「期間工って契約期間が決まっているし、将来性が心配」と考える人は多いのではないでしょうか。たしかに契約期間だけで見ればそうかもしれません。しかし、考え方を変えることで期間工として働くことの別の意味や価値が出てくることもあります。 今回の記事では期間工の将来性、期間工で働く意義、また期間工として働く上でどうすれば不安点を解消できるか、といった内容について説明していきます。
期間工の将来性とは?
将来にいかす経験と資金を蓄えられる
期間工は多くの仕事が期限付きの雇用であるため、契約満了となると再度契約を結ぶか、もしくは退職を余儀なくされることになります。このような点から見れば、正社員などに比べると期間工は安定性の低い働き方だと言えるかもしれません。
しかし、人によっては将来自分が就きたい仕事のためにあえて期間工を選んで働いている人も多くいます。期間工は寮住まいが可能であるケースや、給料も正社員とそん色がないことも多く、今後別の職種や自分が本当に目指したい仕事に就くための「経験(スキル)」と「資金」を蓄える期間にもなるからです。
つまり、期間工としてずっと働いていくのが目的ではなく、将来のステップアップのための足がかりとして期間工で働くという考え方ができるわけです。
正社員登用制度のある企業で働きを認められれば、正社員になれる可能性も
会社によっては正社員登用制度を採用しているところもあります。将来、別の仕事に就きたいということではなく、今の仕事で経済的に安定したいということであれば、やはり正社員のほうが安心できます。
正社員登用制度のある会社では、期間工としての働きが認められると正社員として登用される可能性があります。そういう点では、期間工は確実にスキルを積んで正社員を目指していく働き方といってもいいでしょう。
もちろんすべての期間工が正社員に登用されるというわけではありませんが、いきなり正社員を目指して就職活動をするよりも、期間工を通して正社員を目指したほうが近道になる場合もあります。
期間工は失業保険、年金を受け取れる?
受給条件を満たしていれば受け取れる
「期間工だと社会保険を受けることができないのではないか?」と思っている方もいるようです。結論からいえば、期間工も失業保険や年金といった各種社会保険を受けることができます。
まずは健康保険・厚生年金についてですが、期間工の場合、被保険者になるためにはその会社での雇用期間が2カ月を超える必要があります。2カ月を超えて初めて被保険者としての資格を得ることができます。
期間工は3カ月 ~ 6カ月の期間で働くことが一般的な契約内容ですので「雇用期間が2カ月を超える」という被保険者資格は、問題なく働いていれば条件を満たすことになります。よって期間工でも健康保険・厚生年金が適用されます。
失業保険についても、一定の条件を満たしていれば適用されます。失業保険が認められる条件は以下の2つです。
1. 期間工として12カ月以上働いた場合
2. 上記の期間で1カ月のあいだの労働日数が11日以上の場合
1つ目の条件については、雇用保険を12カ月以上納めていないと失業保険の受給資格がないので、シンプルに期間工として12カ月以上働いたか否かで判断できます。
2つ目の条件は、1カ月のあいだの労働日数が11日以上あること。言い換えれば「1カ月に20日以上の欠勤・休暇がないこと」です。期間工は基本的に月に20日以上働いているので、この条件に当てはまります。
もしも11カ月間のあいだ月11日以上で働いたのに、最後の12カ月目で11日以下しか働かなかった場合、失業保険を受け取る資格がなくなってしまいますので気をつけましょう。
ここまで年金・失業保険の受給条件について説明してきましたが、いずれの場合もその会社が年金や失業保険などの社会保険を完備しているということが大前提になります。勤めている会社そのものが社会保険を完備していなければ、いくら上記の条件を満たしていても社会保険を受け取ることはできません。
期間工が正社員を目指すポイント
期間工が正社員に登用されるには、先輩社員や採用担当者に対してできるだけ「良い印象」を与えることが重要です。特に期間工の場合は細かい作業を繰り返し行うことが多いため、やはり働く上で大事な要素となるのは、働く人の「熱意」と「謙虚さ」です。
