DIYには、既製品にはない自分好みの家具などを作ることができるという楽しみや、費用を大きく抑えられるなどの魅力があります。
本稿では、DIYのメリットや必要な道具、基本的な手順や作れるモノ、さらには最近にわかに注目を集めつつある「DIYアドバイザー」という資格とその取得方法などについて解説します。
既にDIYを行っている方だけでなく、これからDIYを始めてみたいという方も、ぜひ参考にしてみてください。
DIYとは?
まずはDIYの意味やメリット、日曜大工との違いなどの基本的な情報についてご紹介します。
自分でやること
DIYとは「Do It Yourself」の略で、既製品を購入したり、専門業者に特定の製品の制作を注文したりするのではなく、すべてを自分自身の手で行うことを意味します。一般的には棚やテーブルなどの家具を自作することなどがDIYのイメージとしては強いものの、パソコンを製作したり、はがれた壁紙を貼り直したりすることもDIYに含まれます。
DIYのメリット
DIYのメリットとしては、コストが材料費だけで済むため、既製品を買うよりも安く済ませることができるという点が挙げられます。また、それだけでなく、自分で一から設計を行うことができるため、完成までの過程を自分自身も楽しむことができるという点や、自分の好きな形に仕上げることができるため、既製品にはないサイズ感やオリジナリティを出せるという点も大きなメリットといえるでしょう。
日曜大工との違い
日曜大工というと、休日に行う器用な男性向けの趣味というイメージがありますが、一方でDIYはガーデニングなどの延長で始める女性も増えてきており、決して男性のためだけの趣味ではないという点が日曜大工との大きな違いです。
また、女性をはじめ、広くDIYが行われるようになったことから、ホームセンターなどでも簡単に扱える道具や材料が購入できるようになりました。
作業に必要な道具
続いてはDIYを行う上で必要となる基本的な道具と、ある程度スキルがついてから購入するとさらに便利な道具をご紹介します。
ノコギリ
ノコギリはDIYを行う上で最も欠かせない道具のひとつです。ノコギリには両側に刃がついた和式のものと、片側に刃がついた洋式のものがあります。また、女性は刃渡りが短めのものを選ぶと使いやすいでしょう。
カナヅチ
くぎを打つ必要がある場合は当然カナヅチが必要です。初心者の方はくぎ打ちで失敗することも多いため、叩く面の反対側がくぎ抜きになっているタイプがおすすめです。
ドライバー
プラスドライバーとマイナスドライバーの両方を揃えておくのがよいでしょう。握る部分の太さも重要ですので、実際に握った感触を確認してから購入するのがおすすめです。
カッター
DIYでは、日常的に使用する紙を切るための小さめのカッターではなく、段ボールや紐なども切れる大きめのものを用意する必要があります。
ペンチ
ペンチは針金を切ったり、折ったりするときに必要です。サイズもさまざまなので、自身の手にあったものを用意しましょう。
紙やすり(サンドペーパー)
木製の棚やテーブルなどを作った際の最後の仕上げで必要になるのが紙やすり(サンドペーパー)です。削る面のざらつきの度合いは数字で表されており、粗いもの程数字が小さくなります。また、基本的に消耗品ですので多めに購入しておくとよいでしょう。
サシガネ
サシガネとは、目盛りがついたL字型の定規のようなものです。木材のサイズを図る際などに使用します。
ある程度スキルが付いたら、以下の電動工具の購入も考えてみるとよいでしょう。
ドライバードリル
電動でネジを回すことができるドライバーです。力の弱い方や、硬めの木材にネジを差し込みたいときなどに便利です。
サンダー
サンダーとは紙やすりによる研磨を電動で行うアイロンのような形をした工具です。広い面の研磨を行う際に重宝します。
DIYの基本的な手順
続いてはDIYの基本的な手順をご紹介します。DIY未経験の方はぜひ参考にしてみてください。
1.大きさを決めて設計図を描く
最初にDIYの最も重要なポイントである設計図を描きましょう。何を作るか決めたら、それを設置する場所の採寸をし、幅、高さ、奥行きなどの数値を正確に設計図に書き込みます。サイズを間違えてしまうと、設置することができなくなるため、採寸はとにかく慎重に行うようにしましょう。
2.材料を選ぶ
設計図を描いたら木材や金具、ネジなどの必要な材料をリストアップし、ホームセンターなどに買いに行きましょう。材料は失敗することを見越して多めに購入しておくのがおすすめです。
3.カットする
鉛筆とサシガネを使用し木材に線を引き、カットしましょう。カットは自力でノコギリやジグソーを使用して行うのもよいですが、ホームセンターでカットしてももらうことも可能です。
4.ヤスリをかける
続いてはサンドペーパーを使用し、ヤスリをかけましょう。木材を組み立ててからだと細部にヤスリをかけるのが難しくなるため、この段階でやっておくのがおすすめです。
5.塗装
色を付けたい場合は、この段階で塗装を行います。ワックスを塗るときれいに仕上げることができます。
6.組み立て
最後にネジや金具を取り付けて、パーツ同士を組み立てていきます。キャスターやL字金具を付ける場合は、先に取り付けておくのがおすすすめです。
DIYではこんなモノが作れる!
