水を熱すると沸騰してお湯になり、最終的には蒸気になりますよね。このような蒸気や温水は一般家庭や工場で機械を動かす力として活用されています。
蒸気や温水の力で機械を動かす装置をボイラーと言います。ここではボイラーの基本的な仕組みやそれに携わる人の仕事内容について紹介しましょう。
ボイラーとは
ボイラーとは、蒸気や温水をつくるための装置です。ボイラーは次の三つに当てはまるものとされています。「火気や電気もしくは高温ガスを熱源とする」「水もしくはほかの液体を加熱することで温水や蒸気をつくるものである」「蒸気や温水をほかに供給できる装置である」ことです。
どのような用途で利用される?
ボイラーを日頃から意識している人は多くないでしょう。しかし、ボイラーと私たちの生活は密接に関係しています。例えば私たちが毎日入るお風呂の給湯システムには、ボイラーが使われています。ほかにも、電力会社でつくる電気の一部はボイラーによってつくられています。ボイラーは日常生活において欠かせない存在なのです。
またそのほかの施設でもいろいろな用途で利用されています。工場や病院、ホテルなどの大型建物の中にはボイラーによって動いている機械があります。蒸留や加熱、滅菌を行う設備などをボイラーが動かします。このような大型建物には、ボイラーの設備のためのボイラー室を設置している場合がほとんどです。
ボイラーの仕組み
ボイラーには温水や蒸気をつくるシステムがあります。ボイラーの種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
炉筒煙管ボイラー(ろとうえんかんぼいらー)
ドラム状のボイラーです。ドラムの中に入った水は高熱のガスに接触することで沸騰します。炉筒煙管ボイラーはこうして発生した蒸気を利用するシステムです。水質管理が簡単というメリットがあります。
水管ボイラー
学校の理科の実験で使ったフラスコのようなものが上下2つに設置されたボイラーです。このフラスコのようなドラムの間はいくつかの管で繋がれています。この管に熱を加えることで蒸気を発生させます。メンテナンスが簡単で耐久性があります。
貫流ボイラー
水管ボイラーの一種です。細い管に給水ポンプを使って水を押し出し加熱します。水管ボイラーと比較すると狭いスペースに設置することができます。また、水管ボイラーよりも少ない熱で蒸気を発生させることができます。
真空式温水ヒーター
容器を真空に近い状態にして水を加熱し温水をつくるシステムです。真空状態だと、水は100度以下でも沸騰できます。構造がシンプルなためメンテナンスが簡単です。
ボイラーの取り扱いにはプロがいる
ボイラーを取り扱う資格を持ったプロはいろいろいます。ここでは三種類の資格を紹介します。
ボイラー技士
ボイラー技士とはボイラーを安全に運転させるための専門家です。ビル関連の会社や大型工場の建設を請け負っている会社、工場、ホテル、病院、入浴施設などいろいろなところで活躍しています。ボイラーの監視や調整、検査などが主な仕事です。
ボイラー技士の資格は特級と1級・2級資格があり、資格によって取り扱えるボイラーの大きさが変わります。特級はどのようなボイラーでも取り扱えます。1級は500平方メートル、2級は25平方メートル未満のボイラーを取り扱える資格です。
また2級資格の前に、初心者の方に向いている講習としてボイラー取扱技能講習やボイラー取扱特別教育があります。この講習を修了することで、小規模のボイラーや小型のボイラーを取り扱うことができます。
ボイラー整備士
ボイラーの整備ができる資格です。定期的にボイラーの使用を停止して、ボイラーや付属設備を清掃し、点検、部品の交換などを行います。
ボイラー溶接士
ボイラーに関する溶接作業ができる資格です。ボイラーをつくるときや、施設に合わせて改造・修理をする際の溶接を行います。資格には普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士の二つの種類があります。普通ボイラー溶接士は溶接部の厚さが25 mm以下のボイラーの溶接が、特別ボイラー溶接士は全ボイラーの溶接ができます。普通ボイラー溶接士免許を取得後、1年の作業を経験すれば、特別ボイラー溶接士を受験することができます。
関連資格を取得する
ボイラー技士と一緒に取得すると良い資格に「危険物取扱者乙類第4種」があります。危険物取扱者は危険物の取り扱いができるようになる資格です。危険物にはガソリンや灯油など、ボイラーを加熱するときに必要な燃料が含まれています。
生活のエネルギーをつくるボイラー
蒸気や温水は私たちの生活に欠かすことのできない大切なエネルギーです。蒸気や温水を発生させるボイラーは日常生活を支える役割と言えるでしょう。また、そのようなボイラーを取り扱うプロは役割を分けてボイラーを動かしています。
制作:工場タイムズ編集部