世の会社の中には従業員向けに「社員寮」を設けている会社があることをご存知でしょうか。これから新たに仕事を始めようと考えている方の中には、新たな住居を探す手間を省くため、こういった社員寮の利用を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
社員寮は働く社員にとってさまざまなメリットがありますが、その一方でデメリットがないわけでもありません。今回はそんな社員寮の家賃の金額や、メリットとデメリットをご紹介しますので、利用を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
社員寮ってどんなもの?
そもそも社員寮とは「会社が社員のために用意した寮」のことを指し、具体的には「独身寮」「単身赴任寮」「家族寮」などがあります。
家族寮は、社員とその家族が住むことを前提としていますが、その他ほとんどの社員寮は単身で入居することを前提としているため、社員寮で提供される部屋の多くは単身者向けのものとなっています。
また、社員寮はあくまでも寮の形態をとっているため、社宅とは若干異なります。
社員寮の家賃はどのくらい?
社員寮の家賃は寮の設備や広さなどにもとづいて決められることから、企業によって具体的な金額は異なります。しかし、総じて比較的安価な金額設定をしているところが多く、一般的な賃貸マンション・アパートの家賃よりも安くなっています。
参考までに、一般的な会社が所有する独身寮の家賃は1万1,302円が平均金額となっており、家賃としては非常に安いことが分かります。(出典元:「独身寮・社宅に関する実態調査」一般財団法人労務行政研究所)
一方、最近では一般的な社員寮ではなく、借り上げ社宅を用意し社員に住居を提供している企業も多いようです。
借り上げ社宅は、決められた場所に住むのではなく、会社が用意したいくつかの社宅の中から好きなところに住むことができるため、社員寮に比べると比較的選択の自由度が高いといえます。
また、借り上げ住宅の家賃は社員の一部負担、もしくは全額会社負担となっていることが多く、具体的な金額は建物の大きさや設備の充実ぶりによって異なるものの、一般的な相場よりは安いことがほとんどとなっています。
参考までに、上述した一般財団法人労務行政研究所の調査結果では、借り上げ住宅の家賃の平均金額は1万2,181円となっており、社員寮よりも若干安い水準となっています。
以上のことから、社員寮を利用することを検討されている方は、社員寮だけでなく借り上げ住宅も選択肢のひとつとして考えてみるのがよいでしょう。
社員寮の間取りや周囲の環境チェックポイント
社員寮へ入ることを検討しているなら、内見の際に間取りや周囲の環境もチェックしておきましょう。事前に確認しておくことで、入寮後に後悔したり不便に感じたりする心配をなくせますよ。
家具を置いても十分な広さがあるか
社員寮を選ぶ時は、内見時に家具を置いても十分な広さがあるかをチェックしましょう。基本的に、内見をする時は家具などが置かれていないため、部屋が広く見えます。しかし、実際に家具を置いてみると、思っていたより狭いと感じることもあるのです。
どの家具をどこに置くかをある程度考えておき、それを踏まえて内見するとよいでしょう。また、社員寮は押入れなどの収納スペースがないことも多いので、何をどこに収納するかも考えておくのがおすすめです。事前に、置きたい家具の寸法を測り、内見時にもコンベックスやメジャーを持参して測りながら行うと、さらに理想に近いレイアウトにできます。
設備の位置や問題がないかをチェック
設備の位置や問題がないかを確認しておくのも、社員寮の内見時のチェックポイントの1つです。万が一、設備に問題があると快適に過ごすことはできません。また、設備の位置によっては、生活しにくいと感じることが出てくる可能性があります。
特にチェックする場所としては、以下のとおりです。
- 窓やドア、インターホン、照明に不具合がないか
- 部屋が傾いていないか
- カビや汚れはないか
- トイレやシャワーの水圧
- コンセントの位置
- エアコンの位置(風が直接当たる位置だと体調を崩しやすいため)
セキュリティは万全か
社員寮を選ぶ時は、セキュリティが万全かどうかもチェックするのがおすすめです。たとえば、管理人の有無、管理人がいる場合は24時間常駐しているのか、どんな防犯対策がされているかなどをチェックしておきましょう。
特に女性にとっては、セキュリティ面のチェックは必須です。女性専用で男性の立ち入りが禁止だったり、オートロックや監視カメラ、モニター付きインターホンがあったりすると、安心して利用できるでしょう。
社員寮周辺にどんな店や公共交通機関があるか
社員寮の間取りや設備だけではなく、寮の周辺にどんな店があるかもチェックするのがおすすめです。たとえば、コンビニやスーパー、銀行、病院、飲食店などです。その店の場所やそこに行くまでの時間も調べておくとよいでしょう。
社員寮から工場を行き来する際は、会社で準備した送迎バスを利用できることがあります。しかし、出勤・退勤の時間によっては送迎バスを利用できない可能性があるので、社員寮周辺に公共交通機関があるかも確認しましょう。公共交通機関があれば、休日に遊びに行く時にも役立ちますよ。
社員寮の食費はどれくらい?食堂はどんな感じ?
