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財形貯蓄とは? 制度の概要と種類、メリット、運用時のポイントを解説

2019/02/25公開 / 2023/06/20更新

「財形貯蓄」・・言葉で聞いたことがあっても内容については・・たしか給与明細の控除項目にあったような・・そのように思う人も少なくないと思います。ここでは名前を聞いたことがあってもその内容まではよく知らない! という人のために「財形貯蓄」の制度と概要について詳しく説明します。さらに財形貯蓄のメリットや運用時のポイントについても説明します。

財形貯蓄とは?

そもそも財形貯蓄は「財形貯蓄制度」というのが正しい言い方です。財形貯蓄とは、勤労者財産形成促進法という法律に基づいて企業が導入している、従業員に対しての福利厚生の1つなのです。

給与からの天引きを通じた貯蓄制度

財形貯蓄は、就業している企業が毎月の従業員の給与から一定額を天引きし、その天引きした金額を金融機関に送金しているのです。いわば、企業を通して貯蓄を行う制度が財形貯蓄なのです。財形貯蓄への加入は任意となっています。

気をつけるポイントとして、財形貯蓄制度は誰でも利用できる制度ではありません。個人での加入はできないのです。就業先の企業その財形貯蓄制度を導入しているかどうかが、財形貯蓄を利用できるかどうかのポイントとなるのです。

財形貯蓄の主な種類

財形貯蓄には、その目的に応じて3つの種類に分かれています。

・一般財形貯蓄
・財形住宅貯蓄
・財形年金貯蓄

以上の3つです。

それぞれ特徴がありますが、まず「一般財形貯蓄」は、使用する用途が限定されていない財形貯蓄です。

続いて「財形住宅貯蓄」は、自分自身が居住するために、必要な購入費や建築費、さらにはリフォームなどの資金を貯めることを目的とした貯蓄です。この場合住宅に関わること以外の用途で積み立てたお金を他に利用することはできません。

最後の「財形年金貯蓄」は、老後の自分自身の生活のために資金を積み立てるためのものです。こちらも、財形住宅貯蓄同様に年金以外の用途で利用することはできません。

利用できませんと書いていますが、それだったら一般財形貯蓄にしたほうが臨機応変に対応できるのでは? という意見もあります。正確には利用できないというよりも、他で利用しても「メリットがなくなる」と考えたほうがいいのです。

財形貯蓄を行うメリット

ここからは財形貯蓄を行うメリットについて説明します。一方、財形貯蓄にはデメリットもありますのであわせて確認していきましょう。

財形貯蓄のメリット

財形貯蓄は3種類に分類されるのですが、どの財形貯蓄にも当てはまっているメリットが「財形住宅融資」という制度です。この制度を利用できるのが大きなメリットなのです。これは住宅の購入や建築、先々でのリフォームを行うときに、住宅金融支援機構という公的組織から融資を受けることができるといった制度です。

住宅を購入するとき、大半の人が住宅ローンを組むはずです。そのとき、低金利で住宅金融支援機構から融資を受けることができるのです。「できるのです」と断言してしまいましたが、正確には「可能性がある」と考えたほうがいいです。お金を借りるときには審査が必要ですが、審査に落ちた場合は融資を受けることができません。

住宅金融支援機構から融資を受ける条件は、3種類のいずれかの財形貯蓄を1年以上継続して積み立てていることが条件になります。また、住宅ローンの申し込みの2年を遡ってそれ以内に財形貯蓄の積み立てを行っていること、さらには申し込みの時点で、財形貯蓄の積立残高が50万円以上あること、そして勤務先から住宅手当などの支援(負担軽減措置)が受けられることです。

「住宅手当」は単に給与明細の中の支給項目内にある「住宅手当」が該当します。この融資制度では、住宅の購入必要な金額の90%、または財形貯蓄の残高の10倍(最大4,000万円)のいずれか低いほうの金額が住宅購入に関する融資限度額となります。

そして、一般財形貯蓄とは違う「財形住宅貯蓄」と「財形年金貯金」のメリットですが、この2つには税制面でのメリットがあるのです。それぞれの積立額の元本である550万円までを上限として、利子が非課税となるのです。この場合保険商品を選ぶこともできるのですが、そのときは385万円が非課税の上限となります。また、中には財形住宅貯蓄と財形年金貯金の両方を積み立てている人もいるでしょう。そのときは積立額の合計が550万円以下であることが必要となります。

財形貯蓄にはデメリットがある?

