スマートフォンや自動車、家電や医療機器まで、私たちの生活に欠かせない存在となった“半導体”。この精密なデバイスを作り上げるには、驚くほど多くの工程が関わっており、そのひとつが「CMP研磨剤のラップ巻き」です。
この工程は目立つ作業ではありませんが、製品の品質管理を支える重要な役割を担っています。本記事では、「CMP研磨剤ってそもそも何?」「ラップ巻きってどんな仕事?」という疑問に答えながら、現場でのリアルな働き方を紹介します。
CMP研磨剤とは?
CMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨剤とは、半導体ウエハの表面をナノレベルで平らに仕上げるための研磨液のこと。化学反応と機械的研磨を組み合わせたこのプロセスは、半導体製造の中でも表面処理の精度を決定づける重要な工程です。
研磨剤は「スラリー」と呼ばれる液体で、以下のような成分から構成されます。
- 酸化剤や界面活性剤などの化学成分:ウエハ表面を化学的に変化させ、柔らかくします
- ナノサイズの研磨粒子:物理的に表面を削る役割(粒径は50〜250ナノメートル)
- 酸性や塩基性の溶液:成分を安定的に保つための溶媒
これらを組み合わせることで、非常に高い平坦性が求められるウエハの表面加工を可能にしています。
ラップ巻き作業の具体的な内容
CMP研磨剤が製造される現場では、出荷前の最終工程として「ラップ巻き作業」が行われます。
作業内容は大きく分けて3ステップです。
- 研磨剤ボトルの準備
研磨剤は約10kgのボトルに詰められ、出荷用パレットに積み込まれます。重量があるため、バランスよく積むスキルも必要です。 - ラップ巻きとラベル管理
ボトルをしっかり固定するためにストレッチフィルムを巻き、PCで出力したラベルを貼付します。ラベルの間違いがあると誤配送につながるため、高い注意力が求められます。 - フォークリフトによる運搬
パレットに積まれた研磨剤を、フォークリフトで指定の保管場所や出荷トラックまで運搬します。カウンターフォークの操作資格があると、作業の幅も広がります。
現場での働き方:どんな環境で働くのか?
ラップ巻き作業は、比較的安定した作業環境で行われます。
- 立ち作業と座り作業のバランスがあり、体に過度な負担がかからない
- 作業は一人でもグループでも対応でき、チームワークも重視される
- 手順が決まっており、コツコツ正確にこなすことが求められる作業
未経験でも始めやすい反面、「丁寧さ」「ラベルの読み取り能力」「軽度の体力」が問われる業務でもあります。
なぜこの仕事が重要なのか?
CMP研磨剤のラップ巻きは、「ただ梱包するだけ」の作業ではありません。
誤出荷を防ぎ、納期を守り、製品の信頼性を支えるという、製造工程の中でも非常に重要なポジションです。
研磨剤は特殊な化学液体でもあるため、取扱いには安全性やルールの遵守も求められます。つまり、現場の一人ひとりの作業が、半導体製品の品質と安定供給の要となっているのです。
まとめ:半導体製造の“見えない支柱”として働く
CMP研磨剤のラップ巻き作業は、直接製品をつくるわけではないものの、工程全体の信頼性を支える仕事です。繰り返し作業の中に、正確性や安全性、現場での連携が求められるこの仕事は、ものづくりに真摯に向き合う姿勢を身につけるには最適な現場とも言えるでしょう。
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