退職・失業などで求職中に生活の糧となるのが「失業保険」です。この失業保険は誰でももらえるわけではありません。というのも、保険ですから失業保険の被保険者でなければならず、失業保険の掛け金を月々支払っていることが条件となるのです。正社員でしたら問題なく社会保険の一部として失業保険料を会社と折半して支払っているのですが、非正規雇用の期間工となるとどうでしょうか。ここでは、期間工の失業保険について詳しく紹介します。
期間工が失業保険をもらえる条件とは?
正規雇用と非正規雇用では社会保険の加入率が異なるようですが、短期間の雇用となる期間工はどうでしょうか。失業保険をもらうにはそもそもどのような条件があるのか、失業保険の受給資格について調べてみました。
失業保険は受給資格がある
失業して失業保険を受給するには受給資格というものがあります。誰でも働いて退職したとしても無条件に失業手当がもらえるわけではありません。まずは失業保険の受給資格について見ていきます。
過去2年以内の間に期間工として12カ月以上働いている
失業保険の受給資格ですが、前提条件として失業保険の被保険者でなければいけません。つまり、失業保険に加入して失業保険料を支払っている必要があるのです。これが前提条件ですが、失業保険の受給資格は過去2年間に12ヵ月以上の失業保険の加入期間がなくてはいけません。
つまりは12ヵ月以上働いていること、そしてその期間に失業保険料を会社と折半して支払っていることが受給資格を得るための条件となります。また離職前の1年間で被保険者期間が6ヵ月以上ある場合も失業保険の受給資格があります。
期間工という性質上、雇用契約の期間が3ヵ月あるいは6ヵ月という短期間の契約もあるでしょう。短期間の場合は失業保険に加入しない契約もあります。失業保険の被保険者期間は通算で計算されるので、短期間の期間工であっても失業保険に加入できる仕事を選択したほうがよいです。
特定受給資格者、特定理由離職者は、6カ月以上
雇用期間が決まっていない場合は自分の都合(自己都合)によって退職することもありますが、期間工の場合はあらかじめ働く期間が決まっていることがほとんどです。それが6ヵ月あるいは1年の場合でも、期間満了となった場合は会社都合の退職となります。
古い情報では期間満了も自己都合退職としている場合がありますが、2009年に法律が改正され、期間工・派遣社員などの任期満了による退職は会社都合の退職となりました。
自己都合と会社都合の退職で大きく違うのは、失業保険(雇用保険)の給付制限です。会社都合の退職の場合は給付制限がなく、失業手当の支給開始日はハローワーク届け出から7日後となります。
一方の自己都合退職の場合は給付制限ありで、支給開始日はハローワーク届け出から3ヵ月と7日後ということになります。期間工の場合任期満了を待たずに退職した場合は自己都合退職となるので注意が必要です。
働く意思と能力がある
意思(自分の気持ち)の問題となりますが、失業保険の受給資格は「働く意思と能力がある」ことが条件となります。ですから、失業保険の受給中もハローワークに通って求職の意思を示さなければいけません。
期間工が失業保険をもらうまでのステップ
期間工で働く人が退職して失業保険をもらうまでの手順を説明します。
STEP1:退職の際に人事と面談する
まずは任期満了となるので人事の人と面談の席が設けられる場合があります。
【必須ではないが、受給までの手続きがスムーズに進みやすい】
人事との面談は必須というわけではありません。「何か質問は?」と問いかけられる場合もありますし、自分から進んで面談の席を設けるように要望することもできます。しかし必ずしも退職時に面談が必要というわけではなく、面談を行わなくても退職の手続きは会社の方で進められていきます。特に期間工を採用する企業でしたら、そういった手続きは慣れたものですから、手際よく手続きを進めてくれるはずです。
【会社都合での退職になることを確認する】
人事との面談の際に確認することはひとつです。それは「会社都合の退職になるか」という確認です。期間工の任期満了は自己都合ではなく会社都合の退職ですから、そのあたりの確認は通常する必要はないのですが、念のために確認しておくと確実です。
退職時は会社が離職票を発行してくれるのですが、その書類に「会社都合での退職」という記載が載ることになります。
【離職票発行までの流れについて確認する】
人事との面談の際に離職票発行までの流れを説明してもらいます。退職ですから、期間工が返還するものとして、入場許可証やロッカーキーなど会社から貸与されたものはすべて返還しなくてはいけません。
STEP2:離職票をもらう
離職票の受け取りですが、退職日に発行してもらう(受け取り)、あるいは自宅に郵送してもらう方法、さらには後日会社に行って受け取るといった方法があります。会社が指定する場合もありますし、どれでもよいと言われたら都合のよい受け取り方法を指定します。
STEP3:ハローワークへ行く
離職票をもらったらハローワークに行きます。持参する書類は以下になります。
・雇用保険被保険者離職票(1)
・雇用保険被保険者離職票(2)
・雇用保険被保険者証
以上の3点は会社から受け取る書類です。
他に自分で持参するものは以下です。
・印鑑
・写真
・預金通帳
・マイナンバーカード(マイナンバー確認証明書)
以上が必要になります。これらのものを持参してハローワークに失業保険給付の手続きに行きます。
期間工が失業保険をもらうためのポイント
期間工が退職後に失業保険を受給するためには、失業保険の被保険者として働いた実績がなければいけません。通常は期間工として働く際、会社から失業保険の加入などの説明があるはずですので基本的には問題ないと思いますが、失業保険に加入する条件を以下に示します。
・1週間の所定労働時間が20時間
・2年間において12ヵ月以上働くこと
この2点が条件となります。6ヵ月以上でも失業保険はもらえるのですが、その場合は給付制限有りとなり、3ヵ月以降からの受給となるので注意が必要です。
期間工が任期満了で退職する場合(ここではわかりやすく1年以上働いた場合とします)、退職すると会社都合の退職として処理されるはずですが、「自己都合の退職」として離職票に記入されているケースもまれにみられます。自己都合の退職と記入されてしまった場合、ハローワークでもその点を指摘されるはずなので、そのときに自己都合での退職という記載があった場合は「任期満了で退職」した旨を説明して、会社都合の退職に変えてもらうようにしましょう。
きちんと説明すればその場で確認が取れて、会社都合の退職となるはずです。会社都合にしないと失業保険の給付制限がつき、受給が3ヵ月後になってしまいます。退職したらすぐに収入の道が閉ざされるのですから、給付制限なしですぐ受給できるようにしなくてはなりません。
失業保険受給の知識をしっかりと持ちましょう
期間工の場合、任期満了になるとすぐ次の仕事に就く場合もあり、失業保険の受給は手続きが面倒だからとハローワークに行かない人も少なくありません。しかし、給付制限がなくすぐに失業保険が受給できますし、すぐに就職したとしても再就職手当がもらえる場合もあります。
また失業保険を受給しない(手続きをしない)場合、その失業保険の被保険者の期間は次の機会に通算されるので、離職票などはきちんと保管しておくことが大切です。
制作:工場タイムズ編集部