ここでいう熱意とは、「仕事に取り組む真剣な姿勢・前向きな態度」のことです。与えられた仕事をしっかりこなすことで社内の評価アップにつながります。また謙虚であるということは「上司や先輩社員に逆らったり、与えられた仕事にただ文句を言ったりせず、何事にも誠実に向き合うということ」です。逆に裏で陰口を言ったり、仕事に対してあれこれ不満を言ったりするような人はやはり社内での印象も評価も悪くなります。
「社内の人間関係を乱さないように配慮すること」も大切なポイントです。社内の中で人間関係やコミュニケーションの健全さを乱す存在になってしまうと「この人物は問題がある」と見られてしまい、正社員として登用される可能性が低くなってしまいます。常に社内の人間関係の「輪」を乱さないようにし、思いやりのある謙虚なコミュニケーションを心がけていきましょう。
会社としては「この人を手放すのは惜しい」「この人にはずっと働いてもらいたい」と思える人を正社員として登用したいと考えます。会社からそのような評価を得られるかどうかがポイントです。もちろん技術やスキル、専門知識の豊富さも重要ですが、それ以上に人間性の面で高評価を得られるかどうかに注意を払いましょう。どれだけスキルがあっても、問題がある人として見られるならば正社員として登用されるのは難しいでしょう。
これは「正社員になるためには学歴は関係がない」という点にもつながります。実際、中卒でも正社員として登用されるケースが多々あります。それを可能とするのは、日々の社内での誠実な態度、謙虚に仕事に向き合う姿勢、前向きな情熱、健全なコミュニケーション能力であり、こうした点で会社から高い評価を得ることが重要です。
上記に挙げたポイントは社会人として当たり前のことかもしれませんが、その当たり前なことを疎かにしてチャンスを逃している人も多いのです。結局会社というのは、スキル以上に「人間を評価している」「人間を見ている」ことが多いので、ちょっとした態度や日々の言動、社内での姿勢が評価の良し悪しにつながるということをしっかり意識しましょう。
期間工が将来への不安を解消するためにできること
期間工として働いていると、この先の将来が不安になったり、老後のことを心配したりする人もいることでしょう。そのような不安を解消するためのポイントを3つ挙げてみます。
・稼いだお金を無駄に使わない
・「将来、何をしたいか」についてよく考える
・正社員を目指す
期間工は給与が高いことが多く、無駄遣いをせずに貯金をしていけば、バイトなどに比べてもはるかにお金が貯まりやすい仕事です。そのお金を単に遊びで使うだけだと将来のためになりません。「期間工で稼いだお金を何に使うか」についてしっかり考えることが大事です。
例えば「貯めたお金で専門学校に通い、新しい職に就きたい」「開業資金に充てたい」など、自己投資をすることで新しい将来像を目指していくこともできます。稼いだお金を無駄に浪費するだけでは何も変わりません。
また、将来「自分は何をしたいのか」についても考えることも大切です。「自動車が好きだから、やっぱり自動車関連の仕事に就きたい」「人と話すことが好きだから、その性格を活かせる仕事がしたい」「貯めたお金で海外留学してみたい」「田舎でのんびりスローライフをしたい」など、自分が本当に求めているものは何なのかを知り、将来について深く考えてみましょう。それは同時に「自分自身の生き方を考える」という、人生においてより本質的なことに時間を費やすということでもあります。
もちろん、安定した生活を求めているなら正社員を目指すのも1つのビジョンとして挙げられるでしょう。期間工から正社員への登用を目指してもいいですし、それが難しそうなら正社員を募集している求人を探して新たに応募していくのも1つの手です。新たな求人を探して正社員を目指す場合は、転職サイトや求人募集サイトなどを積極的に利用していきましょう。
将来設計を考えることが重要
単に「なんとなく」で期間工の仕事を続けるのではなく、「なんのために期間工の仕事をするのか」ということを明確にし、目的を持って行動していくことが大切です。貯蓄のためなのか、次の仕事への足がかりなのか、正社員を目指したいのか、目的と目標を明確にして将来設計をしっかり考えていれば、不安や心配よりも情熱や前向きさをもって何事にも取り組んでいけるでしょう。
「将来、自分はどうしたいのか」ということを最初のポイントとして考えてみてください。そこから様々な未来のビジョンが描けるはずです。
制作:工場タイムズ編集部