モノを買うときは消費税、仕事で給料をもらうときには所得税を支払いますよね。そして住民税を支払うことで、私たちは公営の公園を使い、ゴミ収集などのサービスを受けることができます。
本記事では、国ではなく地方自治体(都道府県や市区町村)に納める住民税について、基本的な知識や、工場で働く正社員・契約社員(期間工)など働き方の違いによる納税方法をご紹介します。
住民税とは、2つの税金を合わせたもの
住民税とは、都道府県に納める「都道府県民税」と、市区町村に納める「市町村民税(東京23区は特別区民税)」を合わせたもののことをいいます。その年の1月1日に住んでいた都道府県と市区町村に納めます。1年の途中で引っ越しをした場合は、前に住んでいた都道府県と市区町村に納めることになります。
住民税を集める目的は、都道府県や市区町村といった「地方自治体」が教育、福祉、防災、ゴミ処理などの行政サービスを行うためです。ゴミを集めるにも、公立の小中学校を運営するにもお金が掛かります。そのため都道府県や市町村に住んでいる住民のうち一定額以上の収入がある人は、収入額に応じて税金を払います。
住民税には、市区町村から送られてくる納付書を使って銀行や郵便局、コンビニで納める「普通徴収」と、企業が毎月給料から天引きして納める「特別徴収」があります。普通徴収は年4回、特別徴収は毎月納めます。
それぞれの住民税について
正社員、契約社員、バイトといった働き方の違いや扶養家族がいるかどうかで住民税の納め方や金額が変わります。
正社員・契約社員の場合
正規雇用の場合、手続きと納税は会社が行うため、住民税について普段はあまり意識しないかもしれません。気を付けたいのは、住民税の金額が前年の収入によって決まることです。退職して仕事をしない状態が続いていても、その前の年に収入があれば、住民税を納めることになります。
バイトの場合
原則として従業員を雇う場合、企業には住民税を毎月の給料から天引きする義務があります。これは従業員がバイトでも同じです。ただバイトの場合、給料から天引きしない企業が多く、そのときは住民税を自分で納めます。バイトで働いている人は仕事を掛け持ちをしている可能性がありますよね。そういった場合は前の年で両方のバイト先にもらった給料を合計した金額で住民税が決まります。
既婚者の場合
住民税は所得税と同じく、収入から税金が掛からない金額を差し引く「所得控除」があります。ただし所得税とは金額が異なり、すべての人の収入金額から差し引かれる「基礎控除」、妻や夫がいる人が収入金額から差し引かれる「配偶者控除」があります。子供や親など配偶者(妻や夫)以外の人を養っている人が収入金額から差し引かれる「扶養控除(一般)」は、住民税の場合33万円となっています。
期間工の住民税って?
期間工とは、メーカーが期間を限定して雇用する契約社員のことです。期間工として働く人は住民税を払う時期に気を付けましょう。住民税は前年の収入によって決まります。契約期間を勤め終わり、期間満了慰労金(契約期間の最後まで勤めると受け取れるボーナスのようなお金)をもらって辞めた場合、期間中の収入に対する住民税は翌年の6月に請求が届きます。期間工の仕事は寮完備の場合が多く、そのときは寮がある地方自治体に納めます。
なお期間工は有名自動車メーカーや電子部品メーカーの工場などで仕事募集が多くあります。多くの工場がメーカーの直接雇用で、さらにメーカーによっては正社員登用制度を設けている場合もあり、正社員として働ける可能性があります。期間満了慰労金を受け取れる場合もあるため、期間を決めて計画的に稼ぎたい方には向いているかもしれません。
確認してみて!住民税の確認方法
給料から天引きとなっていると、自分がどれくらいの住民税を払っているのかがわからなくなる場合があります。住民税の納税額が知りたいときはどうすればいいでしょうか?
給料から天引きの場合
住民税は、月割り金額で給与明細に記載されています。前年の収入から支払う総額の住民税を計算して12か月で割った金額なので、毎月一定です。毎年6月から新しい住民税の金額となります。
自分で支払っている場合
市区町村に申請して発行される「住民税証明書」で確認しましょう。課税額だけでなく、前年の収入や所得、税金の控除額が書かれています。
もし住民税を確認して納め漏れがあった場合は、役所で支払いを済ませましょう。期間工などで寮に住んでいた場合、現在住んでいるところと、住民税を納めるところが違うことがあります。役所が遠くて行けないときは、コンビニや銀行で支払える納付書を郵送してもらうことで支払うことができます。
住民税が期限までに支払えない場合は、役所の税務課で支払えないことを説明すれば大丈夫です。場合によっては減免処置をとってくれることがあります。納付時期を遅らせてもらえたり、1年分を12分割してくれたりと対応してくれる自治体は多いです。
住民税の支払いについてまとめると
住民税は前年の収入で収める金額が決まります。納める先は、その年の1月1日に住んでいた自治体です。正社員の場合は給料から天引きされるので、住民税に関して特に注意することはありません。期間工や契約社員、バイトで働く人は「住民税は前年の収入で決まる」「納める地方自治体は毎年1月1日に住んでいた住所」「給料から天引きされていない場合は自分で納める」という点を覚えておき、納税状況を確認してみましょう。
制作:工場タイムズ編集部