どんなモノでも、時間がたつにつれて古くなっていきます。しかし日頃からきちんと点検や修理を行えば、長く使うことができます。
同じように、工場の機械や設備は定期的に点検・修理が行われ、長く安全に使い続けられる工夫がされています。設備保全はそのような仕事を行います。
今回はそんな設備保全の仕事内容についてご紹介します。
設備保全とは?
「設備保全」とはあまり聞き慣れない言葉かもしれません。設備保全の仕事は、工場の機械を安全に動かすために、点検や修理を行う仕事です。工場にとって生産に使う機械は一番重要。これが壊れると生産性が落ちてしまい、お客様に迷惑がかかったり会社の損失になります。そのため、機械が壊れないようにしっかり「保全」します。
設備保全の仕事には大きく分けて二つの作業があります。
事後保全
調子がおかしくなった機械を調べ、その原因を突き止めて故障を直すのが「事後保全」です。「故障」には2種類あり、それぞれ「機能停止型故障」「機能低下型故障」と呼ばれています。
機能停止型故障
機械が止まってしまう故障で、突発的に起こります。このタイプの故障は、事前の点検や調査では発見しにくいのが特徴です。
機能低下型故障
機械の動きが遅くなったり、性能が悪くなったりする故障です。こちらの故障は「機能停止型故障」とは違い、部品が劣化した状況などを事前に調べることで、ある程度予測できます。もし部品が劣化していれば、機能が低下する前に新しい部品と交換します。
予防保全
工場の機械を安定して動かすために、点検・修理・部品交換などを計画的に行うのが「予防保全」です。部品交換の目安には、基準が二つあります。「時間基準保全」と「状態基準保全」です。
時間基準保全
実際にどれくらい部品が劣化しているかということではなく、一定の期間に部品を使ったら故障していなくても取り換えることです。部品が完全に劣化する前に交換するため、機械が故障しにくくなるという長所があります。
状態基準保全
実際に部品がどれくらい劣化しているのかを調べて、交換が必要なくらい劣化している部品のみ取り換えることです。時間基準保全に比べて機械が故障するリスクは高くなりますが、交換する必要のない部品まで取り換える手間が省けます。その分、時間的にもコスト的にも負担が小さくて済みます。
実際の工場では、「事後保全」と「予防保全」を組み合わせて、「機能停止型」「機能低下型」両方の故障に対処しています。部品を交換するタイミングも、部品の重要度や取り換えやすさ、部品そのものの価格を考えて、「時間基準」と「状態基準」を組み合わせます。
保守・メンテナンスとは違うの?
保全に似た言葉に「保守」という仕事があります。求人情報も「設備保全」「機械保守」という言葉がよく使われます。
この「保全」と「保守」は工場での作業内容に大きな違いはありません。どちらも機械やシステムの検査・管理・修理を担当します。ただし「保全」は機械が壊れないように普段から点検しておくという意味が強く、「保守」は機械が壊れたときに修理して元の状態に戻すことと考えると良いでしょう。
同じような言葉に「メンテナンス」があります。仕事内容はこれもほぼ同じで、定期的に機械やシステムの点検、修理を行うことです。通常はあらかじめ決まった項目についてメンテナンスが行われます。
求人情報は「設備保全」「機械保守」「機械メンテナンス」のほか、「マシーンキーパー」などの名前が使われます。
設備保全のやりがいは
設備保全や機械保守は、工場を動かして製品を生産するために欠かせない仕事です。では、どんなやりがいがあるでしょうか。
故障の原因を突き止め、機械を直すことができる
故障したり調子が悪い機械を調べ、原因を探り当てて直したときには達成感を味わえます。先輩から指導を受けながら少しずつ経験を積んでいけば、早く正確に故障の原因を突き止められるようになるでしょう。
工場を守る「機械の番人」として誇りを持てる
どんな工場でも機械が動かなければ、仕事になりません。設備保全の仕事は、その意味でとても重要な仕事と言えます。特に点検やメンテナンスがしっかりなされていれば、機械の調子が悪くなることもなく、製造作業を支えることができます。大きなトラブルがなく工場の仕事がスムーズに進むのは、設備保全を行う人が誇りに感じる点です。
コストを抑えた修理改善案で会社に貢献する
工場を運営するにあたって、できるだけコストを削減することは大切な仕事です。設備保全によって故障を減らし、修理費を下げられれば、それだけ会社に貢献ができます。教えられたとおりの作業をこなせるようになったら、自分なりに工夫した修理改善案を提案してみるのも良いでしょう。
機械好きにはたまらない仕事
工場が安全で正しく動くように設備や機械を点検し、故障や不調があれば修理をする「設備保全」の仕事。「機械保全技能士」「設備管理士」といった資格も取得できるので、やりがいがあります。「機械の番人」とも言うべき役割を果たしますから、機械好きの人にはたまらない仕事ですね。
制作:工場タイムズ編集部