ぶことのできる重さを知っておくことは、より安全な運転と事故防止に繋がります。
運べる荷物の重さは、「許容荷重表」の荷重曲線で調べることができます。許容荷重表とは、運ぶことのできる荷物の重さを表にしたものです。荷物の大きさや形によって同じフォークリフトでも運べる荷物の重さが変わります。例えばフォークの長さよりも大きなサイズの荷物を運ぶとき、重たいものを持ちすぎると車体が前に傾いてしまいます。「許容荷重表」は、荷物のサイズによってどれくらいの重さの荷物なら運べるか簡単にまとめたものです。そのため、荷物を運ぶ前には許容荷重表を確認しましょう。許容荷重表は、運転席から見やすい位置にあります。この表を見てから作業を始めると良いでしょう。
パレットの材質と特徴
フォークリフトで荷物を運ぶときには「すのこ状の板」を使います。荷物の輸送や保管作業をしやすくするために使われていて、「パレット」と呼びます。パレットの材質によって特徴が違うので、扱う荷物や現場によって使い分けると良いでしょう。
木製パレット
木製パレットは壊れにくく、重い荷物に耐えられる材質です。湿気に弱くダメージを受けやすい反面、傷んだ部分だけ修理することができます。修理がしやすく長く使えるので、多くの工場で使われる材質です。
合成樹脂製パレット
木製パレットと違い、湿気が多い場所で使えます。長持ちする材質として広く使われています。破損部分の修理をするには、木製パレットに比べて費用が掛かります。
金属製パレット
金属製のパレットは最も壊れにくく強い材質です。長く使うことができます。ただし、パレット先が重いので、普段使っていない人からすると初めは違和感があるかも。航空輸送などの現場でよく使われています。
ハンドル操作のコツ
フォークリフトは一般的な自動車とはハンドル操作が違います。そこで、覚えておきたいハンドル操作のポイントを二つ紹介します。
外輪差を意識する
フォークリフトは後輪操舵(こうりんそうだ)と呼ばれる車です。後輪操舵とは、方向を変えるとき後輪が動く車のことで、曲がるときに「外輪差」が生じます。「外輪差」とは、車体の前部分よりも後ろ部分が大きく外側をとおってしまうことです。外輪差を意識することで、車体の後ろ部分や荷物を壁にぶつけずに運転することができます。
前輪が曲がり角を超えたらすぐにハンドルを切ると上手く曲がれます。バックするときはこの方法の逆です。運転手の身体が曲がり角を超えるところまで進んでから、ハンドルを切ります。普通自動車の運転と比べると、前進しているときに曲がる場合はゆっくりハンドルを切りましょう。バックをしているときに曲がる場合は普通自動車と同じ要領です。
ハンドルを最小限にきる
フォークリフトは前後のタイヤの大きさが違います。重い荷物を安定して運べるように前のタイヤが大きくなっています。また、狭い倉庫や工場の中で小回りが利きやすいように後ろのタイヤは小さいタイヤになっています。そのため、曲がるときのハンドル操作は最小限にとどめましょう。ハンドルを回しすぎると、思った以上に車体が曲がってしまうのです。感覚がつかめるまでは、どのくらい回せば良いのか小刻みに回しながら操作します。
最初は上手にできなくてもだんだん身体が覚えてきます。正確なハンドル操作をすれば、工場内を安心して走行できます。この二つのポイントを意識するだけで上達するスピードが変わるはずです。
リフトのコツ
リフトのコツは、フォークを水平もしくはやや前倒しにすることです。そして、荷物の上げ降ろしは速度を落としてから行います。
また、荷物の上げ降ろし作業は二段階で行います。積み上げられている荷物の上にあるものを持ち上げる場合、まずは少し手前に動かします。そしてパレットにフォークを完全に指し直してから持ち上げます。反対に、荷物の上に乗せるときは一旦軽く置いてから中心に置き直すようにすると上手く置くことができます。一回で完璧に荷物を置くのではなく、段階に分けて作業を行いましょう。
意識することから
ハンドル操作やタイヤの回り方など、フォークリフトの動きを理解することがコツをつかむポイントです。コツをつかめれば作業の効率と正確さを上げることができます。フォークリフトの運転を始めたばかりの人はハンドルとリフトの操作を意識することから始め、実践で試してみましょう。
制作:工場タイムズ編集部