70代の知人女性のバッグに付いていた、ミニチュアサイズの加賀手毬のチャーム。「素敵ですね」と言うと、「これね、ガチャガチャで見つけたの。お気に入りなのよ」と明るい返事。ショッピングセンターでガチャガチャの景品が目に留まり手に入れたそう。
カプセルトイ(通称:ガチャガチャ)は少し前であれば「子どものおもちゃ」のイメージが強いものでしたが、今や年齢性別問わず幅広いターゲットで、誰かの好みに合う商品がそろっています。<br> <br> 今回はカプセルトイの今と、その舞台裏で活躍するクリエーターの仕事の魅力に迫ります。「ワクワクを届ける」仕事、すてきですよね! ゆっくりお楽しみください。
カプセルトイ(通称『ガチャガチャ』)の今
「ガチャガチャ」でお馴染みのカプセルトイは、大型ショッピングモールの増加に伴ってその数を増やし、私たちが日常見かける機会も多くなりました。今や第4次ブームとなっており、カプセルトイ市場は年間約450億円といわれています。
営業コストや人件費がほとんどかからないメリットから、商品開発へフォーカスを定めることができ今後も拡大成長が予想される分野といえそうですが、そんなカプセルトイが今世間を賑わせている理由として、以下のような背景が見えてきました。
ユーザーの多様化
カプセルトイは、子ども向けのキャラクターや知育商品だけでなく、大人向けの商品も増えています。
例えば、スポーツカーがブームだった頃を過ごした車好き世代をターゲットに、往年の1/64サイズのミニカーが登場。また仕事が忙しい女性をターゲットにした癒し系キャラクターのマスコットや、アニメファンをターゲットにしたコラボグッズなどもあります。
価格も200円から500円あたりが一般的です。
お店で買えないプレミア感
通常、専用の機械でしか購入できないことや、必ず欲しい商品が手に入るとは限らないこと、販売期間が限られていることもあり、カプセルトイは希少価値の高いプレミア商品になるケースもあります。
レアものをオークションサイトで出品すると200円だった商品が万単位になることもあります。「どうしても手に入れたいが、売っていない1点もの商品」は特に、入札価格が上がっていく傾向にあるようです。
変わり種機種の登場
進化しているカプセルトイ。いろいろなタイプの機種が登場しています。イベントやコンサート会場などに設置される、1回1,000円程度の特別なカプセルトイは直径約20cmのサイズです。カプセルには食器や衣類、文具などが入っていて「特別」な気分で試してみたくなります。
ほかにも、幅・高さ・奥行きがすべて2m以上にもなる巨大スクリーンの映像を見ながら、ハンドル操作で自分の景品になるキャラクターを作っていく「デジタル映像とのコネクトタイプ」の機種など、斬新なアイデアのカプセルトイ機種の登場も増えています。
環境への取り組み
環境に配慮する姿勢から、従来のプラスチック製のカプセルに代わり、紙の含有率が51%になるMAPKA(マプカ)という素材のカプセルトイも登場しました。
購入後、すぐに廃棄されてしまうプラスチックカプセルを非プラスチック製に変えることで、廃棄時の負担を減らす取り組みです。同時に、中のおもちゃの素材見直しも継続されています。
『カプセルトイクリエーター』としての3つの魅力
①豊富な対応ジャンル
幅広い世代に人気のカプセルトイ。「え?これ?」と驚かされる、一見冴えないように見える商品が後で大人気になることや、ひと昔前を懐かしむような商品が人気になり、シリーズ化するなど人の好みは様々です。
つまり、クリエーターの立場からみると、挑戦できるフィールドジャンルが多いと言えるでしょう。
販売されているカプセルトイは概ね、以下のジャンルに分かれます。その中で「どんな商品をどのような人に興味を持ってもらいたいか」をイメージしながら、カプセルトイの企画開発する作業には他にない楽しさがありそうです。自分が企画した商品を誰かがもっているのを見たら、きっと特別な「こころでガッツ!」な気分になるでしょう。