財形貯蓄のデメリットとして、一般財形貯蓄には税制面の優遇がないことがあります。また一般財形貯蓄から財形住宅貯蓄への変更もできません。加入する前に用途を明確にする必要があるのです。

財形貯蓄の手順

続いては財形貯蓄の始め方を説明します。

財形貯蓄は企業と銀行が契約するもの

財形貯蓄の積み立ては、就業先の企業から支払われる給料から、毎月一定額が天引きされます。他に財形貯蓄を支払う方法はありません。財形貯蓄は従業員の給料から毎月積み立てていくものなのです。言うなれば給料から天引きすることで、それが従業員の賃金の一部ということを明らかにする必要があるからです。先に述べた、勤労者財産形成促進法という法律でも就業先の企業が、給与からの天引きと提携先の銀行の貯蓄口座への振込を従業員に変わって代行することが決まっているのです。

財形貯蓄の手順

以上のことから、従業員は就業先の企業と銀行が提携することで、財形貯蓄をすることができます。財形貯蓄をしたい場合は、財形貯蓄の種類などを会社の給与担当者、あるいは福利厚生を担当している人に相談するようにしましょう。内容が分かれば、財形貯蓄の種類を決めて会社に対して財形貯蓄の積み立て申請をすれば当月あるいは翌月から財形貯蓄の積み立てが行われます(具体的には財形貯蓄の給料天引きが始まります)。

企業側の手順

財形貯蓄は企業の福利厚生の1つと考えます。従業員の要望から始めることが多いようです。そのときは提携している銀行と相談して、財形貯蓄関する社内規定などを取り決める必要があります。さらに企業と従業員の取り決め(労使協定)が必要となります。これは企業が財形貯蓄の金額を毎月の給料から天引きの同意を取り交わすためです。

財形貯蓄を行う際のポイント

財形貯蓄を行う際の注意点です。

無理のない支払金額に設定する

財形貯蓄制度は、自分が就業している企業に手続きをするだけで手軽に始められます。一度手続きをすることで、半ば強制的にお金が貯まっていくのです。企業よっては財形貯蓄制度を導入していないことがあるので、まずは会社の給与担当社あるいは福利厚生の担当者に確認する必要があります。

財形貯蓄に限らないのですが、積み立ては少額であってもコツコツと続けていくことが大切です。貯蓄に慣れないうち、最初は薄給ですから、大きな金額から始めてしまうと続けていくことが厳しくなってしまいます。ですから最初のうちは無理のない金額から始めるようにしましょう。そして、給料が増えてきたら少しずつ財形貯蓄の金額を増やすようにしていくのです。

金融機関の金利を比較する など

積み立てには、銀行などが行っている「積立定期預金」などがあります。財形貯蓄制度と同じような積み立てなのですが、どちらも利用すると「金利」がつきます。

ここで気をつけなければいけないのは、通常の預金でしたらその金利は課税対象となりますが、一方の財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄は、その金利部分が非課税となるのです。これは財形貯蓄の大きなメリットです。定期預金など、各金融商品によって金利は違ってきますが、税制面のメリットを考えると、同じ金利であれば財形貯蓄のほうが有利ということになります。

ただし、財形貯蓄と定期預金な金融商品によって金利が変わってくるので、定期預金の金利のほうが高いと、そちらのほうが得になるかなと思いがちですが、非課税部分を考えるとトータルで比較しても、財形貯蓄のほうが有利になることが多いです。

将来的に住宅購入の意思があるなら財形貯蓄はおすすめできます

財形貯蓄のメリットは言うまでもなく給料で天引きされることです。いわば強制的に貯金ができているので、知らず知らずのうちにたまっていきます。毎月1万円でしたら年間12万円ですが、2回のボーナスでそれぞれ11万円の積み立てをすると、年間34万円ですから、3年間で100万円貯めることができます。これが30年では1,000万円ですから、住宅の購入費の頭金、さらにはリフォーム代には十分でしょう。非課税などの優遇措置もあるので、他の積み立て型の金融商品よりも有利なのも見逃せません。

制作:工場タイムズ編集部

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