近頃、昭和的な情緒あふれるアナログ文化がエモいという話題を耳にした。カセットテープやレコード、フィルムカメラなど、昭和に流行ったものだけではなく、昭和を感じさせるものがどうやら人気らしい。
なかでも、子供から大人まで使う「文房具」が今注目を集めているとか何とか…たしかに文房具にはモノづくりの良さが詰まっているものが多く、モノづくりの「今」が見えるアイテムでもある。
というわけで、今回は、そんな日本のモノづくりの今が分かる「エモい文房具」を特集しました!
今話題の『エモい文房具』
文房具に求めるのは、機能性よりも「体験」「癒し」「アナログ」という人は意外と少なくありません。たしかにアナログなものはエモい感じがするし、昭和の雰囲気には癒されますよね。
では一体、どんな文房具が今人気なのか、実際に見ていきましょう。
COE365
今話題のエモい文房具の1つ目は、プラス株式会社のCOE365(コエ365)。プラス株式会社は学生をターゲットに、シャープペンシルやノート、修正テープなどの商品を展開しています。
ブランド名「COE365」の由来は、「COE」は「ECO(エコ)」を入れ替えたもの、「365」は1年365日であることから「毎日」を意味しています。つまり、環境に貢献しつつも毎日楽しみながら使えることを目指して作られたということ。
ブランドテーマは『エモロジー(エモい×エコロジー)』
COE365の商品は、再生紙や再生プラスチックなどで作られていたり、繰り返し使える詰め替え式のものがあったりなど、エコにこだわって作られている点が特徴です。
また、パッケージに「放課後の教室」「雨の日の夕方」「朝の通学電車」など、学生生活のエモい情景のイラストが柔らかい色調で描かれています。エコな材料で作られて、エモいイラストが描かれているなんて、まさにエモロジー!
ただ、これだけなら「ほかの文房具でもありそう…」という声も聞こえてきそうですね。
実は、COE365がエモい文房具といわれる所以はイラストだけではないのです。
『エモ音』でさらにエモく!?
COE365のもう一つの特徴は、イラストに加えてイラストに合った「エモ音」も聴けるというところ。音のエモさというのも大きなポイントなんです。
たとえば「放課後の教室」の場合には、ピアノの音色とともに放課後の教室で校庭から聞こえる部活を頑張る学生の声やノートをめくる音、そしてカバンを開ける音などが聴けます。
エモ音は、製品やパッケージについているQRコードを読み取るか、特設サイトやYouTubeでも聴くことができます。
エモいのはデザインと音だけじゃない!
COE365の魅力はSNS映えするデザイン性だけではなく、機能性も十分。ノートにはドット罫が入っているから文字や表が書きやすいし、シャープペンシルは芯が減るのに合わせて芯が出てくるから、長く書き続けるときも1回ノックするだけでOK。
使い勝手もよく、エモ音を聴きながらイラストや文具ポエムを楽しめるなんて、エモ要素満載ですね!
カラッポペン
筆ペンや墨で有名な呉竹から発売されている「カラッポペン」もエモい文房具の1つ。通常は入っているはずのインクが入っていないカラッポのペンで、自分でインクを入れてペンを作るのが特徴。
カートリッジ式と綿芯(筆ペン)タイプの2種類からチョイス
カラッポペンは、カートリッジ式と筆ペンタイプもある綿芯の2種類から選べます。
インクは透明とピンク、イエロー、ブルー、グレイの5色のみなんですが、好きなインクを好きな配分で混ぜて「世界に1つだけのペン」を作れるところがまさにエモポイント。「世界に1つだけ」っていうのがいいですよね!