社員寮には、食堂があることも多いですが、社員寮の食堂はどんな感じなのでしょうか。また、社員寮の食堂だと安い料金で食事できるともいわれていますが、実際にかかる食費はどれくらいなのでしょうか。
社員寮の食堂の特徴
まずは、社員寮の食堂の特徴についてご紹介します。
◆他の寮生とコミュニケーションをとれる
社員寮の食堂は、1度にたくさんの寮生が利用できるようになっています。そのため、普段一緒に仕事をしていない寮生とコミュニケーションをとれる場でもあります。会社がある都道府県以外から入社して入寮した人にとっては、社員寮の食堂は気が合う友人を作る機会にもなるでしょう。
◆栄養バランスのとれた食事ができる
社員寮の食堂では、栄養バランスのとれた食事ができるという特徴もあります。会社や工場にある食堂では、従業員の労働力の維持や向上、そして健康促進のために、栄養バランスのとれたメニューを考えて提供していることがほとんどです。
従業員が生活する社員寮でも、食堂がある場合は、健康に配慮したメニューが提供されているのです。
◆仕事前後に食事を作る手間を省ける
社員寮に食堂があると、仕事前後に食事を作る手間を省けるというメリットがあります。起きたらすぐに温かいご飯を食べられて、仕事が終わって疲れている時も、自炊せずに美味しいご飯を食べられるのです。
ただし、寮によっては、朝や夜のみ利用できるという食堂もあります。交替制勤務で日中に食事をする勤務帯の場合は利用できない可能性もあるので、入寮前に利用可能な時間帯も確認しておきましょう。
社員寮の食費はどれくらいかかる?
社員寮に食堂がある場合は、食費を抑えられるのが魅力です。実際にどれくらいの食費がかかるかというと、1食あたり500円〜1000円ほどです。安いところでは、1食300円前後で食べられることもあります。
毎日、1日3食を寮や会社、工場の食堂で食べることを考えると、1ヶ月あたりの食費は少し高く感じるかもしれません。しかし、大手の場合は、食堂の利用有無に関わらず、出勤日数に応じて食事補助のような手当てが支給されることもあります。そのため、総合的に考えると、1ヶ月あたりの食費は安くなることが多いのです。
どんなメニューがある?