◎国民的人気キャラクター
誰もが知っているテレビアニメのキャラクターのフィギュアやコラボ商品です。
◎流行になった人気キャラクター
巷で人気急上昇中のマンガやテレビアニメ、ゲームのキャラクターに関するグッズ商品です。こちらも認知度が高く周囲で話題になる可能性は高いですね。
◎造形・コレクション
商品そのものの完成度やクオリティの高さから「飾って楽しめる」リアルさが特徴です。大人の男性に人気で、動物からミニカー、恐竜、ニッチな生き物など、シリーズで集めたくなるのも魅力です。
◎癒し系
小学生の女の子から大人女子にまで幅広く選ばれる「かわいい」「見て癒される」商品。ペンケースに入るミニミニサイズからバッグチャームや置物までタイプは様々で、優しい色と見ていて和むデザインの商品が多いです。
◎科学・実験・知的好奇心
スライム作りやパズル、不思議グッズなど、「何これ?おもしろそう」と「触ってみたくなるワクワク」を体験でき、子どもから大人まで受け入れられる商品です。
◎ネタ・おもしろアイデア
ネタとしてインパクトが強く、その不思議さとシュールさが目をひく商品です。ヒットすると大人気商品になるのもこれらのジャンルです。「誰かに見せたい」「面白いので自慢したい」といった話題性を持ち合わせており、伸びしろはまだまだあるといえます。
②小銭で楽しめるエンターテイメントを提供
カプセルトイは1回200円~500円あたりが相場です。小銭で楽しめるので、「ちょっとやってみようか」という感覚で気軽に参加できます。
クリエーターの立場からみると、この小銭の範囲で、さらにキリのよい数字におさまるように商品を工夫して価格を設定するのが仕事になります。
「カプセルトイの機種の都合上、200円で収まらない商品は300円にしなければならない。お客さんの立場に立って、そこを何とか200円に収めるようにしたい、どうすればよいか?」
素材を見直す、サイズを変えるなど、工夫してうまく200円に収められた時の達成感は言葉では言い表せないほどでしょうね!
③SNS効果で人気商品クリエーターに
営業、宣伝活動は今や必要なく、カプセルトイ商品を手に入れた人が「これ面白い!」とSNSにのせた瞬間にクチコミで広がります。世の中には好みがいろいろな人が大勢いますから、どんな商品でも誰かに注目される可能性があるのですね。
つまり、一生懸命「売れる商品を作ろう」と必死になって頑張らなくても、自分が「面白い」と思って携わった商品が思わぬ人気モノになることもあるということです。
やわらかアタマであらゆる角度から「面白い」を見つけ出すことが、人気カプセルトイを生み出すヒントかもしれません。
世界に広がるカプセルトイの魅力
外国人観光客にも人気!
国際空港の飛行機の搭乗ロビーに設置されているカプセルトイは、日本へ観光旅行にやってきていた外国人向けのものが多く並んでいます。小銭を使ってお土産を購入できるので、利用者も多いそうです。
商品は「ミニけん玉」「ミニうちわ」「ミニサイズの下駄」といった日本らしい商品や、人気アニメのコラボものなどがそろっています。
外国人からみた『カプセルトイ』
外国人の方によれば、小さなカプセルに完成度の高い商品が入っているので、その発想と商品の精巧さに驚かれることが多いそう。ボールチェーンがついているなど、持ち歩ける工夫がされている物もありお土産として最適だそうです。こちらもSNSで話題になった商品もあります。
実際、海外のオークションで日本のカプセルトイが高額で落札されることも珍しくないようですよ。
まとめ
いまや日本を飛び越え海外でも人気のカプセルトイ。お店で買えないこと、多種多様なアイテム、手に入れやすい価格、SNSによる情報拡散、そして環境への配慮。まさに時代にフィットしたグッズとして広く世に受け入れられています。
お金を入れてダイヤルを回すあの「ワクワク感」を受け取る側はもちろん、届けるお仕事も魅力的ですよね。
あなたのすばらしい創造力を「ワクワク」に変えて、誰かに届けてみませんか?
制作:工場タイムズ編集部