高校を卒業してすぐに就職し、仕事を始める人も少なくありません。大学を卒業した方が良い? と思われる方もいるかもしれませんが、何かの理由や事情があって高卒後すぐ就職したという人もいるでしょう。
では、高卒で働くと年収はどれぐらいになるのでしょうか? また高卒後に就職し、給料を上げるにはどうすればいいのでしょうか? この記事では、高卒後すぐ働いた場合の収入について解説します。
高卒の平均年収は?
高卒は大卒よりも働く期間が長く、定年までの勤務時間も長くなります。実際に平均年収はいくらになるのか、厚生労働省のデータをもとに、高卒で働いている人全員の平均のデータを見てみましょう。
平均年収
月収、賞与、年収は以下の通りです。
月給 : 31万9,500円
賞与 : 80万8,300円
推定年収 : 464万2,300円(383万4,000円(月給 × 12カ月分)+ 80万8,300円)
また、男女別でも若干違っており、以下のようになっています。
男性 : 月給34万7,400円、賞与89万2,000円
女性 : 月給24万4,800円、賞与58万3,500円
男性の推定年収:506万800円
416万8,800円(月収×12カ月分)+ 89万2,000円
女性の推定年収:352万1100円
293万7,600円(月収×12カ月分)+ 58万3,500円
※全体 : 年齢43.4歳、勤続年数14.1年)
※男性 : 年齢43.6歳、勤続年数14.9年)
※女性 : 年齢42.9歳、勤続年数11.7年)
【出典】「平成29年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
資料:「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」
高卒の初任給、平均年収、生涯年収
先に記載のデータでは、高卒後1年目の収入がわからなかったので、同じく厚生労働省のデータから高卒後の初任給を見てみましょう。
大卒(男女計) : 20.6万円
高卒(男女計) : 17.9万円
男性 : 18万円
女性 : 17.8万円
男性の方が若干高くなっていますが、これは男性の方がフルタイムで働くなど、収入の多くなる条件で働く人が多いからです。女性は事務職など、時間に融通の利く職を選ぶ人が多く、勤務時間が短くなりやすいことから男性より収入が低めになっています。また大卒の初任給と比べると、高卒の初任給は2万円ほど少ないようです。
高卒の平均年収(初年度)は、下記の通りになります。
男性 : 290万円
女性 : 210万円
また、高卒で働いた場合の生涯年収は以下の通りです。
男性(高卒) : 1億4,964万円
女性(高卒) : 1億836万円
男性(大卒) : 1億8,626万円
女性(大卒) : 1億3,618万円
これは賞与を含めない金額です。高卒は大卒よりも働く時期が早いのですが、男女ともに大卒の生涯年収よりも低いという調査結果になりました。ちなみに高卒の男性は、大卒の女性よりも生涯年収が高いという結果も出ています。
高卒でのキャリアの築き方
高卒で働き収入アップを目指すなら、キャリアアップの目指すのも1つの方法です。キャリアを築き、専門的な技術を身につけると収入アップがしやすくなります。
キャリアプランを描く
まずは将来設計をしてみましょう。高卒後に就職した会社で、何も考えずに働けば、技術も知識もそれほど身につかず、昇給のチャンスを逃してしまうかもしれません。
キャリアプランの計画としては、10年後に今よりも給与を沢山もらうなどの曖昧な計画ではなく、「どんな仕事をするのか。それには何が必要か」を具体的に詰め、実行できるプランとして考えます。
自分のやりたい仕事ができる会社に就職したなら、さらにその専門性を高めていくのが良いでしょう。もし高卒でとりあえず就職したのであれば、その会社の役職を目指す、あるいは将来的には別の職業に転職する、などを考えておくのも一つの手です。
キャリアプランとしては、収入面での計画を作るのか、転職や独立など仕事面での計画を作るのかなどをできるだけ細かく考えます。書き方がわからなければ、キャリアプランの例を探して参考にしてみましょう。