社員寮の食堂があれば、帰宅してすぐに手間をかけず、温かいご飯を食べられるうえに、食費を抑えられるのは魅力です。しかし、食費が安いということは、栄養バランスはとれていても、たいしたメニューではないかもと心配になる人もいるのではないでしょうか。
しかし、社員寮の食堂で提供されるメニューは、定食や麺類、カレーライスなど、複数のメニューが用意されていることがほとんどです。また、メニューは基本的に日替わりなので、毎日利用しても飽きる心配もないでしょう。寮によっては、ご飯や味噌汁、小鉢などがおかわり自由なことも多いので、寮の食事だけでは足りないということもなく、お腹いっぱい食べられます。
社員寮に入居するメリット
続いては社員寮を利用するメリットを見ていきましょう。具体的なものとしては以下の6点が挙げられます。
家賃が安い
先に説明した通り、社員寮の家賃は借り上げ住宅に比べると若干高くはなっているものの、一般的な賃貸住宅の家賃に比べれば(会社からの家賃補助が出るため)相場より安い家賃設定となっています。
また社員寮には風呂・トイレをはじめ基本的な家具・家電がついていることが多いため、それらを考慮すれば家賃は同程度の賃貸に比べ、圧倒的に安いといえます。
これらのことから、「家賃を節約できる」という点は社員寮を利用することの最大のメリットの一つだといえます。
水道代や光熱費を会社が負担してくれることもある
社員寮に住むと水道代や光熱費は会社側が負担してくれることが多いです。また場合によっては家賃に水道代と光熱費が含まれていることもあり、これらの出費を抑えられるという点もまた、社員寮に入居するメリットといえるでしょう。
社員同士での交流が深まる
社員寮では一人ひとりに部屋が割り当てられることが多いものの、同じ施設内で他の社員と共に生活を送ることにもなります。そのため、他の社員と一緒に食堂で食事をするなど社員同士の交流を深めることができるため、職場での良好な人間関係を築きやすいという点も社員寮を利用するメリットといえます。
食堂があることが多い
社員寮には食堂がついていることが多く、自炊をする手間が省けるという点でもメリットがあります。また、会社によっては食堂の利用者に食事補助を支給していることもあり、食費を節約することもできます。ただし、食堂がついていない社員寮もあるため、その有無は入寮前に必ず確認しておくようにしましょう。
無料で駐車場を利用できるところが多い
一般的な賃貸に住みながら駐車場を借りるためには、家賃とは別に駐車場代として毎月数千円から数万円のお金を支払わなければなりません。社員寮には無料で利用できる駐車場がついていることも多く、車で通勤したいという方には大きなメリットがあります。
会社から近い場所にあることが多い
社員寮は会社から近い場所にあることも多く、職場へは徒歩数分で通うことができるというところも少なくありません。よって、通勤・帰宅に無駄な時間を取られないという点も社員寮に住むメリットとなります。
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社員寮に入居するデメリットは?
社員寮にはメリットがとても多いという話をしましたが、一方でデメリットがないわけではありません。社員寮を利用するデメリットとしては、以下の6点が挙げられます。
プライベートな時間が取れないと感じることもある
社員寮に住むと、同じ建物内には常に会社の同僚や先輩がいることになります。そのため、他の社員との交流を深められるというメリットがある反面、寮へ帰ってもプライベートな時間が取りにくいことがストレスになってしまうこともあります。
部屋の模様替えが簡単に行えない
気分を変えるために部屋の模様替えをしたいと考える方も多いでしょう。けれど、社員寮では家電や家具が備えつけとなっていることが多く、入寮者の勝手な判断で家具の位置を変える、壁紙を張り替えるなどの行為が禁止となっていることも少なくありません。
日常生活でさまざまな寮独自のルールを守らなければならない
社員寮では門限が設けられていることが多く、事前の申請なしに泊りがけで出かけたりすることができないことがあります。また共用部の清掃を交代で行わなければならないこともあり、このような寮独自のルールが精神的な負担となってしまうこともあります。
風呂・トイレが共同の寮も多い
風呂やトイレが部屋ごとに設けられていない社員寮があり、風呂・トイレが共同になっている寮では「入浴時間が決められている」「好きな時にトイレを使用できない」などでトラブルが起きるケースもあります。特に出勤前はトイレが埋まってしまうことがあるため、他の社員と時間をずらすなどの工夫をしなければならないでしょう。
古い寮は衛生的でないことも多い
賃貸住宅とは違い、そもそも営利目的でない社員寮は、多少古くなってもリフォームなどを行う必要がありませんので、古い寮では衛生面で問題が出ることもあります。例えば風呂やトイレの衛生面が気になる場合は、入寮前に状態を確認した方がいいでしょう。
退職するとすぐに退去しなければならない
社員寮はその会社で働く社員のためのものであるため、退職をすると家賃を支払う余裕があってもすぐに退去しなければなりません。よって退職する際、次の仕事だけでなく次の住まいを同時に探さなければならないという点も社員寮を利用するデメリットといえるでしょう。
入寮を決める前にメリットとデメリットを比較しておくのも忘れずに!
社員寮は、金銭的な負担の軽減をはじめとしたメリットがある反面、一般的な賃貸住宅とは異なる条件によって生じる生活面での制約がデメリットとなることもあります。入寮を検討されている方は、これらの両方をよく比較・検討してから決断をするようにしましょう。
制作:工場タイムズ編集部