DIYで作れるものには限界があります。そのため、どのようなものがDIYで作れるのかということも把握しておきましょう。
棚
棚はDIYで作るものの定番です。作りが簡単なものなら、比較的大きなものでも作ることができるでしょう。初心者の方は本棚や小さめの収納棚などからはじめるのがよいので、100円均一で売っている材料で始めてみるのもおすすめです。
机
机は棚に比べて若干難易度が上がりますが、DIYの基本的なスキルだけで十分作ることが可能です。L字型にした板を壁につけるだけの「ウォールデスク」は、机の中でも難易度が低く、初心者の方にもおすすめです。
イス
イスには人の体重を支えられるだけの安定性と耐久性が求められます。作成においては最も基本的なDIYの手順の殆どを網羅しており、設計図の作成から材料の切断、ネジの留め方などの基本スキルを身につけるための練習にもなります。
DIYを極めた「DIYアドバイザー」の資格
女性をはじめとした幅広い層からのDIYへの注目度の高まりに応じ、「DIYアドバイザー」という資格も登場しています。続いては、この資格の詳細をご紹介します。
DIYアドバイザーとは?
DIYアドバイザーとはDIY専門の資格で、DIY初心者の方に対して指導やアドバイスをすることができ、取得にはそれに相応しいだけの知識と技量を持っていることが求められます。
DIYアドバイザーの資格
DIYアドバイザーの資格は、DIYを行う能力や指導できる能力が備わっていると認められた人に対し、日本DIY協会がその認定証を交付しています。資格の有効期間は5年間となっており、手続きを行うことで更新が可能であるため、長期的に見ても有益な資格です。
試験概要
DIYアドバイザーの試験では、最初に一次試験として学科試験が行われます。その内容は記述形式の問題が全2問、マークシート方式の問題全45問が基本となっており、年度ごとに若干の違いはあるものの、問題形式の大きな変化は今のところありません。
続く二次試験は、実技・面接試験となり、一次試験の合格者のみが受験することができます。ここでは、より専門的な技術と知識が求められ、最終的な合格者は一次試験受験者の4割弱となっています。
「DIYアドバイザー」という資格はあまり聞き慣れたものではなく、数年前の「検定ブーム」に乗じて誕生した資格のように思われるかもしれません。しかし、取得のための試験は厳密に行われており、しっかりと勉強をしなければ取得はできないようです。また、この資格はホームセンターなどでの勤務において優遇されることもあり、その活用範囲は、もはや趣味の域を脱しているといえるでしょう。
簡単にできるものからDIYに挑戦しよう!
DIYを行う上で必要な道具や基本的な手順、さらには近年にわかに注目を集めつつある「DIYアドバイザー」という資格の詳細などについて解説してきました。
DIYの魅力の根底には「すべてを自分自身で行う」ということがあります。しかしながら、初心者の方が最初からすべてを自分でやってしまうのは苦痛を感じるかもしれません。DIYを楽しみ、より長く親しむためには、木材のカットをホームセンターで行ってもらうなど、人の手を借りてしまうのも何ら問題はないのです。
また、徐々にDIYのスキルを身につけていくためには、まずは簡単なものから挑戦するというのが理想的です。そのためには、いきなり大掛かりなリフォームや、おしゃれなインテリアなどを作ろうとせず、失敗しても金銭的な損失も少なく済む簡単な棚やイスなどを作る作業から始めてみるのがおすすめです。
制作:工場タイムズ編集部