自分の強みとなるスキルを磨く
キャリアプランを考え目標ができたなら、それに必要なことは何かと考え、自分の強みとするためにスキルを磨きます。
たとえば、語学、資格、仕事での技術などです。語学や資格だと、何をすればいいのかが具体的に決まっているのでスキルも磨きやすいでしょう。将来転職を目指すならば、仕事で経験を積んでいくことも役立ちます。仕事で経験を積みスキルを磨けば、その会社にとってなくてはならない存在になり評価が上がり、昇給することも考えらます。
高卒で給料を上げる手段
高卒でも給料を上げて収入アップを目指すことは不可能ではありません。特に今後の日本は実力評価がさらに高まっていく傾向にありますので、自分の能力を磨けば十分に収入アップができます。進む道によっては、大卒よりも収入を多くできるかもしれません。
希少性の高い能力を身に付ける
高卒で給料アップを目指すならば、希少性の高い能力を身につけるのは1つの方法です。「オンリーワンの能力や技術」と言えるかもしれません。特に21世紀前半であれば、IT関連技術はもちろん、ドローンやAIなどの技術にも要注目です。
それらのような業界で高い技術を持っている人はまだ少ないので、仕事をするにも自然と待遇が良くなります。また、高専卒業など専門的な知識や技術をある程度学んでいれば、希少性のある技術は身につけやすいです。
希少性の高い業界と言うと、ITやWeb、通信関連の技術、経営、半導体や電子機器、マーケティング、土木プラント、メカトロなどです。最近は日本のみならず海外展開する企業もあるので、英語も身に付けておけばさらに人材としての希少価値が高まるでしょう。
同じ業界で経験を積み転職してキャリアアップを図る
高卒でも特定の職種を選べば高収入を得ることは可能であり、特に大企業に入れば収入は上がりやすいです。ただ高校時代に相当な知識や技術のある人以外は、高卒後に大企業に入るのがやや難しくなります。
そのために、専門職や大企業を目標として、それに向かって今の仕事で経験を積んでいきましょう。またエンジニアなどを目指すなら、知識と技術、さらに資格も必要なことが多いので、資格取得も目指しましょう。
実際に大企業または専門職に就くと、中小企業よりも年収は2割ほど上がる場合があります。転職を目指すならば、IT系、建設業、製造業、運送業、保険金融関連などでは収入が上がりやすいようです。また保険・金融業界などは、40代以降から大幅に年収が上がる会社が多く、高卒でも十分に収入アップを目指せる業界です。
大企業に入り正社員を目指す
高卒で高収入を目指すならば、非正規雇用で大企業に入ったのち、その企業で正社員になって働くという道があります。最近は高卒大卒にかかわらず、学校を卒業しても非正規で働く人が増えています。契約社員などであっても、正社員に比べると年収は低くなるので、まずは正社員を目指すのが良いでしょう。
正社員で働くならば、中小企業よりも大企業が良いでしょう。その理由としては、中小企業はリストラや倒産の危険があり、正社員でも賞与が出ないなど待遇が悪い場合があるためです。もしも大企業への入社が難しいとなれば、倒産の危険が少なく、賞与など待遇がしっかりしている会社を目指しましょう。
高卒で大企業に入るとなると、やはり経験を積み即戦力であることが重要です。勤務1年目で今の会社の仕事に慣れる、3年目までに資格を取るなど、長い目での計画が必要になるでしょう。その上で技術や知識を磨き、頃合いを見計らって転職します。
高卒はキャリアをしっかり築いて給与を上げよう
高卒で仕事を始めると、初任給は大卒よりも低く、生涯年収も低いことが多いということがわかりました。ただし収入アップが不可能なのではなく、実務経験や技術が求められるということです。何も考えずに働けば収入アップは(大卒に比べ)しにくいので、まずは将来どのような仕事をして、どんな道を進むか、しっかりとした計画を立てると良いでしょう。
計画を立てたら、何が必要か考え、それに向かって行動しましょう。また計画は、ときには見直して、その都度軌道修正をしていくことをおすすめします。
制作:工場タイムズ編集部