金属でできているフェンスや階段の手すりに、一度は触ったことがあるでしょう。 これらのモノには、金属製品を繋ぎ合わせる「溶接」と呼ばれる技術が使われています。
そんな溶接の技術を使う仕事とはどんな内容なのでしょうか。ここでは、仕事内容や向いている人の特徴をご紹介します。
溶接の基本!
溶接とは、二つ以上の材料を接合するために、熱を加えて溶かし繋げる接合方法です。
溶接の方法には、大きく分けると3つあります。
●融接…電気や火などの熱で溶かして接合をする方法。
●圧接…熱を加えず、圧力のみで接合をする方法。
●ろう接…材料には直接熱を加えず、柔らかい金属をのりのように利用して接合する方法
溶接技術を使う製品は、例えばイスやテーブル、ラックなどです。そのほかにも、自動車の部品や公園の遊具、金属アクセサリー、家具、時計、ハンガーなどに溶接技術が使われています。
溶接の仕事って?
溶接の仕事内容は、主に機械部品の製造・加工です。接合のスキルを高めれば、より大きい部品の作業をすることができます。金属を溶かすために高熱を与えて作業をするので、小さな製品を扱う場合は火傷がないよう注意します。
溶接の作業工程を大きく分けると、設計・加工・製造という段階があります。より一般的な溶接方法である「アーク溶接」を例に、実際の溶接作業の手順について見てみましょう。
鋼材を切る
まずは鋼材を切断します。鋼材とは金属の材料のこと。鉄板を切断するには専用のカッターである「メタルシートカッター」、鉄棒やパイプを切断するには電動ノコギリのような「チップソー切断機」を使います。このように、カットする鋼材に応じた工具を選びます。
鋼材を叩く
ハンマーを用いて鋼材を叩きます。鋼材の切断面を丸くしたり、デザインとして風合いを出したりします。より鋼材を叩きやすくするためには、熱してから叩くと効果的です。
曲げる
完成品の形を目指し、鋼材を曲げていきます。テコの原理を応用したり、熱したりして加工します。
つなげる
つなげる工程は、溶接作業で一番大切な工程です。融接や圧接、ろう接などの接合方法を製品の材料や接合部分によって使い分けます。
鋼材を磨く
研磨するための工具を用いて表面を磨き削ります。磨ききれず残ったとげは、金属のブラシと先の尖ったハンマーできれいに仕上げます。
塗装する
長くきれいに保つためにサビ止めを塗ります。ペンキによって塗装し、自分が好きな色に仕上げるのも一つの手段です。
このほかにも、機械を使って半自動で溶接を行う「MIG溶接」や材料に電気を流し発生した熱で溶接を行う「スポット溶接」などがあります。溶接の種類は豊富で、製品に合わせた方法を使います。そのため、技術の幅が広がるとできる仕事が増え言えるでしょう。
溶接に向いている人
溶接のお仕事をするにあたって、どのような性格や素質のある人が向いているのでしょうか。
安全に配慮できる
溶接の仕事は、高い熱を帯びた部品や鉄板に触れます。作業に集中でき、安全に配慮しながら作業を進めることができると、良い製品をつくることができるでしょう。また、図面に沿った接合作業を行います。指示を確認しながらの作業になるので、慎重に工程をクリアできる人に向いています。DIYなどで説明書を読みながら慎重に作業を進める人は、溶接のお仕事に向いているのではないでしょうか。
細かい作業が好きな人
体力に自信がない人でも、溶接のお仕事には向いています。小さな部品や複雑な接合を行う場合があるので、プラモデルやパズルのような細かい作業が好きな人にも向いていると言えます。
スキルをあげるために我慢強く取り組める
上手な溶接の作業をするためには、経験を積むことが大切です。経験を積んだからこそ身に付く、微妙な感覚があります。例えば、アーク溶接を上手にやるためには、適切な力具合と温度を保つことが必要です。はじめは上手くいかなくても、前向きに技術の取得に取り組める人には向いています。
人の手作業がなくならない溶接
溶接の仕事の中には機械が担う工程がありますが、現在でも手作業に頼る作業が多いお仕事です。金属製品は私たちの身の回りにたくさんあるので、自分がつくった製品を街中で見かけるなんてことも。最近では工業製品だけでなく、溶接技術でつくったインテリアなどもネットで販売されています。気になる人はWebサイトで確認をしてみましょう。溶接がより身近な技術として感じることができるかもしれません。
制作:工場タイムズ編集部