普段みなさんは、野菜やお肉などの材料を切ったり焼いたりして料理をつくっていますよね。それと同じで、工場では材料の加工をして一つの製品をつくっています。
加工と言っても、切断や穴あけ、削る作業、磨く作業などいろいろな方法があります。そのような加工の工程では「NC旋盤」という機械が活躍しています。
今回は、そのNC旋盤に関する資格をご紹介します。
NC旋盤工って何をしているの?
NC旋盤では、金属などの材料を切断することができます。NC旋盤使って加工を行う人を「NC旋盤工」と呼びます。そもそも、金属加工には二つの方法があります。一つは、手動で機械を動かして加工する方法。もう一つは、プログラムに基づいて機械が自動で加工をしてくれる方法です。
NC旋盤工はプログラム技術を活用して加工をする仕事です。設計書を元に機械の動作をプログラム設定するところからはじめる仕事もあれば、設定されたプログラムどおりに機械が動いているのかを確認する仕事もあります。製品ができたら、一定の品質で生産できているか確かめるのも仕事の一つです。発注企業の希望と異なる点があれば、プログラム設計段階から見直すことがあります。
NC旋盤工が活躍しているのは、機械部品メーカーや金型メーカーまたはそういったメーカーに部品を売る企業です。モノづくりを行う企業の技術職を担当します。はじめは機械の使い方を習う研修を受ける場合がほとんどです。研修によって知識を身に付けた上で、現場職員に配属されます。その後一人で一つの機械を担当するようになります。
機械加工技能士とは?
NC旋盤工の仕事に役立つ資格に「機械加工技能士」があります。各都道府県の職業能力開発協会という組織が実施する資格です。この資格があれば金属加工の技術レベルを証明することができます。金属加工に使う旋盤はいくつか種類があるので、「機械加工技能士」には旋盤の種類ごとに試験があります。たくさんある旋盤の中から自分が扱う機械を選択して受験します。ここではいくつか機械の例を挙げてみます。
旋盤
旋盤とは刃物を使って材料を削る機械です。旋盤の知識を問う学科試験では、作業工程の立て方・工具の選び方・機械のプログラミングに関する知識が問われます。実技試験では、実際に部品を製作する課題があります。5時間45分の試験時間の中で、正しい操作ができるかどうか問われます。
マシニングセンタ
マシニングセンタとは、複数作業を一台でできる機械です。例えば、フライス削りや穴あけ、ねじ立てなどの作業をマシニングセンタで行うことができます。フライス削りとは、丸ノコのような歯の多い刃で金属を切断する作業のことです。必要な加工工程に合わせて、機械の動きをコンピュータで調整します。学科試験で問われるのは、機械のプログラミング知識や作業時間の見積もり方、トラブルが起こったときの対応などです。実技試験では、間違ったプログラムの判定や加工するモノの大きさの測定などが主な内容です。
フライス盤
フライス盤は切断する刃の回転を変えることで、いろいろな種類の切断ができる機械です。実技試験では時間内に指定されたとおりに部品を切断します。2級では3時間30分、1級では4時間となっています。部品の厚さや形状によって、フライス盤の刃の位置を調整する作業が大切になります。
そのほかにも「精密器具製作」や「工業彫刻」などの分野があります。精密器具製作は、時計やカメラ、オルゴールづくりなどに使われている技術。工業彫刻は金属製品に文字などの彫刻をする技術です。
NC旋盤工の資格とは?
機械加工技能士試験の中でNC旋盤工に関係するのは数値制御旋盤です。実務の経験がある人はこの試験を受けることができます。学科試験と実技試験に二つで技術力がチェックされます。資格には段階があります。それぞれどのようなレベルの技術が試されるのでしょうか。
●1級:ベテラン職人として活躍できる高度な技能●2級:2年程度の経験を積んだ中級技術者として認められる技能●3級:基礎的な操作をマスターした初級技能者が持つべき技能
働き始めて6か月ほど過ぎ仕事に慣れ始めたら、3級の取得が目指せます。現場に新人が入ってきた際に簡単な指導ができるようになれば2級の取得を考えましょう。そしてNC旋盤工としてキャリアを積み、最終的には1級の資格を目指す人が多いです。数年ごとに受験をすることで、自分の技術がどれくらい成長しているかを確認することができるでしょう。客観的な技術力の証明となる資格を持つと自分の作業への自信に繫がるでしょう。キャリアステップの目標として、取得計画を立ててみてはいかがでしょうか。
機械を操作する仕事
NC旋盤工はコンピュータでプログラミングした機械を操作する仕事です。技術が発展し、自動で材料の加工ができるようになっても人にしかできない仕事はたくさんあります。機械加工技能士は自分が扱う旋盤に合わせて試験を選べる資格です。仕事に慣れ始めたころに3級を受験して、どれくらい技術が成長したか測ってみてはいかがでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部