モノづくりをする上で欠かせない作業の中の一つに、「バリ取り」という作業があります。プラモデルをつくったことがあれば、やったことのある作業 でしょう。
今回は、そのバリ取りのコツついてご紹介します。そもそも「バリ」ってなに? なぜ「バリ」を取らないといけないの?バリ取りの基礎から解説します。
そもそもバリ取りの役割は?
バリ取りの「バリ」とは「でっぱり」のこと。材料を切ったり、削ったりしたときに材料の角にできる不要なでっぱり部分です。パっと見てわかるバリもあれば、手で触ってみないとわからない程度の、小さなバリもあります。このようなバリを手作業や機械で取り除く作業のことを「バリ取り」といいます。
バリ取りの 役割は
・製品の精度を上げること
・塗装前に表面をなめらかに整えること
・とがったバリなどによるケガの防止
・組立てる場合、ほかの部品への傷防止
・見た目がキレイになる
・チリやホコリがたまらないようにするなどがあげられます。
例えば、趣味でアクセサリーづくりをする際には、テグスなどの紐を通すために材料に穴をあけるでしょう。市販されているアクセサリー専用の材料であれば、はじめから穴があいていることもあります。いずれにせよ、穴をあけるときにできたバリが、穴の周りに残っている場合があります。バリをしっかりと取り除くことで、テグスが通りやすくなり見た目もキレイなアクセサリーづくりができます。
やすりで削るだけじゃない!
バリはプラスチックや金属、ゴムにも発生してきます。そのため、それぞれの素材に合わせたバリ取り方法を知っておきましょう。たくさんのモノづくりをしている工場では、いろいろな方法でバリ取り加工がおこなわれています。
手作業のバリ取り
金属板のバリを取る場合は、やすりを使って削るのが基本です。穴をあけたあとにできるバリは、穴の直径よりも大きいドリルで削り取ります。手作業なので、バリが飛び散る場合には注意しましょう。
機械を使ったバリ取り
大量のバリ取り作業が発生する工場では、機械を導入しています。一度に、たくさんのバリ取りができるようになります。ローラータイプやボールでバリを潰すタイプ。洗車機のようなブラシタイプなどがあります。
化学加工によるバリ取り
薬品を使ってバリを溶かす方法です。複雑な形状の部品や、加工しにくい小さな部品のバリを取る場合に使われます。この方法は、素材の性質を把握しておくことが大切です。細かなバリを取ることができます。
電気加工によるバリ取り
電気によってバリを溶かす方法です。自動車部品やエンジン部品などのバリ取りに使われることが多いです。手の届かない部分のバリも取れ、他の方法に比べて時間もかかりません。
熱加工によるバリ取り
バリを加熱処理する方法です。火やレーザーの熱でバリを取り除きます。さまざまな形のモノのバリ取りに使えます。
砥粒(とりゅう)加工によるバリ取り
研磨剤を吹きつけて、バリを取る方法があります。砥粒とは、粉末状の物質のこと。表面の粗さが厳密に決まっていない場合、この方法を使うことがあります。
バリ取り後はきちんと確認
バリ取りをしたあとは、バリが残っていないかどうかもう一度確認することが大切です。ここでバリがないことを確認できていれば、その後の工程をスムースに終えることができます。工場でつくられた製品であれば、出荷前に必ず検品の作業があります。
バリ取りをしたらこのようなポイントに気を付けて最終チェックをしましょう。
・ちゃんとバリが取れているか
・加工後のサイズが正確かどうか
・加工後の組立てに問題がないか
・仕様書どおりに仕上がっているかどうか
プラモデルをつくる場合であれば、フレームからパーツを切り離したあと、パーツに残ったバリを取り除きます。キレイな見た目にするために、外観に残っているバリを取り除くことも大切ですが、パーツとパーツが組み合わさる部分に残っているバリを見落とさないようにしましょう。接着面なのでプラモデルの完成後には見えなくなる部分ではありますが、ここにバリを残さないことでパーツ同士の組み合わせが悪くなることを防ぎ、最終的に隙間のないキレイな仕上がりになります。組立てや塗装などのあとの工程を楽にするためにも、この段階でバリを残さないことが大切です。
まとめ
バリ取りを上手にこなすためには、いくつかのポイントがあります。一つは素材に合わせたバリ取り方法を選択すること。もう一つは、最終チェックを欠かさないこと。また、一般的な家庭で、バリ取りをすることもあるでしょう。DIYやアクセサリーづくり、プラモデルづくりなど。もちろん、この場合でもバリ取りは大切な工程。やすり以外にも、スクレーパーやバリ取りナイフといった道具があります。やすりにも種類がいろいろ。素材に合った道具や方法を選択して、上手なバリ取りができるようになりましょう。
制作:工場タイムズ編集部