疲労の種類
単に「疲労」といっても種類には複数あり、その原因などから3種類に分類できます。それらの特徴としては、以下のとおり。
肉体的疲労
筋肉は酸性に弱いという特徴があり、酸性である「乳酸」という物質が体内にたまると筋肉痛や筋肉の張りなどの症状が表れます。
このような筋肉をはじめとした体そのものに表れる疲労を「肉体的疲労」と呼び、乳酸がたまる原因となる激しい運動をした翌日にはこの肉体的疲労の症状が表れやすくなります。そのため、特に激しい運動を伴う肉体労働をしている方は、このような肉体的疲労をよく感じていることでしょう。
一方、肉体的疲労は、整理運動やストレッチなどをしっかり行えば、ある程度防ぐことが可能できるという特徴もあります。人間関係や悩みごとなどによる、ストレスが原因でたまる疲労を「精神的疲労」と呼びます。
精神的疲労
精神的疲労は肉体的疲労とは違って休息などをとっても緩和されにくいことから、疲労が取れないことがストレスをためる原因となり、さらに疲労を増やすという悪循環にはまってしまいがち。
また、このような精神的疲労に対してはリラックス効果が期待できる適度な運動がよいとされており、疲れているからという理由で休みの日をだらだらと過ごしてしまうこともまた、精神的疲労を増長させる原因となります。
神経的疲労
「やる気が起きない」「十分に寝ているのに眠い」といった症状は、精神的疲労によるものと判断してしまいがちです。しかし、実は自律神経などの異常が原因となる「神経的疲労」によるものかもしれません。
神経的疲労は、デスクワークのような神経や脳が緊張した状態が長時間続く仕事についている方に起こりやすく、最近ではよくスマホを見てしまうという方にも表れやすいといわれています。ただし、工場などで働く肉体労働者の場合、神経的疲労が高まることはそれほどありません。
疲労回復のためには
このような疲労の種類のうち、特に肉体労働者に多いのは「肉体的疲労」といえるでしょう。この肉体的疲労は他の疲労に比べて自力で回復させやすいことから、以下の対策を実践すれば疲労がたまってしまうことを防げます。
睡眠の質を上げる
睡眠中は食べ物から摂取した栄養と睡眠中に多く分泌される成長ホルモンの働きにより、激しい運動で損傷した筋肉の修復が行われています。質のよい睡眠を取ることは、このような筋肉の修復だけでなくエネルギーをためる上でも大きな効果があります。
また、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、それぞれ約90分おきに切り替わるといわれています。このため、レム睡眠とノンレム睡眠がちょうど切り替わる、6時間あるいは7時間半後に目覚めるようアラームをセットしておくようにしましょう。そうすればすっきりと目覚めることができ、疲労も解消することができます。
休息をしっかりと取る
疲労を解消するためには、休息をしっかりと取ることも重要です。頻度としては、一度にまとまった休息を取るより、短時間の休息を小まめにとった方が疲労は溜まりにくいといわれています。平日は限界まで働き休日は1日中休む、という極端な生活サイクルを送ることは避けるようにしましょう。
また、日々の入浴は休息の中でも高い疲労回復効果が期待できるといわれています。シャワーだけで済ませるのではなくしっかりと湯船に浸かり、時間があればマッサージをして血行を促進させるのも疲労回復のための方法としてはおすすめ。
肉体労働と筋トレの両立は可能?
丈夫な体があれば激しい肉体労働にも耐えられると考える方は多く、中には肉体労働と筋トレの両方を行っているという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、肉体労働と筋トレの両立においては、以下の注意点を押さえておきましょう。
疲れがたまった状態での筋トレは避ける
スポーツ選手でも、疲労が回復しきらない状態で過度なトレーニングをし続けると骨折してしまう場合があります。これを「疲労骨折」と呼び、これはスポーツ選手だけでなく肉体労働者にも同様に当てはめることができます。
このため、疲れがたまっている状態で無理なトレーニングを行うと、肉体労働ができなくなるほどのケガを負ってしまうこともあるため注意が必要です。
筋トレでは小さい筋肉を鍛える
肉体労働では全身を大きく動かすため、太ももの筋肉や背筋などの大きな筋肉に疲労がたまりがち。そのため、肉体労働をしている人が筋トレを行う場合、手首などの小さい筋肉を鍛えることを意識すると、大きな筋肉への影響が少ないだけでなく普段は意識しない筋肉の強化もできます。
ベンチプレスなどはNG
ベンチプレスのような大きな負荷がかかる筋トレは、このように大きな筋肉の疲労を助長し疲労骨折のリスクも高める可能性があるため、行わないようにしましょう。また、ベンチプレスに限らず、ジムで行うような負荷の大きな筋トレは基本的に行うべきではありません。
疲れにくい体を作る3つのポイント
疲労をためないためには、根本的に疲れにくい体を作るのも有効です。具体的な方法としては、以下の3つの方法が挙げられます。
食事
1日3食、特に朝と昼にバランスのよい食事をとることは、疲れにくい体を作るための基本中の基本。また、だるさや疲れを取る働きがあるビタミンB1を多く含む、豚肉やレバー、枝豆、キノコ類や、同じ効果が期待できるビタミンB2を多く含む、さばやししゃも、納豆などを積極的にとりましょう。
姿勢
同じ姿勢を長時間維持すると、特定の箇所の筋肉にのみ乳酸がたまり、大きな疲労感や腰痛など起こすことがあります。そのため、仕事上同じ姿勢を維持したり同じ動作を繰り返さなければならない方は、休憩中に姿勢を正しストレッチをするようにしましょう。他の箇所の筋肉も動かすと、翌日以降の疲労回復や腰痛防止に効果的です。
運動
ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、筋肉を作るだけでなく内蔵の働きの活性化や血行の促進効果を促して、疲れにくい体を作ることができます。そのため、休日に30分でも外に出て散歩をするだけでも、疲労感には大きな違いが表れます。
疲れにくい体づくりで仕事もはかどる!
直接的な疲労の回復効果が期待できる「睡眠」「休息」と、疲労の蓄積に対する予防効果があるとされる「食事」「姿勢」「運動」は、疲労対策の基本です。
肉体労働についている方は肉体的疲労の回復を重視しがちですが、肉体的疲労には精神的疲労と神経的疲労も関係していることから、それらも含めて総合的な改善を図らなければいけません。
今まで挙げたような対策を実践して疲れにくい体を作ることができれば、余計な体力を損なわず仕事の効率化も図ることができるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部