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国家資格である危険物取扱者の資格は簡単に取れる⁉ 資格取得のメリットと注意点について

2015/07/23公開 / 2023/09/14更新

理科の授業の実験で使うアルコールや、車の燃料であるガソリンなどは危険物と呼ばれます。

取り扱い方によっては事故につながる恐れがあるため、たくさんの量の危険物を扱うためには「危険物取扱者」という資格が必要です。

今回はそんな危険物取扱者についてご紹介します。

国家資格 危険物取扱者ってなに?

危険物取扱者とは、法律で定められている物質を取り扱う際に必要な資格の名称、または、その資格を持っている人を指します。消防法という法律で定められている国家資格で、危険物にはアルコールや薬品などが含まれます。

危険物取扱者を必要とする職種は多数あり、一般的な施設では、工場やガソリンスタンドが挙げられます。工場では化学薬品を使うことがあり、ガソリンスタンドでは大量の燃料を取り扱っています。ほかにも、ガソリンをつくっている石油貯蔵所など、危険物を移送する場合にも必要な資格です。

また危険物保安監督者へのキャリアアップをする場合にも、この資格が必要になります。危険物保安監督者とは、危険物を取り扱う場所のリーダー的な存在です。複数人で危険物を取り扱う場合に、全体を監督する役割を担います。

甲種・乙種・丙種にわかれる危険物取扱者

一般的な資格には「級」があり、そのような形式を「級位制」といいます。また、その級によって、難易度が変わります。有名な漢字検定であれば、1級、準1級、2級といった具合です。危険物取扱者も同じく級位制によってレベルが分けられています。しかし、危険物取扱者はレベルごとの呼び方が少し特殊です。

この資格では、各レベルを「甲種」「乙種」「丙種(へいしゅ)」の3つに分けられています。ちなみに、甲種が一番難易度の高いレベルです。難易度が高いとは、どういうことかというと、甲種はすべての危険物を扱うことができます。

危険物は、その特性により6つに分類されており、甲種はその6つすべてを扱うことが認められています。そして、その6種類の中から、1つだけ扱えるのが乙種になります。また、丙種になると、より限定的な危険物の取扱いのみ許可されています。

免状の種類 取り扱える危険物
甲種 すべての種類
乙種 第1類 酸化性固体 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類など
第2類 可燃性固体 硫化リン、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウムなど
第3類 自然発火性物質および禁水性物質 カリウム、アルキルアルミニウム、黄りんなど
第4類 引火性液体 ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類など
第5類 自己反応性物 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物など
第6類 酸化性液体 過塩素酸、過酸化水素、硝酸など
丙種 引火性液体(乙種第4類危険物のうち、特定の危険物のみ) ガソリン、灯油、軽油、重油など

危険物取扱者は上記のような危険物の取り扱いと定期点検ができるほか、甲種と乙種の危険物取扱者は無資格者への立ち会い業務が認められています。危険物取扱者の資格を取得していない人でも、甲種か乙種の免状を持つ者が立ち合えば、指定の危険物を取り扱ったり、定期点検を実施することができます。

また、先述にあった通り、甲種と乙種の危険物取扱者は保安の監督ができます。危険物を取り扱う製造所や屋外タンク貯蔵所など、危険物保安監督者を選任しなければならない施設では、実務経験が6ヶ月以上ある甲種や乙種の危険物取扱者の中から、保安監督や管理業務に選ばれることになります。(参照元:一般社団法人 消防試験研究センター

国家資格危険物取扱者の資格は何に役立つ?2つのメリット

危険物取扱者試験は合格率が高く、取得しやすい資格です。そのため、ほかの国家資格に比べて価値を低く感じてしまう人がいるかもしれませんが、資格取得のメリットは小さなものではありません。危険物取扱者の資格取得によって、具体的にどのような利点が得られるのか、2つのメリットを解説していきます。

危険物取扱者の資格取得メリット① 就職に有利

先述の通り、危険物取扱者が活きてくる仕事は多数あります。ガソリンスタンドや化学工場をはじめ、貯蔵タンクやタンクローリーなど、一定数以上の危険物を取り扱う業種では危険物取扱者が必要です。就職活動の際、危険物取扱者の国家資格が必須の仕事も視野に入れることができ、職業選択の幅が広がります。

危険物を取り扱う企業の場合、無資格で応募できる求人であっても、危険物取扱者の資格取得者は選考で有利に働きます。危険物に対して知識があるという点で、採用担当者は仕事を教えたり任せる上で安心感を持つことができ、採用後のイメージが湧きやすくなります。

危険物取扱者の資格取得メリット② キャリアアップにつながる

こちらも先述の通りですが、免状の種類によっては無資格者への立ち合い業務や保安管理業務を任されることがあります。危険物取扱者の資格があることで、責任ある立場の仕事を担える人材として評価され、キャリアアップにつながってきます。

また、収入面でもプラスの効果が見込めます。責任者としてステップアップしていく中での収入増はもちろん、企業によっては資格手当として、危険物取扱者の有資格者は給料が高く設定されていることもあるようです。

簡単さよりもどの危険物を扱うかが大事

まずは乙種・丙種の取得から検討してみるのがオススメです。なぜなら、甲種にはいくつかの受験条件のうち、1つを満たしておく必要があるからです 。例えば、「乙種に4種類以上合格していること」や「大学などで化学に関する授業項目を15単位以上修得していること」などの要件があります。 ほかにも乙種を取得してから一定期間の実務経験が必要です。

では、もし仮に乙種を取るとしたら、どの危険物の種類が取得しやすいのでしょうか。先ほどの説明にもあった通り、危険物は第1類から第6類までの6つに分類されています。その中でもより一般的なものが、乙種第4類です。液体引火物、つまりガソリンや軽油、灯油が第4類に含まれます。しかし、全6種類の中で、どれも難易度にそれほど大きな差はないのが事実です。そのため、試験の難易度で、種類を選ぶのではなく、まず自分が取り扱う可能性のある危険物はなにかを見極めることが大切です。

もちろん、国家資格なので、ある程度の勉強が必要です。この資格は受験者数が多いので、多くの情報や教材が提供されており、それらを活用すれば必要な知識は身に付きます。そういった意味では、取得しやすい資格ともいえます。

取得を考えたら、 すぐに申し込み期間をチェック!

資格をとることを決めたら、早めに試験日程と場所を確認しましょう。一般的な試験とは違い、受付期間が1週間ほどになっているため、申し込み期間を逃さないように注意が必要です。

無事に申込みを済ませたら、勉強時間の確保に取り掛かりましょう。日常生活には、なじみのない分野や単語が出てくるので、はじめは不安になる人がいるかもしれませんが、そこまで心配する必要はありません。そもそも、はじめは誰でも分からないことだらけです。

また、先述の通り、危険物取扱者に関する情報はたくさんあります。参考書などの教材や、体験記を載せたブログなども活用しながら、勉強時間を確保して、焦らずじっくり取り組むことが重要です。

試験分野は大きく分けて「法令」「化学」「性質」の3分野に分かれます。これら3つの分野それぞれで、基準の点数をクリアすることが求められます。そのため、どこかに偏った勉強方法ではなく、それぞれの分野をバランス良く勉強するように気を付けましょう。

まとめ

危険物取扱者は国家資格ですが、合格率は高い傾向にあります。企業によっては、資格手当の支給対象になる国家資格なので、挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。日頃から危険物を取り扱う環境にいる人や、そういった仕事に興味がある人は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

制作:工場タイムズ編集部

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