模型をつくったことがある人なら、田舎の風景を切り取ったような大きなジオラマ、情景模型をつくってみたいと、一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
どこか懐かしいジオラマの中でもリアルな雰囲気を演出するのに人気なのが、電車が街を走っている風景です。工場風景を切り取った模型であれば普通の電車だけでなく、トロッコを走らせるのも面白いかもしれません。
このように完成度の高い工場風景の模型を視覚的に楽しむなら、「Nゲージ」がオススメです!今回はそんなNゲージの魅力をご紹介します。
Nゲージとは?
Nゲージとは、レールの間隔が9㎜幅の鉄道模型のことを言います。街全体のジオラマをつくるときに欠かせないのが、Nゲージ。電車の車庫や山道を走る列車、または今では見ることのできない蒸気機関車や昔のデザイン車両を復活させることができます。
たとえば、建物の雰囲気と電車の車両を変えることで、時代背景を変えることができます。同じ地形を使い、建物と電車を現代のものに変えるだけでも、現代の雰囲気に変わっていく景色をジオラマで再現することができます。
Nゲージの魅力は、車両のサイズや型式がメーカー間で統一されていることです。たとえばメーカーAの車両をメーカーBの線路に乗せて走らせることができます。好きな車両を集めたり、車両自体を手作りするのも面白いですよ。
まず何から始めれば良いの?
鉄道模型を始めるに当たって、まず必要なものは動力入りの車両や線路、オン・オフの切替装置です。初めて鉄道模型を購入する場合は、一式セットになっているものを選ぶと良いでしょう。
模型作製にぜひとも用意したい道具は、プラスチックを切断するための工具「ニッパー」です。大小両方のサイズを揃えておくと便利でしょう。大きい方は太い材料を切断するためなので、どんなものでも構いません。小さいニッパーは模型のパーツを切り離すためなので、先端が細くて刃が薄いものを選ぶと切り出しやすいでしょう。やすりは、5本ほどセットになった棒やすりと精密加工用の平らなもの、紙やすりを用意してください。紙やすりは仕上がり具合が選べるように、いろいろな目の粗さがセットになったものがオススメです。
ほかにも、定規、カッターナイフ、カッティングボード(まな板)、接着剤、パテ、両面テープ、クリップ、ピンセット、筆、つまようじ、串などを準備しましょう。一度は模型をつくったことがある人なら既に持っているという人も多いと思いますが、どんなものをつくりたいかによって使う材料は変わります。設計図や配置図などを考え、大きさや部品の寸法などもあらかじめ計算してから、材料・道具の準備、作製を行うとスムーズに作業を進めることができます。
初心者でも簡単にできるコツって?
模型をつくる際には、全体の大きさを最初に決めるのがコツです。市販の工場模型などを参考にすると良いですね。大きさを決めたら、次は土台をつくります。土台は木でつくるとつくりやすいのですが、木は湿度によって反ってしまったりするので、余った木などを使って補強するようにしましょう。
また、土台の上に直接ジオラマをつくらないのもコツです。土台とジオラマを離すことによって、木が反ってしまってもジオラマに影響が出にくくなります。また、そうすることで列車が走るときの振動や走行音を軽減することができます。長い目で見てメンテナンスにかかる負担が軽くなるので、多少コストがかかってもしっかり土台を組みましょう。
配置するときには、道路(線路)→周囲の地面→建物の順番で組み立てます。道路と建物の位置関係は配置する前にすべて決めてしまうのがポイントです。あらかじめ電車を走らせる位置を決めるため、土台の上に線路や電車を乗せてみると全体像が見えてきます。そこから建物や木を配置していくのが良いでしょう。
仕上げの塗装のコツは、「時代を演出」することです。汚し塗装のことを「ウェザリング」と言います。実際にある住宅や商店、駅舎をイメージして塗装する場合は、塗装方法にもこだわると本格的に仕上げることができます。通常通りに仕上げてしまうといかにも真新しい車が走っているイメージになってしまいます。リアルさを演出する場合は、「アクリル塗装」や「ラッカー」などで塗装した上からウェザリングすると、グッと雰囲気が出ます。
エナメル塗料はプラスチックを溶かす性質があるため、模型そのものに加え、接着剤なども溶かしてしまう場合があります。また、穴や隙間など下地塗装が及んでいない部分にエナメル塗料が入り込むと、そこから溶け出してしまうこともあります。塗装する場合は塗料と材料の相性を考えながら仕上げましょう。
Nゲージを使うだけで臨場感が出る楽しみ
実際にジオラマの中で動かせる電車は臨場感があり、見ているだけでも楽しくなります。「あの時代にあの電車が走っていたら…」「あの光景を見たい!」など、心に思い描く時代背景や風景を自分のセンスで組み合わせられるのがジオラマの魅力です。子供の頃に憧れた新幹線を走らせたり、大人になってから惹かれた蒸気機関車を甦らせたりするなど、思い思いの風景をつくる趣味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部