インクの色は、自分で少しずつ調合しながら作るのはもちろん、呉竹の公式サイトに掲載されているインクレシピを参考にするのもおすすめ。
手間をかけることの価値=エモ
カラッポペンの使い方は、好きな色に調合したインクをカートリッジに入れたり、綿芯に染み込ませたりして本体にセットするだけ。
ただ、カラッポペンを使うまでには、本体やインク、調合するための容器などを準備して、調合したインクをカートリッジに入れて本体にセットして…と工程が多い。当然、インクを調合したら後片付けの手間もかかる…。
しかし、あえて手間をかけてモノづくりをするアナログなところが「エモい文房具」の証。インクの配分を間違えても新しい色ができるから、失敗することがないのも嬉しいですね。
ガラスペン
キラキラ光る外観に思わずうっとり
ほとんどのガラスペンは、ペン先も本体もすべてガラス製。光にあたるとキラキラと輝いて、SNS映えするほど美しい見た目が魅力です。時間を忘れてずっと眺めていられるほど、きれい…。(ウットリ)
またガラスペンは万年筆のようにインク詰まりの心配がなく、片付けるときにはペン先をすすぐだけという、手入れの簡単さも嬉しいポイント。
ペン先の太さやインクの種類によって変わる書き心地
気になるガラスペンの書き心地ですが、ペン先が細いガラスペンはインクが一定の量で出るため滑らかに書けます。一方、太いペン先のものはインクが一定の量で出にくいため、滑らかに書くのは難しい。ただ、濃淡を描けるから表現の幅は広がるんですよ。
また使えるインクの種類は決まったものはなく、水に溶けやすい染料系インクも、鉱石物などを砕いて作られた顔料系インクも使えて、カラッポペンのインクも問題なく使えるとか。ただし、インクの種類によっても書き心地や書いた後の見た目は異なります。
たとえば、水溶性の染料系インクの場合にはインク詰まりがないのでサラサラ書けて、顔料系インクはインク詰まりはしやすいけど、にじみにくくてくっきりとした文字を書けるという特徴があります。
一本一本手作りだからこそのエモさ!
ガラスペンは1本1本職人が手作りをしたモノなので、すべて同じ形に見えても、よく見たり触ったりすると、ペン先や持ち手の形が違うことがあります。
ペン先の形が違えば書き心地も書く文字ももちろん変わる。つまり、ガラスペンは特別感を味わえる「唯一無二のペン」なのです!
レトロ文房具
懐かしい思い出・・が詰まった『おどうぐばこ』
レトロ文房具のなかでも特に人気なのは、デビカの「おどうぐばこ」。ライオンのイラストがなんだか憎めないし、キュートでエモいですよね。
おどうぐばこ以外にもペンケースやマスキングテープなど、さまざまな文房具が発売されているほどの人気ぶり。特に、A4サイズのおどうぐばこは実用性も兼ね備えているため、テレワーク用の筆記具や書類を入れておくのにも便利なんです。
昭和イラストが癒しの『レトロ日記シリーズ』
レトロな文房具として話題なのはおどうぐばこだけではありません。たとえば、駄菓子やコッペパンなど昭和を感じるものをモチーフにした古川紙工の「レトロ日記シリーズ」。
レターセットやメモ帳などがあり、すべての種類を集めたくなるほどかわいい!この色合いというか、絵のタッチがなんだか癒されるんですよねぇ。
思わず本を借りたくなる『読書記憶しおり ワタシ文庫』
読書好きな人におすすめのレトロ文房具は、ベアハウスの「読書記憶しおり ワタシ文庫」。学校の図書館などで本を借りるときに使われていた「図書カード」をモチーフにして作られています。
見た目はもちろん、質感も本物の図書カードのように少しざらついた感じになっているのがさらにエモい!読んだ本の感想も書き込めるので、読書記録としても使えますね。
資格取得のためのテキスト・問題集などで、その日の進捗具合や反省を書くという使い方もおすすめです。
まとめ
その時代に生きる人の世代的な感覚、趣向、ニーズに合わせ、新しい商品やデザインが日々生まれています。そこには必ず、それを「つくる人達」「考える人達」がいて、世界に誇る「日本のモノづくり」が支えられています。
今回紹介した文房具も「エモい」というだけで人気なのではなく、使い勝手もよいから人気があるのです。それこそ、日本のモノづくり精神が今も受け継がれているといえるのではないでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部